豚に真珠

サンバのリズムに乗せられて、いつの間にかそのオレンジ色に魅了される。それが清水エスパルスというチームなんだ

ダービーまで1週間前特別企画 第2弾 カミンスキーに付け入る隙はあるのか?

やってきました、ダービーまで1週間前特別企画第2弾!!拍手!!

ということで、今回登場する選手はこちら!

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ミンスキ~。

名手が数多く生まれたGK大国・ポーランド出身の選手です。現在のJ1の中でも、5本の指には入るであろう超人系GKです。前節のヴィッセル神戸戦でみせた、DAZNベストセーブにもノミネートされた2連続セーブは称賛ものでした。

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ハイ1~つ。

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ハイ2~つ。

 

素晴らしいセービングですね。ジュビロの守備戦術なんて結構怪しいところがありまして、前からプレスをしたくても簡単に剝がされていくし、かといって引いて守ったところで、耐えきれるだけの耐久力はない。今季ここまでの被攻撃回数もワースト3位。被シュート数10.8本とワースト6位です。それでここまでわずか3失点。これをそこそこ堅守と言っていいものなのか、あるいは横綱相撲なのかどうかは知りません。ただ、この失点数の少なさを支えているのはカミンスキーだということは間違いないです。そんなカミンスキーからゴールを奪わなければエスパルスは勝てません。カミンスキーに隙はあるのか。それをこれから見てみます。

 

 

カミンスキーの特徴

キーパーって、なんで前傾姿勢で重心を下に下げているか知っています?

直立姿勢の時に、意外と取りにくいボールっていうのは足元付近の低いボールなんですね。

「サッカーはミスするスポーツ」たる所以は、サッカーは当たり前ですが足を使うスポーツです。足というのは、神経系の信号を送る脳から1番遠い場所。なので手を動かすより反応が遅く、かつ体の中で最も扱いにくい箇所となります。

 

最後の砦 ゴールキーパー

キーパーはサッカー選手で唯一手を使うことができます。手を使えばセービングも正確です。直立している状態で手を使える範囲は、長い腕でも太ももまで。膝下はカバーできません。それに、足を出したからと言ってセーブできるとは限らない。手を使えば正確。どうやって手を使おうかとなり、重心を下げればすべて解決と至ったわけです。

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コチラの画像は、2節ベガルタ仙台戦の失点直前の場面です。かなり重心は低いです。ゴール自体はゴラッソでした。アレを止められるキーパーなんてそうそういません。ただ、キーパーとして姿勢は凄いです。これぐらいのゴラッソでなければゴールは決められないだろうというくらいでないと無理でしょう。そのくらい隙がないです。

 

3節大宮戦の失点

ぶっちゃけ、この失点はミスによって起こった失点で、カミンスキー側からしても想定外。味方のミスを計算してプレーするような薄情な選手はいません。

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スローインをカットされて、そのままゴールまで行ってしまったと。

正直、この失点からカミンスキーの弱点はわかりません。では前節の神戸戦の失点シーンを見てみます。

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まず1人。

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2人倒して~。

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ハイ失点。

完全に個人技!

2人も交わされたらどうしようもないです。ただ1つだけ言えることがあるとするならば、このシーンで2度、シュートフェイントがありました。

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まず1回。

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そして2回。連続して2回も体勢を立て直してます。これでは体の体型のバランスを失いかねない。実際に3度目となった失点場面では、体制の立て直しに手間取っており、反応が遅れていました。

※動画はコチラ


【公式】ゴール動画:大森 晃太郎(神戸)46分 ヴィッセル神戸vsジュビロ磐田 明治安田生命J1リーグ 第4節 2017/3/18

 

 

カミンスキーに隙はあるのか?

今のカミンスキーは神がかっています。ジュビロの守備戦術的には普通に崩せます。ただ最後の砦を崩すのは至難の業です。カミンスキーを崩すならば、2,3回体勢を崩しましょう。それでダメなら足をピッチに縫い付けておきましょう。でないと、崩せません。

 

結論!!

