豚に真珠

サンバのリズムに乗せられて、いつの間にかそのオレンジ色に魅了される。それが清水エスパルスというチームなんだ

ハイプレスとゾーンディフェンスから見る、攻守の両立方法/ポゼッションは永久に不滅

 

 

 

■攻守の一体化

現代は、とてつもないスピードで進化している。

つい最近発売されたと思っていた携帯電話は、今はスマートフォンとなり、SNSが発達している中で、メアドを交換する人はみるみる減っているし、今話題のポケモンも、初代は150匹しかいなかったが、20年経った今は800近くの種類がいるのだ。

 

サッカーだって同じ。アリゴ・サッキが流行させたゾーンディフェンスは、今やハイプレスの一環として大きく進化している。イタリアのカテナチオは死語となり、バルサが猛威を振るった圧倒的なポゼッションは、10年も経たず萎んできている。イングランドの放り込みサッカーなんてプレミアでも観る機会は減った。

 

現代サッカーの特徴は「攻守一体」。10年前まで、FWがこれほど守備を要求されたことはあっただろうか。CBやGKに足元を要求されるなんて、そんな常識は存在しなかった。どのチームも中盤をコンパクトにするのはセオリーであり、少しでも隙間があれば、そこを徹底的に突いていく。だから、奪われた瞬間に相手を襲い掛かるかのような守備を行わなければ、次々と失点をしていくのだ。

攻守分業の時代は終わった。選手個人個人に、与えられた仕事以上のタスクが求められるようになったのだ。

 

 

■攻撃のための守備

サッカーは、基本的に自軍の最終ラインと相手最終ラインの間でプレーする。オフサイドというルールがある以上、限られるエリアはピッチの3分の1程度しか残らない。

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ボールが存在するエリアは、基本的にこのエリア。現代のゾーンディフェンスは、このエリアの中で構成される。だから、ボールが存在することのないエリアを気にすることはない。その部分は省略していい。

日本でもCSで放送されている「バルサTV」という番組がある。その特集で「リメンバー・ボス」というバルセロナの歴代監督にスポットを当てたドキュメンタリーがある。歴代最長の8シーズンを率いたヨハン・クライフは、3回に分けて放送されていた。

(中略)

戦術メインのインタビューなので、インタビューは緑色の戦術板を用意して臨んでいた。戦術板というより、ピッチが描かれていた緑色の布だった。その上に、選手の代用となる丸いコマをのせて使うわけだ。 ところが、話が始まるや、クライフはテーブル上の戦術板ならぬ戦術布を手前に引き寄せ、その結果、ピッチの3分の1ほどがテーブルから垂れ下がってしまった。

冒頭からクライフらしくて可笑しかったのだが、ここに彼のフットボール哲学が表れていたといえるかもしれない。

使うつもりがないのだ、ピッチの3分の1は。

 

サッカーバルセロナ戦術アナライズ 最強チームのセオリーを読み解く 著者西部謙司 発行KANZEN 51項より引用

 

 

ハイプレスというのは、高い位置からプレスをかけるという意味で使われている。しかしこの表現は少々誤解を生むかもしれない。ハイプレスを正しく表現するならば、高い位置からのプレスではなく、速攻を繰り出すための前向きな守備といった方がいいかもしれない。例えばゲーゲンプレス。ユルゲン・クロップが開発したハイプレスは、欧州のメガクラブを相手に存分に威力を発揮した。

ゲーゲンプレスは、ボールを失ったその瞬間、ピッチ上の選手で相手に襲い掛かり、ボールを奪取する方法だ。相手からしたら、ポゼッションで攻められるよりも恐怖を感じるかもしれない。

プレスについては、クロップは攻撃の道具として設計している。クロップはプレスを「本能的な衝動」と捉えて鍛えている。十分に練習すると選手たちは、相手のサインや動き、決断を見抜けるようになり、いつ連携したプレスをスタートするかを理解するようになる。ターゲットになるのは相手のCBもしくはセントラルMFのことが多い。この集団のインスピレーションを彼は「衝動」と呼び、選手たちに熱中するような方法で教える。「衝動」は個別の守備練習ではなく、プレーの一部であり、攻守の一部だった。

「衝動」の一連の動きを説明するためにクロップは、オオカミの群れに例えた。捕食者は本能的に群れの中で最も弱いものを知り、全員で追いかける。様々な方向から1人を狙う。それが相手からボールを奪おうとするときの手順だった。“爪で引っ掻く”ことで相手CBのポジションを失わせ、ボールを奪えればマークを外しペナルティエリア内で2~4人でシュートまで持ち込むよう指導していた。こうしてドルトムントブンデスで最もエリア内シュートからの得点が多いチームとなった。

 

モウリーニョvsレアル・マドリー「三年戦争」 明かされなかったロッカールームの証言 著者ディエゴ・トーレス 訳木村浩嗣 発行ソルメディア 290項より引用

 

 

