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豚に真珠

サンバのリズムに乗せられて、いつの間にかそのオレンジ色に魅了される。それが清水エスパルスというチームなんだ

大前元紀の凄さ/一流ストライカーとは

ゴールを決めるという特殊能力

FIFAの定めたサッカーゴールのサイズは、横幅7.32m✖高さ2.44mです。この枠の中に、さらにGKが1人います。それでもスペースはありますよね。枠内に撃てば決まっちゃうんじゃね?とか思いますよね。でもPKとか蹴るとき、なぜか外すのではないかと不安になってしまうこと、ありませんか? PKなんて、理論上キッカーの方が断然有利です。だってキーパーは、自分の体の何倍もあるゴールマウスから、さらに相手との駆け引きをしなくては勝てない。だからこそなのかもしれませんけど、キーパーは返って吹っ切れることがあります。PKなんて取れなくたって仕方ないことだからと。

ではキッカー。条件では断然有利だから決めて当然と思われます。プレッシャーヤバい。半端ない。決めることができなければ非難集中砲火は間違いなし。

 

何が言いたいかって、シュートをゴールに納めるということは難しいということです。ゴールが大きくても、いや大きいからこそ枠内シュートを打てばゴールに入るのではないかと思い、プレッシャーが余計かかってしまう。これを心理学用語で「ツァイガルニク効果」といいます。

 

 

一流ストライカー

今季シュート決定率24.3%、2208分の出場で74本打って18得点。3ヵ月の離脱がありながら立派な成績を残したエスパルスのNo.10大前元紀ですが、改めてすごいストライカーだと思いました。そんな凄さを表しているゴールが、今季チーム初ゴールとなった第2節長崎戦のゴールです。

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このゴールですね。

何でこのゴールかというと、別のアングルで見てみましょう。

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体の向きが少しおかしいと思いませんか? 横向きで、シュートを打つ体勢としては窮屈です。そして

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ちょっと分かり難いかな。右足のかかと付近に合わせていたんですね。

 

やってきたクロスが弱冠マイナス過ぎた感はありますが、並みのストライカーなら気持ちよくシュートを打ちたいが故、強引にインステップで合わせてふかしていたことでしょう。ですが元紀のシュートはグランダーで、かつ逆サイドのネットに突き刺さっています。ここが一流のストライカーである証拠。

 

いくらキーパーの背が大きかったとしても、横っ飛びで手を伸ばしたところで、横幅7.32mのゴールをすべてカバーできるわけがないんですね。逆に、高さが約2mということで、長身GKなら手を伸ばせば高さ面ではカバーできます。松本山雅のシュミットダニエルなんかはそうですよね。ジャンプしなくてもバーに手が届くっていう。羨ましい。

だから一流ストライカーはゴールの横幅の広さを狙ってしっかり納めるわけです。1番キーパーが取りにくいところはポストとバーのぶつかる辺りですが、ここは狙って打てるところではない。それにリスクが大きすぎる。だからやってくるボールの方向とは逆のサイドネットに突き刺さるよう狙う。このゴールだけではなく、第15節群馬戦の先制ゴールとなった白崎の得点、第29節山口戦でのテセの2点目なんかはそうです。テセのゴールは自分のポジショニングと逆方向という点ではありますが、落ち着いていて上手いシュートだと感じます。

 

さてこの元紀のゴールに戻りますが、体の向きがかなり横を向いていると言いました。この辺りもそうで、右足の面で合わせ、ふかさず抑えめにシュートを打つための体勢だったと思います。かかとの近い位置に合わせたのもふかさないようにするためなのでしょうきっと。難しいボールがやって来ても、しっかりミートしグラウンダーで確実に枠内に入れる。それにプラス相手からのプレッシャーもあればシュートコースも限定的なっていたはずですし、それをしっかり決めるところは凄いと思います。

 

一流ストライカーとは

ピッチ上の11人の中で1番シュートを打つのはFWの選手です。なのでストライカーはシュート数が多いからゴールを決める確率も高くなります。よって一流のストライカーかどうかはシュート決定率に表れます。もちろん、ゴールするシチュエーションは常に異なるものなので、決めたゴールのシュート全てがスゲェーってわけではないのですが、上手いシュートが打てる選手ほどゴールは決められるもんです。

 

シュートを打つとき、大振りで大きく枠を外すのは三流。キーパー真正面は二流。一流はグラウンダー(または低い弾道)でサイドネットに突き刺せるシュートを打つのが一流です。それをキーパーにセーブされたら、その時は素直に拍手でキーパーを称えましょう。

 

圧倒的攻撃力で猛威を振るった今季のエスパルスですが、点を決められる選手が確実に決めることができたところと、そういった点を決められる選手がたくさんいたというところが大きな武器です。それは元紀やテセだけでなく、北川や金子もシュート練習なんかではふかさなくなってきました。その成果が数字に明確に表れれば、来シーズンも攻撃力は十分通用するのではないかと思います。