カミンスキーに隙はあるのかどうかというと、

 

多分あると思うけど、あるっしょ......あるんじゃね?......探せば絶対ある!!......たぶん......。

ダービーまで1週間前特別企画 第1弾 中村俊輔のフリーキックを見てみよう

皆さんこんにちは。いよいよ1週間後には、ジュビロとの4年ぶり静岡ダービーです。こんなに長くなるとは思わなかった。来週、決闘第1ラウンドのキックオフが鳴るわけですが、そのダービーを盛り上げるべく、今回から数回にわたり特別企画といたします。第1弾は、今オフのジュビロ補強の目玉、中村俊輔が登場です。

 

 

■大宮戦のフリーキック

前節の大宮アルディージャvsジュビロの試合で先制ゴールとなった、俊輔伝家の宝刀フリーキックを見てみます。


【公式】ゴール動画:中村 俊輔(磐田)5分 大宮アルディージャvsジュビロ磐田 明治安田生命J1リーグ 第3節 2017/3/11

 

敵将が語る

以前、アフシン・ゴトビ氏が、俊輔のフリーキックに対し「ゲームが止まってから蹴りだすまで3分掛ける」と話していたことがありました。コーナーキックも同じです。俊輔は蹴りだすまで異様に時間を掛けます。余程のチャンスにならない限り、クイックリスタートはありません。時間を掛ける辺り、俊輔のキッカーとしてのルーティーンがあるのでしょう。

 

では見ていきます。

※注意 正直に言いますと、フリーキックの解説なんて文と静止画だけでは伝わりません。限界があります。アクエリアスを飲んでも無理なもんは無理です。上に動画を乗っけておいたので、それと照らし合わせながら読むことをお勧めします。

 

 

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スポットには、左の俊輔と右の太田吉彰がいます。

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太田はフェイク。俊輔がいる時点で誰もが「そうだろうな」と思った瞬間です。GKも構えます。

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俊輔が動き出しました。実は、太田がボールの上をまたいでから俊輔がスタートするまで、およそ1.5秒かかっています。さぁここで最初の動画を見て下さい。太田がスルーした後、GKは1度「ハッ!」としてもう1度体制を立て直してます。俊輔が動き始めたのは、体勢を立て直したその瞬間です!

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俊輔が蹴る瞬間です。この時、GKは少しだけ左に動いてます。静止画ではわからないですね。動画見て下さい。GKが動いたのは、まさにこの瞬間です。俊輔が右足に体重を乗せているときです。この後、皆さんご存知の通り

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見事にGKの逆を突いて右隅に決めました。俊輔の凄いところは、本当に蹴る直前までGKを見ているところです。ちょっとした動きも見逃さずに隙と言える隙は必ず突いてきます。この時のGKの動きも、本当に少しだったのですが、絶妙に手が届かないところに蹴り込んでいるので凄いです。......凄いです。これしか言えないです。

ここまでが俊輔フリーキック講座初級編です。まだ初級編!? そうです。まだまだ初級編です。

 

壁の作り方

一昔前の壁と言えば、相手選手が一列に並んでキッカーにプレッシャーをかける、でした。そしたら、壁が動くことで味方を壁の中に配置して壁を封じるようになる。そしたら、GKが見えなくなり、壁にわざと穴を空け、GKがボールを把握できるようになった。更にそしたら、その穴を防ぐかのように見方を配置した(今ココ)。となっておりますが、一流キッカーが配置する味方の壁要員とは、どうなっているのでしょうか。

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壁の配置はこうなっています。問題です。この壁の中にジュビロの選手は何人いるでしょうか?

 

正解はコチラ!!

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2人でした。

最初の画像にはアダイウトンしか映っていませんでした。じゃあもう1人はどこよ?なんですが、

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よ~く見てみてください。壁の前にいます。

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アングルを変えてみると全然わかりません。

 

なんでそこに配置するの?

一旦、キーパー目線で見てみます。フリーキック時にキーパーが1番確認したいことって何?というと、「いつボールを蹴るのか」というところです。もしかしたら蹴るタイミングをずらされるかもしれないし、いつ蹴ったかによって体を反応させないといけない。だからキッカーとボールの両方は確認したいのです。

 

ではキッカー目線に戻ります。1番キーパーにバレてはいけないのは何かというと、蹴る瞬間ですね。プロのキーパーならば、蹴るモーションが分かれば、余程ボールの精度が高くない限り、しっかりセービングすることができます。まぁ、それがプロのキーパーです。

 

では少し戻ってみましょう。

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これ、キーパーが見えるのは

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こうですよね。俊輔しか見えないです。それで、ボールを見るとしたら

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そうなんです! 足元を通じてボールを見ようとしても、ここにジュビロの選手を配置しているから見えない!!だから反応遅れる!!俊輔との駆け引き勝負だが、百戦錬磨相手に勝てるのは難しい中の難しい!!Oh My God!!

 

壁張りにも工夫しているということなんですね。奥が深い......。

 

 

俊輔って、どうやってフリーキック蹴っているの?