クロップのドルトムントブンデスで猛威を振るった理由は、ブンデスの日程面での条件が良かったから。Jリーグと違って秋春制であることもそうだが(夏にシーズンを行うJリーグでゲーゲンプレスは無理)、ブンデスは1月にウィンターブレイクが設けられており、そこでリセットすることができる。クロップがプレミアでは通用しないと議論になっていたが、あれだけ体力の消耗が激しいスタイルでプレミアを戦うのは難しい。プレミア伝統のスタイルとの相性もあるだろうが、1番は年末年始の過密日程。この時期、普通に中1日とかの鬼日程が組まれているため、スタミナが持たないというのが1番の理由。去年はよくやった方だと思うけど。

話を戻して、ゲーゲンプレスはコンパクトな陣形であればあるほど強力性が増していく。守備のための守備ではなく、攻撃をするための守備なのだから、奪った後の速攻にも厚みが出てくる。反対にデメリットは、連動していなければいないほどボールウォッチャーになりやすく、素早いサイドチェンジで崩されやすい状況が生じるからだ。クロップは攻撃のための手段としてこのプレスを取り入れたことから、あえて相手にボールを保持させ、自らアクションすることでボールを奪うという方法に至った。

クロップは、ボールを持たせるとRマドリーが硬直してしまうことに気がついていた。ダイレクトなプレーを実践するRマドリーは同じやり方で対戦されると無力化する。彼は選手たちにグラウンドとボールを譲って主導権を渡すよう命じた。試合後の統計には、通常ならサッカーの健全さを表すものの、モウリーニョのチームにとっては問題であるデータが残った。Rマドリーは56%のボール支配率を記録したのだ。クロップは言った。

「Rマドリーにボールを持たれたことは悪くない。悪いのはボールだけではなく、より良いアイディアを持たれた時だけだ。あの2-1の試合では我々のアイディアが上回ったと思う。なぜなら、ボールを支配する相手に問題があることを見抜いていたからだ。どこにパスを送り、どうやってロナウドを探すのかはわかっていた。我々のプランはX・アロンソをマークすることだった。彼に自由にプレーされたらRマドリーの攻撃を防ぐことはできないが、彼をマークすればペペがボールを持つことになる。それは大した違いではないが」

 

モウリーニョvsRマドリー「三年戦争」 明かされなかったロッカールームの証言 著者ディエゴ・トーレス 訳木村浩嗣 発行KANZEN 289項より引用

 

 

ステマチックなハイプレスは、その実態はゾーンプレスと変わらない。結局のところ、ゲーゲンプレスも数学的な仕組みの構造となっているため、個々のゾーンがかなり圧縮されたプレスだ。例えばEURO2016のスペイン対イタリアでも、イタリアの個々の距離感を圧縮したプレスを前に、スペインは縦に放り込むことしかできなかった。ティキタカが失われたあの瞬間、スペインは攻守のバランスを失ったのだが、その話はまた後で。

 

■ゾーンディフェンスの誤解

従来の、というより今までの「ゾーンディフェンス」は、ブロックを作ったうえで選手の配置を細かく分け、相手からボールを奪っていくやり方だ。セリエA全盛期のサッキが築いたミランがすべての始まりだった。

それから20年ほどの月日が経ち、グアルディオラ率いるバルセロナが前線からのプレッシングという守備を流行させ、現在はドルトムントのゲーゲンプレスにシメオネアトレティコといった、プレッシングとゾーンのミックスがトレンドとなっている。

「ボールを奪われた瞬間、そこに人がたくさんいるのだから、まだ攻撃の途中という感覚を持ちつつ、そこでディレイしたり、リトリートしたりして下がって守備をするのではなく、一気にプレスをかけてしまうという戦術です。もはや現代サッカーでは攻守の分け目がなく、セットになっていることを象徴する守備の考え方ですが、選手たちがボールを奪われた瞬間に前線からプレッシングするとき、そこで連動したプレッシングをする判断の拠りどころとなるのは、全て相手ボールホルダーの状況によって決まるということです」

 

サッカー守備戦術の教科書 超ゾーンディフェンス論 著者松田浩 鈴木康浩 発行KANZEN 36項より引用

 

 

ゾーンプレスは、自分のゾーンに侵入してきたときにプレスを掛けるのが従来だった。ところが、進化版のゾーンプレスは、プレーヤーの守備エリアを超えてプレスに参加することが求められる。

 

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今は「相手のゾーンから優先的」に人数を掛けてプレスを行う。ボールサイドに人数を掛けることによって、ボール保持者に対し圧力を増していく。

 

しかし、このプレスには致命的な欠点がある。広大なスペースを生んでしまうということだ。ボールを中心とした守備は、ボール保持者に対しては圧力をかけることはできる。問題は、オフザボールの選手だ。もう1度振り返ろう。現代のゾーンプレスは、自身のゾーンより、ボールが存在するゾーンが優先される。

つまり、ゾーンディフェンスの狙いとはマンツーマンをベースにしたサッカーがいかに相手に対して数的優位の状況を作れるかを狙いにするのに対し、“たった一個のボールにいかに数的優位を作れるか”ということがあるのだ。

