豚に真珠

サンバのリズムに乗せられて、いつの間にかそのオレンジ色に魅了される。それが清水エスパルスというチームなんだ

サッカーとお金の話

皆さん、こんにちは。

我らエスパルスは、めでたく自動昇格の切符を手にしたことで、いち早くオフに入りました。いや~、よかった。なにが良かったって、プレーオフなんていう、いかにも心臓に悪い戦いをしなくても済むんですから。だって、柿谷でしょ山口でしょエスクデロでしょ矢島でしょ。昇格を賭けてこんな奴らとたった1枠を争うなんて、今考えたらゾッとしますわ。よかったよかった。

 

さて、そんな訳でエスパルスサポーターにとっては暇な時期になります。禁断症状出てもおかしくないです。なので、今オフはサッカーにまつわることをシリーズ化して記事を書こうと思ってます。第1回は「サッカーとお金」です。

 

サッカービジネスとは

その名の通り、サッカーによってビジネスを行うということです。エスパルスでいうと、左伴社長になって以降、清水、静岡という土地柄を活かして小口のスポンサー集め、過去最高の収益を記録しました。こんな感じですかね。

あと、来シーズンからJリーグの放映権が「DAZN」によって2100億という破格の額で売れました。これによってJリーグも分配金が上がったり、降格クラブの救済金を設けたり、あとCSなくなったりなど。CSはね、できる限りやりたくはないよね。日程面とかで選手にかかる負担は大きいし、1ヶ月ぐらいオフがズレ込むとかあるし。

 

話を戻しまして、リーグの発展のため、多額の放映権を手にして強化するという話は、世界に目を向けると、当然の話になります。例えばプレミアリーグ。ちなみに、イングランドトップリーグはプレミアですけど、その下、Jリーグで言うJ2をイングランドは何というか知ってますか? 「フットボールリーグ・チャンピオンシップ」って言うんです。おかしいと思いません?2部なのにチャンピオンシップなんですよ? ある意味、プレミアの誕生は現代のサッカービジネスにおいて基礎的なものとなり、当時は革命的でした。

プレミアリーグ誕生前は先ほどのフットボールリーグ・チャンピオンシップだったんですが、分配金が下部リーグのチームも含め、すべて均一でした。Jリーグは42くらいですけど、イングランドは100近くあるので、分配金は当然少ないです。なので、ビッグクラブと言われるチームでも、ビックリするほど少ない収益しかない。だから当時のチャンピオンズカップでもセリエAを筆頭に、イビチャ・オシム率いたレッドスターや、元祖銀河系軍団「キンタ・デル・ブイトレ」と呼ばれたレアル・マドリードなどから後れを取っていました。お金がなければスタジアムも古くなる一方なので、当時のイングランドのスタジアムはどこ行っても立見席ですから事故が多発。遂にはUEFAから国際大会の出場禁止令が出てしまうわけです。これではいかんということで、当時の1部にいたすべてのチームがリーグから離脱。新たにプレミアリーグが誕生したわけです。

プレミアリーグの放映権は、現在は「Sky Sports」が多額の放映権料を払っているほか、世界各地で放送されています。日本もJ spotsやNHKでも放送されてます。このように、以前では規制が多かったビジネスの面でも大きく変化し、クラブの収益のほとんどが多額の放映権料で占めているのが現在です。Jリーグのクラブの収益を占めているのは広告収入なので、その違いは大きく出ています。最近、楽天がトップパートナーシップを結んだバルセロナも、少し前までユニセフが入っていましたが、あれはスポンサーではなく、バルサユニセフへの大きな貢献をしているということで載せているだけです。そのバルサも収益のほとんどは放映権料です。少し前まで、リーガの分配金はバルサとレアルで全体の半分以上を占めるという歪な構造でしたが、現在はだいぶ変わっているみたいです。ということで、ヨーロッパのチームのユニフォームなんかには、実はJリーグのユニフォームほどスポンサーが入っていないんですね。スポンサー収入以外で十分やっていけるシステムなので、そんなにないと(そのスポンサー収入も1社辺りはとんでもない金額だと思います)。あとは外資系とか。

