豚に真珠

サンバのリズムに乗せられて、いつの間にかそのオレンジ色に魅了される。それが清水エスパルスというチームなんだ

ポジティブトランジションを見ていこう

とらんじしょんってなに~?

前回のゾーンディフェンスに引き続き、また新たなサッカー用語です。

まず「トランジション」という言葉。サッカーに限らず様々な業界で使われる言葉ですが、意味として共通するのが『切り替えと切り替えの間』。スイッチングとかそんな感じですね。今回取り上げるのは「ポジティブトランジション」ですが、ポジティブがあればネガティブもあるわけで、最初はそこから勉強していきましょう。

 

サッカーにおける切り替えというのは、ボールを奪った時とボールを奪われた時に起こります。まずネガティブトランジション。これはボールを奪われた時です。攻→守に切り替えることを言います。対してポジティブトランジションはこの逆で、守→攻でボールを奪った時を表します。

 

トランジションが重要視されてるわけ

10年前にペップバルサが爆誕して以降、時間を掛けずに1秒でも早くボールを奪うことが守備戦術においてトレンドとなりました。早くボールを奪いに行くことで相手の攻撃時間を削りシュートまで持ち込ませない→点を取られることはない、ということになります。そして、その進化系としてゲーゲンプレスが生まれ、またゴール前にバスを置かなくともしっかりブロックを築くことができるようになりました。ここまではネガティブトランジションの話です。ポジティブトランジションが重要視されるわけとして、ネガティブトランジションを重視しているのは相手も同じです。相手が早く奪いに来るならそれに対する攻撃へのスピードを上げなくてはならない。奪われる前に攻める。または相手をかわして攻撃を組み立てていく。現代サッカーが早いといわれる所以は、攻守両面でのトランジションが勝負を分けるからであり、1秒でも遅れた瞬間、敗北を意味します。

 

ゾーンディフェンスとポジティブトランジション

前回ゾーンディフェンスについてやりました。おさらいです。人にマークを付くのがマンツーマンディフェンスであればスペースにマークを付くのがゾーンディフェンスです。

 

ゾーンディフェンスは奪うためだけにあるのか

ゾーンディフェンスはポジショニングが重要であり、特にネガティブトランジションで後手を取るようでは成り立ちません。各々が適切なポジショニングを取っているとき、ボールを奪いましたとさ。さてポジティブトランジションで攻撃に移り変わるとき、ゾーンディフェンスにて取ったポジショニングは攻撃においても最適なポジショニングであれば、わざわざ動き直すこともなく攻撃に移ることができます。ゾーンディフェンスは何も守備だけではありません。同じポジショニングで攻撃にも役立つなら一石二鳥。果たしてゾーンディフェンスに挑戦中のエスパルスがポジティブトランジションではどうなっているのか見てみましょう。

 

 第14節 vs湘南ベルマーレ 4分

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 相手最終ラインから楔が入るところです。中盤は竹内河井石毛で中を固めています。

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 楔入りました。金子が戻ってきます。

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竹内河井で挟み込んで相手がトラップをグダりました。戻った金子がボールをカット。

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 カットしたボールは竹内へ。左サイドにはスペースがあり、速攻チャンスです。

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 竹内はダイレクトで石毛へ。松原はすでに走り出しているので、前線の2トップも含めれば、カウンター発動時にパスコースが3つあることになります。

 

DAZNの見逃し配信を観てもらえたらわかると思いますが、金子がカットしてから石毛にボールが渡るまでのスムーズさ。誰1人としてポジショニングを変えたり動きなおしたりすることもなく、竹内がダイレクトで石毛に出したことによる一切無駄のないトランジション。ことがスムーズに進んだことで、最終的にゴール前までボールを運ぶことができました。

 

同じく vs湘南ベルマーレ 20分

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後にクリスランのクロスからのハンド疑惑に繋がるシーンです。f:id:butani-sinju:20180531213259j:plain

全体が左サイドへスライドしていきます。

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ボランチに入れてきました。2トップがプレス。この時に竹内が身近にいた湘南の選手チェック。

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「やっぱり来た!」ということでインターセプトし、局面が「守→攻」になります。

