河井陽介✖遠藤保仁@パスの捌き方
中継ぎ投手をどう評価しますか?
ブログを始めて結構立ちますけど、いろいろとスポーツを見る目が変わってきますね。それはサッカーだけではないです。
例えばプロ野球。
野球の花形は4番か先発投手です。特に日本では先発投手にいい選手が多いということで、なにかと注目されますよね。巨人の菅野智之とか、日ハムの大谷翔平、阪神の藤浪晋太郎......。メディアで騒がれるスター選手ってほとんどはスターターです。
選手の評価対象って、年棒で表されます。ピッチャーで年棒が億越えする選手は、スターターかクローザーです。チーム内では特別な選手です。一方で中継ぎというポジションは軽視される傾向があります。例えば先発で結果が出せないピッチャーを中継ぎに配置転向すると、メディアは「中継ぎ降格」と表現します。この表現に対して上原浩治は「降格ってなんやねん!リリーフ舐めんなよ!」と、ツイッターで呟いてましたが、本当にその通りです。年棒の話が出ましたが、リリーフで億越えする選手ってクローザーくらいで、たまに勝ちパターンの8回に投げるセットアッパーも超えるときはありますが、それって巨人とか金持ち球団くらいですよね。そりゃそうです。リリーフって、言い方は悪いですけど地味なんです。だって、先発と比べたらちょっとしか出番がないし、クローザーのような華があるわけでもない。仕事を終えたら真っ先にベンチに引っ込む。これがリリーフです。先発投手の仕事場はマウンドですが、リリーフはブルペンが仕事です。ずっと肩作っていたのに、結局出番はなかった。それもリリーフです。日に当たらないわけです。陰で行う仕事をどう評価するのか。組織で重要なのは太陽ではなく月です。
河井陽介のボール捌き
ここ数試合のエスパルスは、パスワークがよく、長時間ゲームを支配できるようになっています。安定したゲーム運びができるようになった秘訣は、ボランチでの支配力が大きくUPしたからです。
そんなことで、J2第22節ロアッソ熊本戦で解説の安永聡太郎に大絶賛された河井陽介のプレーを見てみます。
まず3分。
河井に出ます。
相手が寄せてきます。
相手を引きつけて右に出します。
次は5分。
白崎凌兵からボールが出ます。
河井にボールが入った瞬間、相手3人がボールウォッチャーになります。
上手く2人を引きつけてからパスを出します。
さらに7分。
竹内涼からパスが来ます。
白丸の相手選手がバックステップを踏みます。
縦の方向にいる枝村のパスコース上に入り、縦に入れさせまいとしてます。この時枝村は「右に出せ」とアクションをしています。
河井はその通りに右に出します。
開始から7分間で、河井を評価すべきプレーが3つもありました。
これまであげた3つのプレーは、一見何気な~いパス捌きに見えますが、全て相手を引きつけてからのパスであり、視野の広さのほか、止めて蹴るの基本動作に、状況判断力の早さのいずれもが高クオリティです。
ではここで、日本最高峰のパス捌きの名手である遠藤保仁のプレーもついでに見ていきましょう。先日のJ1セカンドステージ第2節ベガルタ仙台戦から。
前半10分。遠藤はパスを受けられる体制で周囲を確認。
今野泰幸からパスが出る。相手選手がやって来ています。
相手が来たところで、ダイレクトで今野に返す。
今野から再び遠藤へ。2人の選手がプレスに来る。
ダイレクトで藤春へ。
続いて22分。
アデミウソンから落としが来る。
アデミウソンとワンツーを挟む。
ダイレクトで左へ。
遠藤の場合は、ここまでのパス捌きはすべてダイレクトで叩いています。ただどれも、相手を引きつけたりとか、チームを落ち着けているなど、要所要所ゲームをコントロールしています。こういうプレーをしてくれる選手がいると本当にありがたいです。
それでは上級編!
以上を踏まえて、もう1度河井陽介のプレーを見てみましょう。
熊本戦57分から。
河井は竹内に出します。
リターンで河井に戻ります。
今度は白崎のターン。
白崎は河井へリターン。
河井は金子に楔を放つ。
この河井を中心としたポゼッションですが、熊本はこのクソ暑い中での連戦が影響していたからなのか、あまり食いついて来なかったのですが、ベストな状態であっても、ボールを取れることはなかったと思います。最初のプレーから、河井と遠藤は極シンプルにフリーな選手にパスを出しています。でも、そんな超~シンプルなパス捌きでも、相手を引きつけ、しっかり正確に繋ぎます。そこにミスは存在しません。それだから安心してボールを預けられるのです。
河井陽介の凄さ
テクニックは凄い、戦術眼は凄い、何もかもが凄い。開幕したての頃は白崎のケガによって左を主戦場にしたけれども、白崎復帰後は現在のボランチに、町田戦では遂にFWまでやりだしました。その中でも河井を1番評価すべきプレーは、今回やった何気ないパス捌きです。確かに河井は、スルーパスを出すこともあれば自分で持ち上がることもできます。でも、普通に淡々と何気なくパスを捌けるのは凄いの一言です。遠藤と比べましたが、ゲームメイクの点では本当に似ています。今のエスパルスの中盤を仕切っているのは間違いなく河井です。今後、エスパルスのゲームを観るときは、パスやポジショニング、動きなど、河井を中心に観てみるのも面白いかもしれません。
というわけで、今回は「本職はGK以外のすべて!いや、やろうと思えばGKだって本職だぜ!」の河井陽介のプレーでした。