外資系参入が出たのでちょっと話しますが、スポーツビジネス、特にサッカービジネスが確立されていない日本では、今後は外資系の参入がカギになると思います。現在は緩和されていますから、株式すべてを購入なんてことはできませんが、海外の方がビジネスでも上手いので、Jリーグ発展のためには欠かせないと思います。そんな中でいち早く決めたのが、マンチェスターシティを筆頭とする「シティ・フットボール・グループ」はマリノスの株式20%近くを買い取りました。アジア、特に日本に目を付けたということで、国際貿易港でもある横浜のチームに目を付けたんだと思います。モンバエルツ招聘やアデミウソン獲得はこのCFGのパイプですから、影響は大きいです。ただ、ネガティブのことを言いますと、日本の文化と合わない可能性が高い。特に今オフのマリノスの状況を見れば一目瞭然です。荒れてます。CFGを説得できないから監督続投→選手反発なんていうことが起きることがあるわけです。CFGがマリノスにどれだけ本気なのかは分かりませんが、他にも、オーストラリアのAリーグメルボルン・シティやアメリカMLSのニューヨーク・シティと持っているので、今のところは実験的要素が強いのかなって思います。あと、Jリーグが完全なる参入を認めていないので、日産が完全に買収されるということもないです。ということで、現在はそんなに本気というわけでもなさそう。もし買収されたら、マリノスのチーム名からユニフォームからすべてが変わるのですが、外資系参入にはこういったリスクも伴うということも忘れてはいけません。

 

サッカー選手の年棒

プロ野球選手って、年棒を公表するじゃないですか。あれって、野球頑張ればこれだけ稼げるんだよと、夢をもたらすという意味で公表しています。しかし、果たして貰っている選手本人は本当に幸せなのでしょうか。

 

例えば、20代サラリーマンの平均年収は296万ほどとなっています。月収25万の計算です。対して、同じぐらいの年であるJリーガーの年棒は、いろいろな契約がありますが、B契約の上限は480万です。サラリーマンのほぼ1.5倍貰っています。これで、A契約になると上限がなくなり、要するに夢が持てる世界が広がります。現在のJリーグトップの年棒を貰っている選手が、確かガンバの遠藤だったと思うんですけど、1億は超えてます。2億はないかな。その中に基本給+出場給や勝利給があり、遠藤はじめとする知名度ある選手にはCMによる広告料やテレビ出演によるギャラも入ります。これは選手個人がそういった事務所とマネジメント契約を結べば話が入ってきます。よしもとクリエイティブ・エージェンシーだったりホリプロといった大手芸能事務所と結んでる選手も多いです。

ただそれは、先ほども言った通り知名度ある選手に限られます。そうではない選手はどうなのか。例えば、全国的知名度はなくとも、J1のクラブで主力として毎試合出場。年棒は3000万くらい貰っている選手がいたとしましょう。年齢は、そうですねぇ28ぐらいと仮定しておきましょう。毎年コツコツ貯金して、35くらいで引退しました。さてその時、口座にはどれくらい残っているでしょう。

28から35までは7年。その間ずっと年棒は3000万だったら、この7年で2億1000万稼ぐことになります。ウヒョ~、ですよね。夢ありますよね。でも現実、そんなに夢ないです。何故かというと、我々も払っている税金があるからです。それに生活費だってかかる。生活費やプライベートなんかを含めて半分抜かれての計算だと7年で1億500万。そこから所得税をはじめとする税金がきますから、いいとこ残るのは当初貰っていた金額の10分の1くらいです。要するに2100万。35で引退して2100万くらいです。還暦までの25年を2100万で暮らせと言われたら、あなたはどう思いますか?無理ですよね。家族もいたら、とてもじゃないけど暮らしていけません。キビシィ~。だから契約交渉というのはシビアなのです。「金に魅せられやがって~」という人もいますけど、プロであるのなら報酬がいい方に行くのは当然です。サラリーマンは基本的に終身雇用なので、やっていけますが、プロサッカー選手は引退の平均が24,5歳の世界です。1番脂がのる27,8歳で5000万でも少ないかなです。引退後、いわゆるセカンドキャリアを、クラブに拾ってもらう(社員もしくはクラブスタッフ)のなら完全に人生勝ち組です。監督としてやれたら、それは最高の人生です。だからこそ年棒を上げたいのです。契約にこだわるのです。今オフは各地で激震が走っていました。マリノス中澤佑二の年棒提示に前年のおよそ半額という数字を出して保留されました。当然です。暮らしもあるし、税金だって払わなくてはいけないし、なにしろこれまでのチームへの貢献は何だったのかと疑問を抱いてもおかしくはない。あと名古屋の永井謙佑が、夏までの契約期間から半年の契約延長、トータルで来季1年の契約を保留しました。これもサッカー選手ならではで、サラリーマンは基本的に終身雇用制ですから、余程のことがない限りクビというのはないです。ですが、サッカー選手は契約年数があります。例えば来年の1年は契約する保証はあっても、翌年また契約できるかという保証はありません。もし来年ケガでもし、翌年にクビになった。その時期に別のクラブが取ってくれる保証もない。どこも取ってくれないとその瞬間無職になります。だから複数年を要求する選手は多いんですね。こう考えると、クラブに雇用してもらうというより、株式会社Jリーグに生き残れるかのサバイバルマッチなわけです。年棒というのはシビアなもんです。