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竹内のインターセプトをクリスランが拾い竹内へつなぐ。逆サイドの北川金子がカウンターチャンスと捉えスタートを切ります。

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竹内が粘ってサイドのクリスランへ。最後は相手の腕に当たってコーナーキックになりましたが、このクロスの時にはエリア内に竹内北川金子と3人が入っていたことを考えれば、1つ2つ先を予測して、各々の役割が明確で(クリスランがサイドに流れてクロス、北川金子がゴール前に入る)スムーズに事が進み、見事なショートカウンターが決まりました。

 

 

第15節 vs川崎フロンターレ 53分

ここまではショートカウンターのシーンなので、ここは奪ってから相手のプレスをかわすシーンを見ていこうと思います。f:id:butani-sinju:20180601214347j:plain

局面はこんなシーン。フロンターレが右サイドでボールキープ。エスパルス守備陣も左サイドに人数を掛けていく。

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サイドにキターーーー!ところで二見がカット。ここからフロンターレの素早いネガティブトランジションによってプレスが来ます。エスパルスはこのプレスに対応できるのか。

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 二見が運び1対1の状況に。斜め後ろで竹内がスタンバイ。さらに石毛とフレイレもいるのでサポート環境はできています。そして河井がスペースある逆サイドへの展開に備えて中央へフリーラン。中盤は切り替えられています。

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二見から竹内、そして石毛へ。フロンターレのプレスが襲い掛かってくる中、

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石毛からフレイレを経由して逆サイドのソッコへ。こちらには河井と右SBの立田がすでにスタンバイ。ソッコにボールが渡る時点でフロンターレのプレスが弱まり撤退していきました。

 

相手のネガトラに対応するためには、まずはセーフティファーストとしてバックパスを含めた少ないタッチでのパスワークで広いスペースあるところまでボールを導いていく。この時の注意点として、よほど相手のプレスがきつくない限りはロングボールは蹴らない。早いネガトラの狙いは高い位置でボールを奪いたいのはやまやまですが、ロングボールを蹴らせてボールを回収するというもの。蹴るということは相手の術中に嵌ることなので、なるべくショートパスでかわしていきましょう、あくまで無暗に縦パスを入れずに、まずはボールをキープし落ち着くことを最優先に。

 

 

ここまでポジティブトランジションを見てきましたが、ここまでのエスパルスはアップテンポな展開ではわりかしいいポジティブトランジションで素早い展開ができています。ベルマーレ戦やレイソル戦といった勝ちゲームはそんな感じです。しかし、サンフレッチェ戦や鳥栖戦みたいなローテンポで進むゲームでは、逆にポジトラまで相手に合わせる形で遅くなる。展開できない状況に陥ります。これが「持たされている」状況ですね。こうならないために、予め守備位置がそのまま攻撃位置にもなるというポジショニングを取ることが重要になるわけです。そして今のゾーンディフェンスというのはその攻撃についても設計できる仕組みになっています。

 

 

以上が今回のテーマであったポジティブトランジションでした。ゾーンディフェンスが完成していくにつれて、攻撃も良くなっていくと思うの心はこんな意味です。またトランジションは現代サッカーにおいてとても重要なキーワードなので、しっかり押さえておきましょう。

 

 

 

 

次回予告

開幕からの総括をしようか、ワールドカップが始まるのでそちら方面の企画をやるかで絶賛迷い中。

ヨンソン式ゾーンディフェンスの手引

ゾーンディフェンスとは?
サッカーの守備戦術には大きく分けて2つあり、1つは人が人をマークするマンマークディフェンスと、人がゾーンをマークするゾーンディフェンスです。

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1人1人に守備タスクを与えるエリアを設定。

一方のゾーンディフェンスは、相手の攻撃者に守備位置を操作されることはありません。守備者のポジションは味方の位置によって連動して決まる。まずボールがあって、そこにアプローチするファーストディフェンダーに連動しながら、セカンドディフェンダーサードディフェンダーと連なるように守備のポジションが決まっていく。

サッカー 守備戦術の教科書 超ゾーンディフェンス論 著者松田浩 鈴木康浩 発行KANZEN 82項より引用

例えばサイドにボールがあれば

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横にスライドしてゾーンに穴が開かないように伏せる。そのボールが中に入ったら