 

サッカー守備戦術の教科書 超ゾーンディフェンス論 著者松田浩 鈴木康浩 発行KANZEN 60項より引用

 

 

ボールに行くのに引き換え、広大なスペースを作るこのディフェンスは、1人でもセオリーから外れれば一瞬にして崩壊する。スペースを消すならば、最終ラインを常識はずれレベルまで上げ、ボールが存在するエリアを消していく。当然、そうなれば裏に広大なスペースが誕生するため、超一流のCBがこの戦術には不可欠なのである。

 

 

■攻守一体化になる方法

1番手っ取り早い方法は、前線からのプレスにショートカウンターという戦術。攻撃のための守備という、ボールを高い位置で奪えることが前提の戦術は、ピッチ上に立つ全選手がシステマチックに動かなくてはならない。要するに“ロボットになること”が要求されるのだ。

バルセロナが隆盛を極めた影響もあったのだろう。数年前、日本サッカーがバルサ一色に染まり、ポゼッションなるマジックワードに踊らされてしまった時間はひどくもったいなかった。あの時期に守備の話を持ち出そうならば、「面白くない」「選手をロボット扱いするな」、挙句の果てには「守備ブロックなんて糞くらえだ」と公然と言い放ったプロ監督がいたときには悲しくなった。

 

サッカー守備戦術の教科書 超ゾーンディフェンス論 著者松田浩 鈴木康浩 発行KANZEN 6項より引用

 

 

今は、科学の力で守備戦術を筆頭に、選手のポジショニングから最終ラインの高さまで、細かく数値化されるようになり、効率的な守備戦術が完成している。それは今回のEUROでイタリアやポルトガル、あるいはドイツがやったディフェンスを見れば一目瞭然だ。

 

 

■ポゼッションは死なない

攻守一体化にはもう1つ方法がある。高いボールポゼッションにより、自軍の守備機会を減らしていくというやり方、“ティキタカ”である。

「“ティキ・タカ”は死なないさ。もし死んでしまったならば、良くない方向に進むことになる。僕たちはバルセロナじゃなくなってしまうんだよ。僕はバルサのようなプレーを見せられるチームが、ほかには存在しないと断言できる。どのようなチームであっても、バルサのレベルにはないんだよ。ペップのバイエルンでさえ、そのレベルには到達しなかった」

 

headlines.yahoo.co.jp

 

 

 

ポゼッションはボールを保持することで、自軍の守備時間を減らし、またいつでも攻撃を仕掛けることができる。究極の戦術と言ってもいいだろう。しかし、使い方によってポゼッションは自分の首を絞める凶器になりうることもある。ボールポゼッションを目的とした戦術では、ボールキープで満足してしまい、いつの間にか「ボールを持たされている」という感覚に陥ってくる。こうなると、前線にスペースがなくなり、ポゼッションをしている意味がなくなってくる。ならばボールを放棄し、スペースを生み出した方が点を取ることができる。ポゼッションは相手から「嵌められやすい」のだ。

 

だが、ポゼッションがサッカー戦術で1番の究極なのは変わりない。いつでも攻撃できれば、攻められる心配もない。やるならば、中途半端に進めるのではなく、とことんやるべきであり、ボール回収のサイクルまで理詰めに戦術を組み立てなくてはならない。

「私は、ボールポゼッションこそがカギだと考えています。ボールをより長く支配することで、ゲームを支配できるからです。自分たちはより多くの攻撃、より多くのチャンスを作り、反対に相手にはより少ないチャンスしか与えない。体力的にも、ボールと相手を走らせることで相対的に有利になることが多い。7割方ボールを支配できていれば、それだけ価値に近い位置にいられます。そうすると、だいたい8割方は試合に勝てるのです」

 

サッカーバルセロナ戦術アナライズ 最強チームのセオリーを読み解く 著者西部謙司 発行KANZEN 143項より引用

 

 

サッカーという競技に絶対の勝利の方程式が存在しないのだから、最も点を取ることができるチャンスが多いポゼッションサッカーが1番勝ちに近いサッカーだというのは、もう説明しなくてもわかるだろう。もしポゼッションがこの世から失われるのであるなら、それはサッカーの終焉を意味する。

 

 

■守備戦術の限界

ビエルサは単なるビデオ分析家ではない。信念を貫徹する彼の意思は、こちらが怯むほどに強い。

「守備戦術などはせいぜい五、六つくらいしかやり方はないのですから。私に言わせれば守りを固めることなど、とても簡単ですよ。何をどうこねまわしたところで限界があるのですから。でも攻撃戦術には際限ありません。選手の創造力次第でいくつもの展開を作り出すことができます。私はその難しいことに挑戦したいのですよ」

 

『名将への挑戦状』ヘスス・スアレス、小宮良之著、東邦出版、2011年発行。111頁より。

 

 

 

 

