松原后の行く道
■大きな可能性、大きな不安
このブログを見てるであろう9割の方はエスパルスサポーターだと思うので、ご覧になった方も多いのではないでしょうか。先日、「Jリーグサッカーキング」でエスパルス特集が組まれたことで、これに先立ち、ニコ生でエスパルスの選手が次々にゲストとして出演し、いろいろと語ってくれた番組がありました。その番組の最初のゲストとして出演したのが、鄭大世と松原后です。
テセはよくTwitterとかいろんなところで、「松原のクロスがー」とよく言ってます。その通り、クロスボールに関しては本人も自覚していますが、精度がいいかというと、はっきり言えば悪いです。それで、松原のクロス時によく見かける光景がこんな感じ。
このように、1試合に1回はテセが松原にキレます。まぁこのクロスを上げられたらキレるわなぁ。
因みにニコ生ではテセが松原のクロスの問題に対して
「俺はCBとCBの間で何度も何度も動きなおして、やっとポジションを取っているのに、上がってくるクロスは全部ニアで跳ね返されるんだよ」
と言ってます。だいたいこんな感じです。それでニアでクリアされるクロスってのがコレ。
これにはテセも唖然としてますが、これが現在の松原のクロスです。ただ、稀にすんげえ~クロスを上げることがあります。例えば8月の横浜FC戦で見せた白崎へのアシストとなったクロスとか。
そんな中で、テセのツイートにこんなのがありました。
鄭大世 정대세 Chong Tese @ChongTese9 10月8日
松原にこういうクロスをいつも口すっぱくいうんだけどねー
このツイートにYoutubeの動画も張られていましたが、韓国代表のヨム・ギフンですね。左利きのウイングです。日本も日韓戦ではよくやられました。それでこの動画なんですけど、テセが言う、松原に参考にしてほしいクロスってのが、
昨シーズンのACL、水原三星VS柏レイソル戦から。テセが左サイドでボールキープしてから
中でヨムギフンが合わせるという、このクロス精度の高さ!!
もそうなんですけど、松原に見てほしいのはこれもそうだと思うんですが、やっぱコレ。
左サイド深くでヨムギフンがキープ。中にはテセがいます。
クロスを上げます。テセは赤丸のエリアを狙う。ヨムギフンもそこを狙う。
ドンピシャ。上手いわ。さすが長年韓国代表の左サイドを引っ張っていたほどの選手です。
このクロスの一連の流れも、先ほどの群馬戦でテセがキレたところとかもそうなんですが、テセは相手CBとCBの間でポジションを取ります。合わせられたら1番いやらしいところですね。36節のツエーゲン金沢戦の先制ゴールも、テセは相手CBとCBの間でポジションを取って点を決めています。
それでこのクロスですが、見事にテセにピンポイント。ボールスピードはもちろん、注目すべきは、途中でカクンとボールが落ちるんですね。それで相手はよりクロスに対しての対応がしにくくなるという。この落差あるクロスボールをテセは求めているんだと思います。
■松原后のディフェンス
ニコ生に戻ります。
テセ&松原の後に浩太&角田が出てきました。それで、冒頭で松原の話題が出たんですけど、角田曰く「DFなんだからそんな上がらず絞ってくれ」というのが本音みたいです。今のエスパルスは、白崎を中心に左サイドの攻撃が好調なんですが、この時白崎が中に入る→松原上がる→竹内が下がり組立、というのが一連の流れです。これがストロングポイントなわけですが、一応一定のリスクを背負ってるわけで、松原の後方にいる角田のカウンター処理に対する負担というのは掛かります。だからそんなに上がるなということなんですが、最初のころは結構上がってました。それで裏をやられるみたいな。しかしここ4試合連続で完封している中で、松原もあまり上がってないかなとも受け取れます。そこで今度は松原の守備を見て見るのですが、個人の守備の技量を図るというのは難しいです。守備のシチュエーションっていうのはケースバイケースなので、「これはやっちまったな」とか「これはしょうがない」というのもあります。なので今回は松原が構えている状態での守備を見てみます。
手前の2番の選手にボールが入りました。松原との1on1ですが、裏に抜ける選手がいます。さぁ、どうするか。
ここで縦のパスコースを切ります。裏に抜けた選手には誰も付いてませんが、松原がコースを切っているので出し手が上手くなければ出てくることはありません。
結局サイドチェンジしました。
このような対応はできるので、個人の守備能力はそこそこなのではないでしょうか。本当の1on1になったときとかは、白崎が全力で戻ってくるので、相手に歯止めを掛けておけば大丈夫です。
もともとフィジカルがある選手なので、簡単に競り負けることもないかなとは思います。初期はあっさり抜かれることもあってことは否定しませんが、良くなってると思います。
■生き残れるかは本人次第
ニコ生でテセとのトークの最中、松原は「目の前に相手がいると抜きにかかってしまう」と言ってました。そう言えば、彼のアーリークロスとかあんま観たことないかも。確かに松原のプレーの特徴に、強引に抜きにかかるというのは多々見られます。それで抜き切っちゃうとか。このプレーにテセは「それは若さだから」と一応容認していたようなそうでもなかったような。でもこのプレーは武器です。SBの選手にしてはリスキーなプレーですけど。ガンガン行けるのは長所なので続けていくべきです。
先日、こんな記事がありました。
かつて同じ背番号25を背負ったSB市川大祐を追い抜く存在になりたいとの記事です。
思い返せば、若い頃の市川も今の松原みたいに強引にドリブルしかけていたような印象なんですけど、経験を積んだことで健太エスパルスの頃はシンプルなプレースタイルになっていました。市川のプレーでよくあったのが、中央でフェルナンジーニョやヨンセン、兵働昭弘といったキープ力ある選手が溜を作ることでサイドにスペースを空け、そこに走りこんだ市川がダイレクトで入れたり、ワンタッチでかわしてクロスというのがあります。
テセが言うように、今松原がガンガン仕掛けられているのは若いからというのはあると思います。SBというのは相手に1番狙われるポジションです。背負えるリスクは最小限です。長続きするにはプレーをシンプルにしていくというのは必要なことなのかもしれません。またフィジカルもあるわけなのだから、守備を重視するプレースタイルというのもあります。今のプレースタイルを長年続けていくのは、今だからこそできるのであって、長いスパンを考えるとSBとしては難しいです。若干20ながらプレーヤーとしての分かれ道に来ています。でもある意味20歳でこの峠を迎えるというのは、成長スピードが速いからともいえるわけで、それだけ可能性があるということです。例えばレアルマドリードのマルセロみたいに、攻撃しか能がないというプレースタイルではない。だから大きな期待もあり不安もあるのです。
最後にもう1回テセの言葉を使います。
まだ若い選手です。ですが課題が大量にあるというのも事実。3年後、松原后がこの世界で生き残っているかどうかは本人次第。ポテンシャルはあるわけなのだから、今後どのような成長をしていくのか見物です。