昔々、やべっちFCのコーナーの中に「フリーキック研究所」というのがありました。その中に若かりし頃の俊輔が出ていたんですが、なかなか興味深かったです。

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今回、何回も使っているこの画像ですが、俊輔の立ち位置見て下さい。ボールと並んで、ほとんど真横から入っています。俊輔曰く、横から入ることで

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見て下さい。物凄く腰を捻っているでしょ。横から入ることで、遠心力を利用して、あの鋭く曲がって落ちるキックを蹴ることができるみたいです。そういうことで、カーブを掛けるときって、インサイドからインフロントにかけてボールをこするように蹴るのが一般的ですが、俊輔は遠心力を使ってカーブを掛けているので、インサイドキックの時に、足の構造上引っかかるところってあるじゃないですか。親指からかかとに向かうところで途中ボコっとなるところ。名称わからないんでアレなんですが、そこにボールを引っ掛けて、あとは体を思いっきり回す。そうやって蹴ってるみたいです。

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うわ~、邪魔や!!めっちゃいいアングルなのに!!すんげ~被っている!!

 

俊輔のフリーキックは「技術4:駆け引き6」ぐらいの割合です。あれだけの技術がありながら、ほとんどが駆け引き勝負です。このゴールもそうなんですけど、GKがチョンボしない限り、フリーキックを決められたら、それはもう素直に俊輔を称えましょう。見事としか言えないです。なにせ、世界に認められた“アーティスト”なんですから。

よく見たい方は、YouTubeかなんかで「中村俊輔 フリーキック」で検索してください。

 

 

はい、終了です。第1弾は中村俊輔でした。この選手が静岡ダービーに出てくるのです。横浜生まれ横浜育ちのバリバリ浜っ子の俊輔が出てくるのです。2016年までは想像すらしてこなかったことです。すげぇなぁと思いつつ、なんで来るんだよというのも本音。世界に認められたウルトラレフティは絶対に潰しましょう。

 

※今回、俊輔の蹴り方を少しやりましたが、小さい子にはやらせてはいけない蹴り方ですね。腰を痛めるリスクがあります。俊輔本人も「あんまり蹴り方の真似はしない方がいい」と言っていました。俊輔ならではの蹴り方だということをお忘れなく。

いよいよ開幕!

ついにこの日が来ました。

2年ぶりのJ1開幕戦です!!

 

2015年。見るに堪えず、ボロボロになって降格しました。そこから紆余曲折合ってのJ1復帰を飾りました。あの時から本当に変わることができたのか。またあのシーズンのデジャブとなってしまうのではないか。そんな不安ありますよね。そんなこと全員思ってます。僕も思ってます。でも、昨年勝ち点85も取って自動昇格をつかみ取ったのです。圧倒的な得点力を誇っての昇格です。そこは大きな自信として思っていてもいいんじゃないかと思います。開幕戦のキックオフは14:03です。その前に、1試合でいいから、降格した2015年と昨年の試合を観れたら観てみてください。J2相手とはいえ、質は大きく異なります。昨年の方がJ1のチームっぽいです。組織が破綻していた2015年ですら、強豪相手に接戦した試合があったわけです。そのチームが本物の組織体を手にしたらどうなるか。J1でも十分に戦っていけると思います。

 

さぁ、あちこちで順位予想がでていますが、ウチは昇格チームなんでそんなにいい順位にはなっていないですね。しょうがないです。でも、ディするわけじゃないけど、なんでジュビロセレッソがあんなに評価高いのかわからないんですけどー(棒読み)。俊輔や清武が入ればそんなに劇的にチームって変わるもんなんですかー(棒読み)。サッカーってそんなに簡単なスポーツナンデスカー(棒読み)。

そんなこと言っててもしょうがないんですけど、シーズン前の順位予想なんてネームバリューと補強の量ですから、そんなにマリッジブルーな気分にならなくてもいいと思います。限りなく透明に近いブルーでいいと思います。だって大半の方は去年のエスパの試合なんてロクに観てないんですから。今どんなチームかなんてわかるわけないんですから。印象は2015年のままですから。

 

さぁさぁさぁ、開幕です!! まずはヴィッセル神戸を葬る!! レアンドロは角田が潰す!! エスパ舐めてるヤツはテセがぶっ飛ばす!! いけいけエスパルス!!