 

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ボールが動くごとに選手個々の動きが変動し、距離感を保ちながらチャレンジ&カバーを徹底する。これが簡単なゾーンディフェンスの説明です。

 

ゾーンディフェンスを説明するって、実はすごく難しいです。日本国内でよく観られる守備というと、例えばボール保持している相手選手に対してプレスを仕掛けるときに、自身がマークしていた選手を離し、他の選手にマークを受け渡す、というシーンがあります。

 

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ただこれはゾーンディフェンスではなくマンツーマンディフェンスです。そこに人がいるからマークするという感じで、決して自分のゾーンを持って守備をしているわけではないんですよね。ゾーンディフェンスが見るのは人ではなくスペースです。相手ボールの動きに合わせポジショニングを取り、自分のエリアにボールが入ってきたら奪いに行くのがゾーンディフェンスです。

 

エスパルスの4-4-2とヨンソン式ゾーンディフェンス

昨シーズンから引き続き4-4-2のシステムであるエスパルスですが、4-4-2というシステムはゾーンディフェンスに適したシステムといえます。ピッチの105×68サイズをバランスよく人を配置するなら、横は4人は必要です。となると4-4-2もしくは4-1-4-1。しかし4-1-4-1となると前線に人がいないのでカウンターに素早く移行するのに2トップだろうと。

 

現在のエスパルス基本守備体型は4-4が横一線に並ぶ。開幕戦から数試合は2トップが守備のスターターとして前からプレスし後ろが連動する。

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相手が後方でビルドアップをしているとき、守る側として1番やってはいけないのが縦にパスを出されること。相手CBがボールを保持したときは2トップの1人がプレスし、相棒と中盤の4人が内側に絞り縦へのパスコースを消す。今季のエスパルスの守備では、CBから縦パスを出されるシーンがほぼない。ボールは必然としてサイドへ誘導されます。視野が180度になるサイドならボールタッチラインへ追い込み中盤はサイドへスライド。

全員でワイドミッドフィルダーのエリアにボールを誘い込むイメージです。というのも、相手の中央のセンターバックがボールを持っているときは、左右どちらのサイドにも逃げる場所があるので、真ん中にボールがあるときはプレスがかからないんです。だから、まず第一線の選手が“相手に突破されないことだけを目的にした守備”を敢行しながら、サイドへと追い込むことが重要になる

 

サッカー 守備戦術の教科書 超ゾーンディフェンス論 著者松田浩 鈴木康浩 発行KANZEN 104項より引用 

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ゾーンディフェンスではこの相手サイドにボールを誘導して奪う。もちろん中への扉は頑丈に施錠して。

 

そこで、ヨンソン式でのゾーンディフェンスなんですが、開幕直後はハイプレスによる守備がハマっていました。このあたりはまだスカウティングされていなかったのと、ゾンではまだ甘いところはマンツーマンで対応するなど、そこそこ守備においては安定を図っていました。ですが、マンツーマンディフェンスというのはスカウティングされやすく、また広大なスペースを生んでしまうこともあり1年間ず~っとマンツーマンディフェンスで行くのは余程の守備での個の力が必要となります。特にウチみたいに河井&竹内という攻撃的な2ボランチを敷いている場合はマンツーマンを貫くのに限界があります。

 

ヨンソン式ゾーンディフェンスは、現段階ではリトリートによるものが基本です。中央だけではなくゴール前や付近のスペースも消す。まずは守備を立て直したい現段階では順序としては正解のルートを歩んでいるかもしれません。ではここで、現在のリトリート型ゾーンディフェンスについてみていきます。

現在のエスパルスがプレッシングをスタートするのは、ハイプレス時は2トップと2列目の4選手。

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相手が最終ラインで組み立てしてるときは基本マンツーマンです。相手ボランチにボールが入った時はf:id:butani-sinju:20180426222354j:plain

ウチもボランチが前に出て対応。ここでは前を向かせなければOKです。

ゾーンに移るのは自陣にボールが入る一歩手前。もともとリトリートなので守備位置は低めです。f:id:butani-sinju:20180426223454j:plain