長期的に強さを披露できるチームは、大体がポゼッションサッカーを志向している。それはバルセロナアーセナル、またスペインやドイツもそうだ。逆に昨シーズンのチェルシーを見ていれば、またクロップ・ドルトムントのラストに表れるように、ポゼッションにこだわりがないチームは、一時的に強さを見せるが、長くは続かない。もちろん守備は大切だが、それだけでは勝てないのだ。

 

 


サッカーで生き残る道は攻守一体化しかなくなった。

その方法は「ゲーゲンプレスによるショートカウンター」と「圧倒的なポゼッション」。引いてブロックを形成するチームに光が当たるのは、せいぜい短期決戦のトーナメントくらいで、長期的なリーグ戦、またそれが高いレベルならば、もはや通用しなくなる。

 


守備戦術には限りというのがあり、どんな良質な守備陣形ができていたとしても、いつかは限界を迎える。その守備を永遠とするのなら、その守備につながる攻撃の戦術を組み立てなくてはならない。

河井陽介✖遠藤保仁@パスの捌き方 

中継ぎ投手をどう評価しますか?

ブログを始めて結構立ちますけど、いろいろとスポーツを見る目が変わってきますね。それはサッカーだけではないです。

 

例えばプロ野球

野球の花形は4番か先発投手です。特に日本では先発投手にいい選手が多いということで、なにかと注目されますよね。巨人の菅野智之とか、日ハムの大谷翔平阪神藤浪晋太郎......。メディアで騒がれるスター選手ってほとんどはスターターです。

選手の評価対象って、年棒で表されます。ピッチャーで年棒が億越えする選手は、スターターかクローザーです。チーム内では特別な選手です。一方で中継ぎというポジションは軽視される傾向があります。例えば先発で結果が出せないピッチャーを中継ぎに配置転向すると、メディアは「中継ぎ降格」と表現します。この表現に対して上原浩治は「降格ってなんやねん!リリーフ舐めんなよ!」と、ツイッターで呟いてましたが、本当にその通りです。年棒の話が出ましたが、リリーフで億越えする選手ってクローザーくらいで、たまに勝ちパターンの8回に投げるセットアッパーも超えるときはありますが、それって巨人とか金持ち球団くらいですよね。そりゃそうです。リリーフって、言い方は悪いですけど地味なんです。だって、先発と比べたらちょっとしか出番がないし、クローザーのような華があるわけでもない。仕事を終えたら真っ先にベンチに引っ込む。これがリリーフです。先発投手の仕事場はマウンドですが、リリーフはブルペンが仕事です。ずっと肩作っていたのに、結局出番はなかった。それもリリーフです。日に当たらないわけです。陰で行う仕事をどう評価するのか。組織で重要なのは太陽ではなく月です。

 

 

河井陽介のボール捌き

ここ数試合のエスパルスは、パスワークがよく、長時間ゲームを支配できるようになっています。安定したゲーム運びができるようになった秘訣は、ボランチでの支配力が大きくUPしたからです。

そんなことで、J2第22節ロアッソ熊本戦で解説の安永聡太郎に大絶賛された河井陽介のプレーを見てみます。

まず3分。

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河井に出ます。

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相手が寄せてきます。

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相手を引きつけて右に出します。

 

次は5分。

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白崎凌兵からボールが出ます。

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河井にボールが入った瞬間、相手3人がボールウォッチャーになります。

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上手く2人を引きつけてからパスを出します。

さらに7分。

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竹内涼からパスが来ます。

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白丸の相手選手がバックステップを踏みます。

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縦の方向にいる枝村のパスコース上に入り、縦に入れさせまいとしてます。この時枝村は「右に出せ」とアクションをしています。

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河井はその通りに右に出します。

 

開始から7分間で、河井を評価すべきプレーが3つもありました。

これまであげた3つのプレーは、一見何気な~いパス捌きに見えますが、全て相手を引きつけてからのパスであり、視野の広さのほか、止めて蹴るの基本動作に、状況判断力の早さのいずれもが高クオリティです。

 

ではここで、日本最高峰のパス捌きの名手である遠藤保仁のプレーもついでに見ていきましょう。先日のJ1セカンドステージ第2節ベガルタ仙台戦から。

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前半10分。遠藤はパスを受けられる体制で周囲を確認。

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今野泰幸からパスが出る。相手選手がやって来ています。

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相手が来たところで、ダイレクトで今野に返す。

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今野から再び遠藤へ。2人の選手がプレスに来る。

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ダイレクトで藤春へ。

続いて22分。

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アデミウソンから落としが来る。

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アデミウソンとワンツーを挟む。

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ダイレクトで左へ。

 

遠藤の場合は、ここまでのパス捌きはすべてダイレクトで叩いています。ただどれも、相手を引きつけたりとか、チームを落ち着けているなど、要所要所ゲームをコントロールしています。こういうプレーをしてくれる選手がいると本当にありがたいです。

 

 

それでは上級編!