 

代理人という存在

サッカー選手や野球選手には代理人という存在がいます。特にサッカー選手の場合は、ルーキーイヤーから代理人が付いているケースも珍しくはないです。

代理人って何?

選手に変わってクラブと交渉するような人ですね。選手を宿泊だったり交通といったところをサポートしたりとか。あと、海外移籍するときにパイプを持っていれば契約を結んでくれる選手もいます。高原直泰の代理人であるトーマス・クロート氏や、中村俊輔の代理人ロベルト佃氏なんかは、そのパイオニアで、今の海外組もほとんどはこの2人と契約しています。

代理人の儲けとはというと、それは選手の年棒や移籍金なんかから手数料取るわけですね。マネジメント料として10%ぐらいとか。だから年棒交渉とかは、いかにして選手の良さをクラブにアピールするかがポイントになります。こっっっっまかいデータを用いたりとかですね、するわけですよ。例えばある選手の出場時間のチーム得点率とか、先発試合の勝率とか。代理人はビジネスとしてやっています。選手をクラブに売り込み、年棒を上げることができれば、会社の売り上げも上がります。当然といえば当然ですね。これが仕事ですから。だから、クラブとどうしても年棒の希望額と開きがあり、クラブに上げられる可能性がなければ、代理人は移籍という道を考えます。もちろん選手の要望も聞くとは思いますが、正当な額を出してくれなければ代理人の方で移籍の話を進めるケースもあると思います。ビジネスとしては失敗なわけですから。

 

このように、プロサッカーという世界は常にお金の問題が付きまとってきます。サッカー選手というのは、サッカーをビジネスとしてやるわけですから、それはそれでつらいでしょうね。

 

 

次回は、サッカー選手であるならば必ず付きまとう問題「サッカーとケガ」についてやります。

 

 

追記

なんか朝こんな目ん玉飛び出るかのニュースが出ていました。

headlines.yahoo.co.jp

いや~、バリバリシーズン中でバリバリレギュラーなイタリア代表正GKを本気で取れると思っていたのかなぁ。

サガン鳥栖に関しては、Sygamesがスポンサーになったことで金回りが良くなってますが、昨年のマガト招聘とか、いろいろとビッグネームを取ろうとしています。今オフも森重に始まり、小林悠などいろいろなところに触手を伸ばしていますが、全部フラれているという......。

お金あることはとても羨ましいんですが、今鳥栖がやっていることはクラブの規模に合う補強ではなさそうなんですよね。出す年棒とか破格だし。

今回プレミアの話題を例にしましたが、プレミアになり各チームの分配金が破格になりましたということはやりました。それは降格するクラブにも同じで、最下位のクラブでも100億ほどの分配金が入ります。それによって身の丈に合わない補強を繰り返し、大爆死するクラブが出ることが多くなりました。ある意味でプレミアリーグの功罪です。

例えばリーズ・ユナイテッド。今は聞きなれないクラブですが、プレミアになってから一時期大型補強をしてビッグクラブの仲間入りか、といわれていました。ところが、補強額に合わない成績を出してしまい、多額の負債を抱え主力の大量放出をせざるを得ず、降格してしまいました。鳥栖がここまでなることはないと思いますが、現有戦力のこととかいろいろ問題が出てきそう。主力が今年も放出されてるみたいだし。身の丈っていうのは大切です。