中は締めているので、サイドの高い位置に出されることが多いですが、例えばエスパルス右サイド。本職ではない19歳CBの立田がいる右SBは狙われることが多いですが、その裏はソッコがカバーに入る。では本来ソッコいるべきポジションはどうなるかというと逆サイドのCBが中に絞るよりボランチが降りてくるパターンが多い。そのサンプルのちのち出しますが、CB絞れというより中盤速く戻ってこいと言われているんでしょう。で、カバーに入ったボランチの穴はどうするで、さらに人がスペースをカバーする。右サイドなら金子。

しっかりゾーンで守っているときは意外とこれができている。ゾーンディフェンスを始めてまだ数ヶ月ですが、とくに金子がゾーンディフェンスになじみ始めたのは大きいです。

ゾーンディフェンスは基本サイドにボールを振られます。まぁ、中央にズバッと縦パス通されるゾーンディフェンスはゾーンディフェンスではないですし。そこで辛くなるのが、誰がサイドでの受け手に対しファーストコンタクトを取るのか。そしてそれに伴うポジションの変動によるスライド。誰がどこにポジショニングを取りゾーンを確保するか。これは難しいことです。例えば、カバーに入る選手が1歩でもタイミングが遅れたらゾーンディフェンスは成り立たないです。また1人でも逸脱したプレーをしたらそれもまたゾーンディフェンスは成り立たない。ゾーンディフェンスはスペースを守る守備戦術なので、どこかに穴が開きます。2トップも含めて、勝手な行動は許されないのです。

 

ゾーンディフェンス進捗状況

では実際にサンプルを上げてみてきます。

第9節FC東京戦のシーンです。40分04秒から

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FC東京森重真人からチャンヒョンスにボールが渡るシーンです。エスパルスは左から右へスライドします。

 

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左SBの小川にボールが渡ると、エスパルスは金子がファーストコンタクト。FC東京は東が降りてきました。

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東がボールを受けて前を向く。中盤はスライドし縦パス封鎖する。

 

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東が持ち上がったことで河井が飛び出してプレス。金子がそのカバーに入る。

 

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東に縦への選択肢を消し、ボランチ橋本拳人も北川航也が消し、東の残された選択肢は森重に預け組み立て直すのみに。

f:id:butani-sinju:20180428224943j:plainボールを受けた森重は右サイドへ運ぶ。エスパルス中盤も左へスライド。北川にプレスを受けられた森重に対しFC東京は室屋成と永井謙佑がサポートに入るもゾーンを敷いているエスパルス守備陣形の前では数的不利&打開できるスペースがなく

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結果、キーパーへ戻すことに。第1段階成功。

 

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続く第2段階。キーパーからCB経由で橋本へ。クリスランと金子がプレス

 

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左SBの小川へ。金子がプレスし、

 

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バックパスし高萩洋次郎へ。

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その後はサイドの東へ。中盤が右へスライド。

 

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サイドからは崩せず、小川経由でもう1度高萩へ。その後のプレスは

 

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最後の1枚。ここで両チームのフィールドプレーヤー全員登場となりましたが、エスパルスの各選手配置ですが、逆サイドのケアしてる石毛と2トップを除けば、非常に密集しています。特に中央。もはやスペースなんてない。ボール保持した橋本の選択肢はリスク承知で裏狙うか、リスク承知で逆サイドの室屋を狙うか、リスク承知で2トップ控えるFC東京方陣へバックパスするかのどれか。ここまでのFC東京のパスワークはサイドチェンジ及びボランチに預ける横パスが中心です。楔は一切入れておらず、回せば回すほど選択肢が減っていく。最終的にスペース無く追い詰められる。

この後なんですが、橋本はリスク承知で裏を狙い、当然のようにカットされました。ヨンソン式ゾーンディフェンスは、最初はセオリー通りサイドへ誘導。その後は格選手間の距離を徐々に縮めスペースを消していきボールを奪う。「徐々に圧縮していこうぜ!」ゾーンディフェンスがヨンソン式です。

横と縦。360度の視野で互いの選手との適切な距離感を保てなければ、上手くボールを奪うことはできません。特にうまくゾーンディフェンスができない時は、ハイプレス時に後ろと呼吸が合わず前4人がプレスしてしまい、相手中盤にスペースを与えてしまう。その後は押し込まれ組織が整っていないからセカンドも拾えないなどなど。ゾーンディフェンスっていうのは難しいです。監督によってその形も違います。あくまで今回はヨンソン式ということで。