以上を踏まえて、もう1度河井陽介のプレーを見てみましょう。

熊本戦57分から。

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河井は竹内に出します。

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リターンで河井に戻ります。

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今度は白崎のターン。

 

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白崎は河井へリターン。

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河井は金子に楔を放つ。

 

この河井を中心としたポゼッションですが、熊本はこのクソ暑い中での連戦が影響していたからなのか、あまり食いついて来なかったのですが、ベストな状態であっても、ボールを取れることはなかったと思います。最初のプレーから、河井と遠藤は極シンプルにフリーな選手にパスを出しています。でも、そんな超~シンプルなパス捌きでも、相手を引きつけ、しっかり正確に繋ぎます。そこにミスは存在しません。それだから安心してボールを預けられるのです。

 

河井陽介の凄さ

テクニックは凄い、戦術眼は凄い、何もかもが凄い。開幕したての頃は白崎のケガによって左を主戦場にしたけれども、白崎復帰後は現在のボランチに、町田戦では遂にFWまでやりだしました。その中でも河井を1番評価すべきプレーは、今回やった何気ないパス捌きです。確かに河井は、スルーパスを出すこともあれば自分で持ち上がることもできます。でも、普通に淡々と何気なくパスを捌けるのは凄いの一言です。遠藤と比べましたが、ゲームメイクの点では本当に似ています。今のエスパルスの中盤を仕切っているのは間違いなく河井です。今後、エスパルスのゲームを観るときは、パスやポジショニング、動きなど、河井を中心に観てみるのも面白いかもしれません。

 

というわけで、今回は「本職はGK以外のすべて!いや、やろうと思えばGKだって本職だぜ!」の河井陽介のプレーでした。

稀代のファンタジスタにしてチームプレーヤー‼ 白崎凌兵

この間のザスパ草津......、いやザスパクサツ群馬との試合は8-0という、アインシュタインもビックリする点差で勝ちました。この試合について戦術とか采配とか言ってもしょうがないんで、面白かったところをピックアップしました。

 

 

なんぞ~あのシュート!

村田和哉の2点目ですね。すごかったです。アレ見て、「そういえば村田って野洲出身だったな」って思いました。今まで野洲っぽいプレーはそんななかったんで。ここまで書いといアレですが、今回の主人公は村田じゃないです。白崎凌兵です。

 

■「エイドリア~ン‼」の巻

金子のエスパルス初ゴールとなった8点目ですが、これをアシストしたのは白崎です。

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金子は「やったよー。ボクやったよー」みたいな感じで喜んでます。白崎もそんなマスコット金子を向かい入れてます。シュートし損ねた北川は少し悔しそうです。

このクロスも、非常に柔らかいタッチで、こんなクロスを上げられたら簡単に決められます。精度が物凄く高かった。しかし、こんなファンタジックなプレーの陰にはこんなことがありました。時計の針は戻ること70分。

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エライッ! ちゃんと守備しています。

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このクロスは杉山力裕の下に。では続き。

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再び守備する機会が訪れたわけです。これは大変! このプレーもカットしましたが、また相手の下へ。

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白崎「ヒィィ~。またかよ!!」

こんな心の声がしてもおかしくないでしょう。ただそれでも守備はサボりません。エライです。

 

■白崎 orzの巻

ただ、こんな走ってると疲れてくるのは当然です。それで、終盤こんなシーンが。

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自陣深くでボール奪ってから前線まで必死で走ったのに合わないなんて、もうシンドイ―。

終盤へばった白崎は、守備をマスコット金子に任せて前線で待っていることがありました。ただこんだけ走っていたらしょうがないです。そりゃ疲れます。元紀に代えて石毛を入れるときには、白崎を1個上げるのかなとか思いましたが、そのまま石毛を2トップの1角へ。これはこれでおもしろかったけど、白崎は「シンドイー」な感じでした。

 

■前半からハッスルの巻

開始3分で先制点とか、前節と展開が似すぎていて怖かったけど、いらぬ心配でした。

白崎のプレーで圧巻だったのが4点目の起点となった、およそ50mの単独ドリブル。

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こんな感じでハッスルかましてよかですか!!みたいに気分よくドリブルしてました。

 

白崎凌兵

僕はエスパルスの中では大前元紀派な感じですけど(派閥なんかないですけど)、次が白崎です。理由としては、白崎のプレーには華があるから。ボールを持てば、そこにメルヘンな世界を創りだすからです。

 

今回は白崎を中心に見ていきましたが、昨年から狂っているかのように守備にも走り出した白崎はまさに最強への道を歩み始めています。後は攻撃は全部任せろな感じでいてくれれば言うことなし。若きファンタジスタは現在、急成長中です。

 

 

おまけ

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エスパルスの失点が止まらない理由は何か考えてみよう

■セカンドボールが拾えない理由は何か

拾えないですねぇ。なんででしょう、って印象だけで考えてみたんですよ。ということで、ちょっと学んでみましょう。

 

これからの画像は、以前スポナビの方で書いた記事からの引用です。

開幕から現在まで:エスパルスの現在地/チーム作りにおける“三種の神器” | 猫に小判 | スポーツナビ+

 

