豚に真珠

サンバのリズムに乗せられて、いつの間にかそのオレンジ色に魅了される。それが清水エスパルスというチームなんだ

ダービーへ向けて、ジュビロ対策の振り返りとドゥンガの残した言葉/さぁ、やってやろう!

多くの人が 「そんなことできるわけがない」 「無理だ」と言うが、 試してもいないのに、 なぜそんなことがわかるんだい? 

ドゥンガ

 

◻️ジュビロの5バックと圧縮守備

第32節鹿島アントラーズ戦より

 

3421で戦うジュビロの守備の陣形は541。トップを最前線に残してWBを最終ラインに、中盤は横一線に並び5と4の2レーンを作る。

この陣形はそのまま、片側サイドにボールが寄っている場合は5バックは均等配置も、中盤は圧縮。ボールを囲い込み、包囲網を敷く。

同サイドに前進できるだけのルートとスペースを消して、そのまま奪いきる。ここまでやってジュビロの守備は成功したと言える。

 

奪いきれなければ?

 

同サイドを圧縮しているということは、逆サイドはスペースが広がっているということだ。つまり、プレスに対する迂回経路によって逆サイドに展開されれば一気にピンチとなる。リスクと付き物なのだ。

 

 

このジュビロの守備。ネガティブトランジションから既に主導権を握っていなければ奪いきるまでいくことはない。渋谷体制になってから一貫して杉本健勇が1トップに入っているのはネガトラの指揮をここで取ることで圧縮守備に相手を引き込む"蟻地獄"へと誘う。

 

 

健勇のネガトラに連動して蟻地獄に誘う金子。ここの相性の良さが中盤の圧縮守備を成功させている。

 

 

◻️可変システムとジュビロのポゼッション

ジュビロのオフェンスは可変式システムで、守備の541から4バックに移る。

主に右CBに入る伊藤が実質右SBとなり、右WBの鈴木がシャドーのようにゴール前に侵入する。逆の左は松本がビルドアップの起点となって裏に金子が抜け出す。前線に人数を掛けるこの陣形は、鹿島戦でのゴールはまさにそのような形。

 

ジュビロのポゼッションは右へのスライドによって組み立てられる。鈴木が押し上げられることでシャドーがゴール前へ、また裏へ抜けることで撹乱。ようやくジュビロのオフェンスが形を見せてきた。

 

 

◻️変わらぬジュビロアイデンティティ

ドゥンガから始まった歴史。名波浩前田遼一と受け継がれ今は山田大記へと繋がる。ピッチ上に存在する指揮官、リーダーは常にそこにいた。

 

鹿島、そして前節は首位の横浜F・マリノスに土を付けたこの時期に山田大記が4月以来に戻ってきたのはなにも偶然ではないはずだ。ジュビロが取り戻すべきはアイデンティティを体現出来るリーダーなのである。

 

考えてみろ。いざこざがあっても、勝てば全ての人がハッピーになれる。そうすれば、俺が言ったことなんてすぐに忘れられる。そうだろ? ドゥンガ

 

アメリカW杯でトロフィーを手にした翌年にジュビロ磐田へとやってきた世界一の闘将は、ことあるごとにチームメイトを叱責し、吠え散らし、そして時には鉄拳も見舞った。ドゥンガはなぜ怒り続けたのか?「ある日、ドゥンガが『俺だってこんなこと言いたくない』なんて言い始めてさ」と遠征時に同部屋だった藤田俊哉が、漏れ聞いた闘将の本音を明かす。「勝てば嬉しい。勝利給も手に入る。それのどこが悪いって言うんだ?」「負けたらどうなる? 喜ぶヤツは一人もいない。非難されるし、金にもならない。だったらどっちを選ぶ? 答えは一つしかない」──勝利である。プロにとっていかに勝つことが大事か。世界一のサッカー大国からやってきたドゥンガは、ようやくプロとして歩きはじめたばかりのJリーガーに、本当のプロであるための条件を叩き込んでくれたのであった。

https://number.bunshun.jp/articles/-/242588

 

 

 

◻️Let it roll!

最後のダービー。それもお互いが残留をかけて戦う生きるか死ぬかの一戦。

ジュビロは生き残るために戦い方を割り切れた。いや、割り切らざるを得なかった。まだエスパルスは自力残留がある。

 

やるか、やられるか。

 

ならやってやろう。準備は出来てるか?