 

次回は守➡攻への切り替え、「ポジティブトランジション」について見ていきます。あっ、もしかしたら個人技が入るかな? そこらへんはお楽しみに

 

興梠慎三から学ぶ、クロスへの合わせ方

J1リーグ第8節、浦和レッズvs清水エスパルスより、前半29分のプレー

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右サイドからの攻撃。興梠慎三のマークには立田悠悟が付いている。百戦錬磨のストライカーの動きを中心に、いかにクロスボールに合わせられたのかを見ていく。

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興梠、前のスペース、ゴール前へのクロスボールを要求。ここから興梠の相手DFとの駆け引きが始まる。

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興梠は立田の前へ出る。この時興梠は立田の背後を確認。ちなみに興梠は背後の確認を5回している。

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5回目の確認でストップ

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右足に体重を乗せて切り返す動き。

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コースを急転回。立田の背後へ。

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立田の背後を取る。これにより立田の視野から興梠が消える。

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立田の背後を完全に取ったところで再びゴール前へ狙いどころは立田の前。

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クロスが上がると同時にゴール前へスタートを切る。立田は完全に出遅れる。

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視界から消える

相手DFとの駆け引きを制するために、相手DFの視界から消える。人間の視野で唯一認識できない箇所が背中。ココに入ることで相手のマークを外しパスを受ける。この動き方をプルアウェイといい、一流のレシーバーはこの動き方が抜群に上手い。

清水エスパルスである限り、レフェリーを批判してはいけない

我々が清水エスパルスである限り、どんなレフェリングが成されようともレフェリーを批判してはいけない。たとえ相手がFKを手にしたい故ダイブしてこようとも、ファールされた腹いせに報復していても、その判定が納得いかない結果になろうとも我々が清水エスパルスである限り、決してレフェリーを批判してはいけないのだ。我々が戦うべき相手はレフェリーでない。レフェリーに勝ったからと言って肝心の試合に勝てなければ、勝ち点3は手に入らないのだ。少なくともピッチ上では、ゴールのためにボールを蹴り、走り、デュエルで勝ち、そして勝利する。これだけでいいのだ。レフェリーと戦うという、このうえなき無駄な戦いに全力を尽くすべきではないのだ。

 

我々は清水エスパルスである限り、試合の結果に左右する重大なジャッジが下されたとしても、それに対していちいちレフェリーを批判するような器の小さいチームであってはならないのだ。なぜなら、ただでさえレベルが低いとわかっているはずのレフェリーに対してレフェリングを批判するということは、カレー屋に対して「このカレー辛いじゃねーか!」と当たり前のことを言うめんどくさいクレーマーと一緒だからだ。少なくとも、清水エスパルスはそうであってはいけない。

ジュビロはエスパルスの噛ませ犬

確か1年前も同じ題名の記事を書いたと思う。あの時は本気でジュビロに勝てると思っていた。2勝2敗で迎えた4年ぶりのダービー。そこそこの手ごたえで迎えるエコパで、ジュビロの、名波の、俊輔の泣きっ面を見て、微笑ましい顔で愛野駅を去る。そんなプランを考えていた。ところが結果は全くの逆。泣きを見せたのはこちらであった。もう訳が分からなくなって混乱していたのは今でも覚えている。ジュビロに負けたことが余程悔しかったからなのか、エスパルスが弱すぎたからなのか。

でもそんなのは去年まで。今年は去年とは違うところを何としても見せなくてはならない。それを証明するためにはジュビロに勝つことは絶対条件なのだ。

 

 

我々が清水エスパルスである限り

年間日程が発表されて、今年はどんな日程の組み合わせになるのかなと思ってみたりしているが、まず確認するのがダービーの日にちなはずだ。なぜならその日は勝つことが前提で話が進むからだ。我々が清水エスパルスである限り、ジュビロ相手に負けるなど考えたことなどないはずだ。すでにルヴァンカップでは勝っている。続くリーグ戦でも負けるなんて以ての外。勝つことは大前提。そしてこの試合を期に再び、ジュビロにはエスパルスの噛ませ犬になってもらおう。

エスパルス ホーム初勝利へ!/打倒マリノスのカギはハリルホジッチ?