開幕戦の画像です。

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相手のクリアボールです。

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はい。この時は安定するぐらいセカンドが拾えていたんですよね。それが今どうなっているかというと、本当に拾えない。何でこうなったのか。そこでヴェルディ戦を見てみましょう。え?見たくないって?こっちだって見たくないよ負け試合なんて!まぁ文句言わず見てみましょう。チキショー。

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お分かりいただけましたか? 開幕戦のセカンド奪取と現在のエスパルスの違い。コレだけで一目で分かります。なにが違うって、最終ラインの高さなんですよ。

 

開幕戦の画像では

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最終ラインはハーフウェーラインの辺りなんですよ。だからコンパクトな陣形ができてセカンドを拾えていた。では現在はというと

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ボランチがハーフウェーラインを越えています。そのラインが低い証拠に先ほどのヴェルディ戦の続き

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中盤スッカスカです。これじゃあセカンド拾えないです。ではいつからこうなった?

 

 

■GKのタイプとコーチン

GKなんてあんま分かんないっすよ。ただ不思議なことに西部離脱後(あるいは鎌田離脱後)から失点が止まらない。すべてのチームがそうだとは言いませんけど、だいたい最終ラインの高さってGKのプレースタイルも影響されるじゃないですか。例えば櫛引のようによく前出るタイプのGKなら引いて守る必要はないです。

 

杉山力裕の例

セレッソ戦から

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ゴールキックからクリアされます。このゴールキックってのが大事。1番ラインを上げられゴールキックの時点でズルズル下がってます。相手がセレッソとはいえ、これはちとまずいです。

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リカルドサントスとビョンが競り合います。

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弦太がカバー。ただリカルドサントスには前を向かれてます。

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竹内がカバーして取りあえず回収成功。ゴールキックからのスタートで結構ズルズル下がってます。キック精度とかいろいろありますけど、力裕の時からラインが下がってきているのは明白です。最後の画像見てもらえばわかるんですけど、竹内が最終ラインに吸収されてます。上手く回収できればいいんですけど、ここ数試合はラインが低い+中盤が最終ラインに吸収という現象が多くて、中盤に人がいないっていう状態が続いてます。

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こんなんが多いです。特に右サイド(川口サイド)の守備がヤバいんで本当に中盤が右行って最終ラインに吸収されてスカスカになるっていう。

 

京都サンガ戦から

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クリアします。この時点でラインを上げたい!

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おやまぁ。ラインを上げたいですねぇ。力裕になってからの失点パターンはミドル5、サイド2、セットプレー1です。ミドルの大半はゴラッソです。相手を褒めて称えるべきゴールなんですが、ラインが低いが故に撃たれているという面も見られます。

 

碓井健平の例

碓井ねぇ。岐阜戦は久しぶりだからしょうがねぇかと思ったけど、徳島戦から「ヤベェな」って思っちゃいました。何でかっていうと、もともとのポジショニングが低い。「キーパーキーパー!!」って思ってる場面でもなかなか出てこなかったり、心配な場面が多いです。まずコチラ。

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碓井はサイドを指示してます。

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ヤコのボールがきつかったとか、連携が合わなかったとかありますけど、碓井のポジショニングがちょっとアレです。ヤコは、碓井の利き足である右側と、ゴールから外してのパスコースです。ただこの時のポジショニングは堂々ゴール前でした。碓井のビジョンは「タッチラインに逃げろ」だったかもしれないですけど、それでもこのポジショニングはないです。

もう一つ

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角田がクリア対応で苦戦してます。

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碓井はクリアを指示してます。ただこの体勢ではちょっと難しいです。

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クリアの場面でしくじってます。

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結局コーナーです。こんな感じで、最終ラインとキーパーとの意思疎通ができてないんですね。

 

 

■ポジショニングと守備範囲

力弘も碓井もそれぞれ長所はあります。ただ今のエスパルスの戦術と彼らの守備範囲がマッチしてないというのがあります。

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こんな感じです。ラインが下がっている証拠といいますが、守備のときもそうなんですけど、1番分かるのは、ビルドアップの時にどの位置で最終ラインがいるのかと、キーパーがペナルティーエリアを飛び出して組立に参加しているかどうかです。序盤戦の失点が少ない(被シュート数も少なかった)時期は、要するに西部がいた時期ですね、この時は西部もエリアを出て組立に参加していたりしてました。高い位置で守備ができていた証拠です。キーパーの足元がおぼつかない状態ならなかなかバックパスはできません。碓井になってからはほとんどキーパーへのパスは見られなくなりました。こうなると低い位置でのパス回しに終始して、全体が下がってしまうという悪循環に陥るので、勇気いりますけど、無理してでも上げた方が身のためだと思います。

 

 