2週間のインターバルを終えて、禁断症状が出掛かっている皆さん! ついに再開しますJリーグ

 

我らエスパルスの再開初戦の相手は横浜F・マリノスです。今シーズンからアンジェ・ポステコグルー新監督となり、ボールポゼッション志向の強いスタイルとなりました。

 

アンジェ・ポステコグルー

この名前。過去何度か聞いたことがありますよね。ご存知、前オーストラリア代表監督で、日本の前には4回立ちはだかりました(2014W杯アジア最終予選第7節 1-1@埼玉、キリンチャレンジカップ2014 2-1@長居、2018W杯アジア最終予選第3節 1-1@メルボルン、同予選第7節 2-0@埼玉)。ポステコグルーという名前が知られるようになったのは2009年にAリーグブリスベン・ロアーの指揮官の就任したとき。Aリーグではなかなか観られないパスサッカーで革命をもたらし、11-12シーズンではクラブ史上初の4冠を達成。豪州屈指の名将として評価されるようになりました。

 

今回はマリノス戦へ向けたプレビュー記事ですが、まず最初はヒントを得るということで、昨年8月31日のW杯アジア最終予選、日本vsオーストラリアをザーッと振り返ります。

 

サッカールーズの3バックとハリルホジッチ

勝てばW杯出場が決まる日本と、まさかの崖っぷちどころかプレーオフすら微妙となってしまうサッカールーズ。この試合のスタメンは

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両チームともヨーロッパで活躍してる選手が多い印象。ロビー・クルーズとかレバークーゼンにまだいるのかなと思ったら去年中国で今はボーフムだと。ちなみに現マリノスミロシュ・デゲネクはベンチスタート。

決戦から半年後に観ると、前半は意外と日本がボールを持ってるなという印象。トータルのポゼッション率ではオーストラリアに分があるものの、それを感じさせないほどに効果的に攻撃をしていました。

え~、オーストラリアのビルドアップなんですが、3バックの両脇、ミリガンとスピラノビッチはサイドに開き、それぞれのCB間にボランチが入る形になります。f:id:butani-sinju:20180325165106j:plain

このオーストラリアの配置は、縦の5レーン、そして横のレーンにからなるマス目に選手が被らないよう、またパス配給しやすいように組まれています。

これに対する日本の守備は、プレスのスタート合図としてオーストラリア2ボランチにボールが来たら山口と井手口がプレスをかける。

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この2ボランチは前を向けず3バックにボールを返却。受けた最終ラインに対して3トップが続けてプレス。相手を拘束する。f:id:butani-sinju:20180325191808j:plain

 ボランチプレスから始まるビルドアップ破壊作戦は見事にはまり、オーストラリアのポゼッションを無効化に成功。

なぜボランチ

よく見てみてください。ボランチの背後です。ガラ空きです。ハーフスペースにポジションを取り組み立てを行うボランチは、奪われたら一気にピンチになります。オーストラリアのビルドアップはスペースが広がっているので上手くいけばプレスに来る相手を走らせ体力を消耗させることができますが、一定のリスクは背負っている。省エネかつ1番のアキレス腱であるボランチに集中してプレスを行うことで効率よく守備ができます。これ、後々出ます。

 

ハリルホジッチの勝算ある危険な賭け

この守備戦術におけるリスクは、ボランチにボールが入るまではプレスするよりブロックを作って“待機”する。もし、ボランチを飛ばしてロングボールを飛ばされたらどうなるのか。そもそもM字型の形を取る理由は、この5人は縦の5レーンにそれぞれ1人ずつ配置され、さらに上下に角度をつけてあり前線へのパスコースを確保するためです。撤退守備を敷いてロングボール起点を作られたらどうするか。

ハリルホジッチはウイングとインサイドハーフ、そしてアンカーの長谷部を横一線に並べて4-5の2ラインを作る。

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アンカーを消すことで相手2シャドーの活動エリアを限定。コンパクトにするため裏にスペースが生まれるが、ココは覚悟。クルーズが0トップのように振る舞い、WBが裏を狙うもクルーズは長谷部とCBで、WBはSBが見張り自由にさせない。また両サイドのストパーがボールを保持したときは、直接トップに入れられるのを防ぐべくウイングを内側、ハーフスペースに配置し、4-3-2-1のクリスマスツリー型にしてハーフスペースを消す。f:id:butani-sinju:20180328212225j:plain

ボランチを飛ばして前線に届けられることがマズいので、そこを第一にケア。裏のスペースというリスクは承知というものの、最前線のクルーズの特徴や危険度の順番も考慮して、ハリルホジッチからしたら十分勝算のあった策だったでしょう。

 

 

 では本題。以上を頭に入れてマリノスを見ていきます。

 

ポステコグルーの狙い

今シーズンのマリノス最大のトピックは、SBをボランチ化させるシステム。4年前にペップ・グアルディオラバイエルンで採用した戦術で一気に世界中で流行しました。ペップが偽SBを始めた理由が、当時バイエルンで最強の槍であったロッベンリベリーを活かす意味で、SBを内側に入れて無数のパスコースを作る、中盤を厚くしてセカンド奪取、奪われてもカウンターを阻止できるという無限ループ。

ウイングを最大限生かす偽SBですが、オフに斎藤学マルティノスという屈指のウイングを手放したマリノスにおいて、偽SBをやる意味とは?とポステコグルーの狙いとは何かを考えていきます。

 

ここまでのマリノスの各ポジショニングをおさらいします

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両SBがボランチ化、アンカーが落ちてCBが広がるM字型の布陣。これ、オージーでやったシステムと一緒なんですよ。5レーンに1人ずつというこの形。さっきオージー戦を振り返ったのは、あくまでハリルの対策はどうだったのかであって、じゃあポステコグルーの狙いってなんぞやというと、ハーフスペースを攻略したいんですよね。M字型のシステムは横一戦ではなく角度があるのでパスコースが無数にできる。プレスを回避しやすい。で、ハーフスペースは今やゴールへの近道ですから、テクニックある選手をこのエリアに流れさせてキープする。あとはサイドに散らすなり中央突破するなりいろいろできます。SBの動き方が異質というのがフォーカスされますが、ぶっちゃけ3-4-2-1のサッカールーズと仕組みはほとんど変わりません。動き方が違うだけで偽SBよりもハーフスペースを攻略してくるということに最大限注意しなくてはなりません。

 

マリノスはハーフスペースで何をしてくる?

前節の第4節浦和レッズ戦では、ダビド・バブンスキーを含めた4-2-3-1で、中盤の3枚は流動的に動く形を取りました。この時のマリノスはM字型だけでなく、ポジションを固定したW字型のビルドアップを披露。

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前線の5人がハーフスペースに自由に入り込んでボールを受ける。例えばレッズ戦32分では

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ハーフスペースからハーフスペースにフィード。ユンイルロクが内側へ入り、ハーフスペースに2人を引きつけて中央にスペースを空けて落とす。このようにウイングがハーフスペースに進入することもあれば、

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降りてきたバブンスキーに入れ替わる形でハーフスペースでボールを受けた扇原というシーンが90分間観られました。おそらく今節もバブンスキーが出てくるでしょう。レッズ戦は中盤が流動的で、アンカーの扇原が前に出たり、ウーゴ・ヴィエイラがハーフスペースに落ちて空いた中央にウイングやバブンスキーが入り込むというのもあり、1つの策を見つけられたと言えるでしょう。ポステコグルー最大の特徴はハーフスペースの使い方にあります。

 

そんなマリノスどう立ち向かう

ハリルホジッチのように上手くハーフスペースを消すことができれば、まだ未完成のマリノスにカウンターの嵐をお見舞いすることはできます。ではここからは、マリノスに対してどう攻めていけばよいか考えます。

 

目には目を、ハーフスペースにはハーフスペースを

ハーフスペースを突いてくるマリノス最大の弱点は、マリノスの最終ライン付近のハーフスペースです。ハリルホジッチがオージーのハーフスペース攻めの対策としてウイングのハーフスペース駐在や中盤のフラット化をしましたが、それは何も守備だけではなく、その後の攻撃にも影響を与えています。

ポステコグルーのM字型ビルドアップを見てみると、一目で弱点が!