■残り試合に向けて

正直なことを言うと、自動昇格はもんんんんんんの凄く難しいと思います。現時点では。上位陣が吉本新喜劇みたいに大コケするのを待つしかないです。3分の2残ってますけど、それは上位陣も同じだから。仮に、仮にウチが全勝できればそりゃ優勝できると思いますよ。でも現実的に考えてそれは無理。自動昇格ラインは勝ち点75だと思ってます。去年は異常過ぎで、80越えが3チームなんて普通はあり得ないです。それを差し置いても難しい。チョーーーーー現実的な考えです。1試合少ない札幌との勝ち点差が10って。これってかなりデカい。だから今季はあきらめましょうスペインみたいに白いハンカチを振りましょう来季のことを見据えて思いっきり若手を使ってみましょう..........。なんかスッキリした。

 

デッドラインっていうか、年間で負けてもいい試合数は、引き分けというのもありますが、9までだと思ってます。3分の1時点で半分切ってるんで、もういい加減ギア上げましょう。個人的にコバさんのことは信用してます。っていうか、コバさんで無理だったら本当にあきらめた方がいいと思ってるぐらいです。後半戦でグググッと上がればいいんですけど、さすがにこの連敗は絶望感がやってくるわ......。失点だってほとんどミス絡みだからね。自滅でここまで来てるんだから救いようが......。

 

だから早く帰って来てくれ西部!!ってことで今日はここまで、さようなら。

 

 

 

 

 

 

清水エスパルス版用語辞典

清水エスパルス ー ジェットコースター。高低差が激しい。

 

パス ー 保険。河井陽介の専売特許。

 

ドリブル ー TBSでやっている「SASUKE」という番組。チャレンジャーが多数集まる。

 

クロス ー ため息。

 

ボール ー みんなが大好きな食べ物。村松大輔だけはなぜかアレルギー。

 

イエローカード ー 身代わり。

 

レッドカード ー 肩代わり。

 

フリーキック ー 頼みの綱。ここ数年は切れかかっている。

 

コーナーキック ー ストレス。

 

PK ー プレゼント。誰もが欲しがっている。

 

監督 ー 防波堤。

 

アフシン・ゴトビ ー ことわざ。「好き嫌いが激しい」という意味。

 

大榎克己 ー 恋人。または愛人。愛の強すぎには注意が必要。

 

長谷川健太 ー 初恋の相手。思い出深いためなかなか忘れられない。

 

澤登正朗 ー 片思いの相手。愛の強すぎには注意が必要。

 

三都主アレサンドロ ー 長男。浦和に1人暮らしをしに行ったっきり帰ってこなくなった。

 

岡崎慎司 ー 次男。ドイツに旅行に行ったっきり帰ってこなくなった。

 

ジュビロ磐田 ー 元カノ。なんだかんだ気になる存在。

 

中山雅史 ー 理不尽な様。例えば特定の試合に限ってドリブルが上手かったりとか......。

 

名波浩 ー 魔法使い。

 

ヴェルディ川崎 ー 幼馴染。昔は仲よく遊んでいたが、今ではお互い変わり果てた。

 

ポスト ー ノヴァコヴィッチの友達。よく当てて遊んでいる。

 

オフサイド ー ピーター・ウタカの親友。1日に3回は会っている。

 

メンタル ー いいわけ。

 

審判 ー 憂鬱。

 

ポゼッション ー タバコ。高濃度の中毒物質。

 

カウンター ー 1番効率がいい故、好む人は少ない。

 

Jリーグ ー 夢。希望。

 

ナビスコカップ ー 宝。実は1番ほしいもの

 

天皇杯RPGのラスボス。

 

ACL ー 過去。誰もが忘れている。未来のことも指す。

 

サッカー ー 娯楽。老若男女が楽しむモノ。

ゲームメイクと組み立ての種類/本田拓也と竹内涼の違い

今のエスパルスには、パサーと言われる選手は結構います。

 

ただ、それぞれ特徴は違います。個人の組み立て方だったり、パスの受け方出し方も十人十色です。ストライカーが、高さが武器なタイプもいればスピードが武器のタイプがいるのと同じです。

今回は、本田拓也竹内涼という、組み立て方がまっっっったく違う2人を見ていきます。

 

本田拓也の組み立て

J2開幕戦となった愛媛FC戦から

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本拓のカットから、ボールを回収

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白崎凌平から三浦弦太へ。本田の目線は前線。

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ここで1度パスを要求。だがフィードを相手にクリアされ、再び弦太の下に。

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弦太から西部洋平へ。本田の目線は逆サイド。

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西部から犬飼智也へ。再び右サイドを見る。

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犬飼からパスを受け、六平光成へ。

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六平から白崎へ。本田は右サイドを見る。

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白崎からパスを受ける。また右サイドを見る

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トラップと同時にルックアップ。狙いは右サイドの前方

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鎌田翔真が裏に抜けるが惜しくも合わず。

 

本田拓也の特徴

この1連の30秒くらいの間に、本拓は11回も首を振って前線を確認している。常に縦を狙っている。だからルックアップのタイミングからフィードまでの時間が短い。ボールを受ける前から組立の画を描いている。

 

 

竹内涼の組み立て

ニューイヤーカップ北九州戦から

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竹内がボールを持つ

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サイドにボールを入れる

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リターンが来る。ここでルックアップ

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もう1度サイドへ。出した際にバックステップを踏む。

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またリターンを受ける。そしてまたこのタイミングでルックアップ。

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最終ラインに下げる。

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最終ラインに入る。

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パスを受ける。

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トラップしてルックアップ。

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裏に抜ける白崎へ。

 

竹内涼の特徴

簡単に言うと、ショートパスを繰り返しながらリズムを引き寄せる感じ。自分で流れを作り、その中で来るべきタイミングで縦パスを入れる。以前チームのビルドアップについての記事を書きました。

www.plus-blog.sportsnavi.com

ここでも、竹内はショートパスを繰り返してリズムを作っています。本拓との違いはここです。

 

本田拓也竹内涼の違い

本拓は常に縦を狙っています。いつでも首を振って前線を確認している。だからファーストタッチも前を向けるようになってます。対して竹内は、時々ダイレクトでキラーパスを1発で入れることはありますが、基本的にボールタッチを増やしながらリズムを作るタイプです。竹内が流れを1から作る組み立てで、5メートルの視野を持つタイプなら、本拓は流れとかそういうのが一切関係なく、2,30メートルの視野を持ち、1つのフィードで局面を打開できます。これを「飛び道具」と言うんですね。パサーというジャンルは一緒でも、プレースタイルはまるで違うんです。

 

 

 

さて、このブログも開設してから1年です。時の流れは早いものです。ここまでの記事を振り返ってみると、ほとんどが攻撃ばっか。あとパサーが7割。これ、完全に趣味です。ただ結構偏りがあるなぁって思いました。

 

1年経ったので、何か新しいことを始めたいなって思っているんですけど、何始めようかは考え中です。決まり次第即始めます。

次回は、今までが攻撃ばっかなので守備に目を向けます。ってことで

中澤佑二@ディレイ ~センターバックの1on1 前編~』

本田拓也@スライディング ~タイミングの合わせ方~』

のどちらかをやります。

石毛秀樹のゴールを演出した竹内涼の神パス@1st第14節川崎戦

事件は現場で起きていた!!

 

1st第14節川崎フロンターレ戦の4点目となった石毛秀樹のこの日2点目のスーパーミドル。

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凄いゴールですね~。

でも今回とりあげるのはこのゴールではなく、この前のプレー。

 

では報道ステーションでノボリがやっている巻き戻し風にやると

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はい、ここから、

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はい。話はここから。

 

まず事の発端として、石毛のゴールをアシストしたのは枝村匠馬。その枝村はどうしてドフリーでボールを受け、パスを出すことができたのか。その事件のカギを握る人物がこの画像の丸の中の選手。答えは簡単。竹内涼です。このゴールは、この竹内の見事かつ、ビューティフルゴッドパスによって始まったのです。ではじっくり見ていきましょう。

 

まず竹内がボールを受けるところから。

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今、右サイドでボールを持っている水谷からボールを受けます。そしてこの画像の登場人物を位置と共に把握しておいてください。あとでテストに出します。先生言ったからね。テスト出るよ。

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ここに名前が書いてある選手が重要参考人です。ちなみに"KING of PASS"とは中村憲剛のことです。

 

ではここから別アングルで証拠を探します。

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はい、竹内がもらいに行きます。

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はいココ!!

ちょっと分かりにくいんですけど、この場面で中をチラ見してます。最初のアングルだと、竹内が映ってなかったので分からないんですけど、ここだと微妙に目線を移してます。それでその瞬間、川崎の森谷が重心を中にずらしてます。多分、森谷の頭の中は、「枝村は後方の谷口に任せとけばいい」という考えがあったでしょう。なぜなら、竹内の目線の先と森谷が体重を寄せている先にいるのは誰か。

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もうここがドフリーだった。あと角田がマークに付いていたウタカもその候補先だと思うけど、ここではフリーで走りこんでいた石毛と考えた方が妥当。

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竹内が受けるこの0.02位のコンマの間、森谷の足が揃う。その瞬間に枝村が「よこせ!」アピールしている。ジャストなタイミングはここ。ワンタッチで楔を入れる。

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竹内がダイレクトで入れる。

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森谷が中を捨て枝村に向かうが、石毛は完全にフリー。これで勝負は決まった。

 

 

この竹内のパスでポイントになるのは、

  1. 竹内が中に目線を移すことでフェイクを入れる
  2. 森谷の動きを抑制する
  3. ジャストなタイミングで入れるためにダイレクトで出す

この3つ。

 

あとこのゴールは、ショートカウンターとか速攻ではなく、竹内に渡るまでに7本のパスを回しての遅行であったところがよかった。なかなか遅行で崩すシーンとかそういうのが少なかった今シーズンだが、このポゼッションにおいては、この竹内のたった1本の楔によって川崎守備陣を完璧に崩すことに成功できたと言えます。