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マリノスの後方に陣取る選手はお世辞にもスピードがあるとは言い切れません。その最終ラインがハイラインで、後方スペースをGKの飯倉がカバーするのが今のところの守備パターンの1つ。ハリルホジッチはこのスペースに大迫を持ってきてウイングにスペースを与えたf:id:butani-sinju:20180329213648j:plain

大迫のキープ力があっての策であり、エスパの2トップの特徴的にはテセがこの役割ができるのかなと思いますが、現状はスピード&アタッカー系なので、このスペースにパスを出していけたらOK。崩せます。レッズも、特に後半は途中出場の山田直輝や青木が抜け出す場面もあり、繋がらなかったもののマリノスの守備を崩していました。

 

エスパルス理想の攻め方は、徹底的にハーフスペースにできる穴をスピードある2トップに走らせる。中盤がその動きに合わせる。以上!

まぁ、今のエスパルスはまだ攻撃の形ができていないのでそれしか手がないのですが、相手の弱点を突くのは当然のことで、それが1番の勝ちに繋がる方法ですから、さらにマリノスの場合は1番抑えるべきポイントを抑えていればそれと同時に弱点を突くこともできる。上手くいけば一石二鳥。マリノスもソリッドなチームですが、ここのスペースは組み立ての時から異様に空く。選手はポジションを固定してボールを動かすというサッカーで、バブンスキーがいた前節くらいです中盤が流動的だったのは。わりかしスペースは多く空いているのでカウンターで付け入る隙は十分あります。あとマリノスで注意すべきは新戦力。この試合で復帰濃厚な大津祐樹、新加入のアフリカン、ブマル。データが少ない上に2週間もインターバルがあったのでどれだけチームにフィットしているかもわかりません。エスパルスも正直、そんな器用なチームでは現段階ではないのでマリノス攻略なんてこれくらいしかできないし、これが対マリノスにおいて最良の対策だし。

 

マリノスに対しては鬼門と言えるホーム日本平ですが、お互い変わった者同士。ここで勝てば相性逆転もありえるので、是非2006年以来の勝利を掴みましょう。

立田悠悟vsチャナティップ/ドリブラーの抑え方

明治安田生命J1リーグ第3節、vsコンサドーレ札幌 in札幌ドーム

 

84分のシーン

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立田悠悟とチャナティップ・ソングラシンとの1対1.

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チャナティップのドリブルコースを縦の赤丸内に限定。

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チャナティップが切り返す。

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立田、体制を整える。金子がサポートに来ることで、再び中へのドリブルコースが切れる。

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チャナティップ切り返す。

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ゴールへのコースが空く。

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立田、足を出す。金子が囲みに行く。中へのドリブルコースを消す。

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チャナティップ、縦へドリブル。

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チャナティップ切り返す。

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立田、足を出す。

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チャナティップ縦へドリブルするも、スペース無くタッチラインに追い込まれる。

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立田、チャナティップタッチラインに追い込んだところで

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体を入れてゴールキックに。

 

立田悠悟から学ぶ、ドリブラーの抑え方

今回対峙したチャナティップのように、スピードを全面に押し出すウインガーではなく、テクニックを活かしたドリブラーを抑えるにはコースを限定してあげる。村田和哉みたいに何が何でも縦をぶっちぎるタイプは直線的であるが故の怖さがあるが、チャナティップのようなタイプは少しでもスペースが見つかればそこを射抜いてくる。だからまずはドリブルのコースを限定する。今回は縦に。そしてもう1つ。ココが大事。無理に体を入れて奪いに行かない。体を入れようとすると入れ替わってしまうリスクがあり、簡単に交わされる。体を当てに行くにはタイミングというのがあり、今回はタッチラインに囲まれ45度のプレーエリアという逃げ場無き場所。およそ10mの駆け引きで立田はボールを奪いに行こうとはしなかった。あくまで行くべきタイミングを窺っていただけ。最終的にマイボールになればそれでいい。だから抜かれず、冷静に対応できた。19歳にして恐ろしや。

 

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