長谷川悠を使おう

大前元紀が移籍しました。

これによって、現在FWのポジションは熾烈な争いが待っていることでしょう。鄭大世を筆頭に、金子翔太、北川航也といった若手。デュークもいます。そこで今回は、そんなFWレギュラー候補でもある長谷川悠のプレーを見てみます。

 

 

FWのタイプ

まず、FWにはどんなタイプの選手がいるのか振り返ってみましょう。

ゲームなんかでは、CF(センターフォワード)ST(セカンドトップ)WG(ウイング)と大まかに3つに分かれます。さらに、(今の)テセのようなストライカーとしては万能型がいれば、かつてのチョ・ジェジンフローデ・ヨンセンみたいなポストプレーヤー、バレーのようにゴリゴリ行くタイプや北川のようにスピード勝負するタイプなんかもいます。もっと細かく分けるならまだありますけど、ここまでにしておきます。では長谷川はどのジャンルに当てはまるでしょうか。

 

長谷川悠のプレーを見てみよう

第29節レノファ山口戦から

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ここからカウンター発動です。

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ロングボールを長谷川が納めます。

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あ~、周りの動きが少々遅いですね。なんで、一旦溜を作ります。

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松原后に落とします。

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松原とスイッチしたのち、テセへ楔を打ち込む。また新たに速攻が繰り出される。

 

ご覧の通り、長谷川悠というFWは、限りなくパサーに近いポストマンであり、セカンドトップの選手でもあるということ。キープ力があり、周りを活かせることができるタイプです。

ロングボールだったり、楔なんかをしっかり納めることができ、またサイドでも中盤に下がった時でも攻撃の基準点になれます。それだけでもなく、最後の画像を見てもらえばわかりますが、自らがパサーとなってチャンスを演出することもできます。

 

鄭大世 × 長谷川悠この組み合わせになると、利点としてはテセが高い位置を取れるというところ。中盤まで降りて組み立てるのは長谷川の専門分野なんで、ゴール前での仕事に専念できます。位置関係が逆になったとしても、長谷川がキープできるので、前を向いている状態のテセにいいボールが入れば、それもそれでチャンスになります。また2人とも背が高いので、空中戦でも強味が出ます。

 

金子翔太 × 長谷川悠天皇杯で見られた組み合わせです。長谷川は気の利いたプレーができるので、よく動き回る金子に合わせたポジショニングができるでしょう。でも基本的には最前線に張っているかな。

 

北川航也 × 長谷川悠

1番カウンターが決まりそうな組み合わせ。長谷川のところで溜ができれば、あとは北川の動き方次第ってことで。

 

ミッチェル・デューク × 長谷川悠未知のコンビだな~。でもなんか見てみたいようなそんな感じ。

 

 

長谷川悠を使おう

現在のエスパルスの2トップ候補は、テセ、金子、北川、デューク、そして長谷川です。この中で1番ストライカーっぽいのが北川で、1番周囲を使えるのが長谷川でしょう。攻撃時にもう1つ変化を加えたいときとか、そんなときは長谷川悠。是非、注目してみましょう。

 

大前元紀の凄さ/一流ストライカーとは

ゴールを決めるという特殊能力

FIFAの定めたサッカーゴールのサイズは、横幅7.32m✖高さ2.44mです。この枠の中に、さらにGKが1人います。それでもスペースはありますよね。枠内に撃てば決まっちゃうんじゃね?とか思いますよね。でもPKとか蹴るとき、なぜか外すのではないかと不安になってしまうこと、ありませんか? PKなんて、理論上キッカーの方が断然有利です。だってキーパーは、自分の体の何倍もあるゴールマウスから、さらに相手との駆け引きをしなくては勝てない。だからこそなのかもしれませんけど、キーパーは返って吹っ切れることがあります。PKなんて取れなくたって仕方ないことだからと。

ではキッカー。条件では断然有利だから決めて当然と思われます。プレッシャーヤバい。半端ない。決めることができなければ非難集中砲火は間違いなし。

 

何が言いたいかって、シュートをゴールに納めるということは難しいということです。ゴールが大きくても、いや大きいからこそ枠内シュートを打てばゴールに入るのではないかと思い、プレッシャーが余計かかってしまう。これを心理学用語で「ツァイガルニク効果」といいます。

 

 

一流ストライカー

今季シュート決定率24.3%、2208分の出場で74本打って18得点。3ヵ月の離脱がありながら立派な成績を残したエスパルスのNo.10大前元紀ですが、改めてすごいストライカーだと思いました。そんな凄さを表しているゴールが、今季チーム初ゴールとなった第2節長崎戦のゴールです。

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このゴールですね。

何でこのゴールかというと、別のアングルで見てみましょう。

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体の向きが少しおかしいと思いませんか? 横向きで、シュートを打つ体勢としては窮屈です。そして

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ちょっと分かり難いかな。右足のかかと付近に合わせていたんですね。

 

やってきたクロスが弱冠マイナス過ぎた感はありますが、並みのストライカーなら気持ちよくシュートを打ちたいが故、強引にインステップで合わせてふかしていたことでしょう。ですが元紀のシュートはグランダーで、かつ逆サイドのネットに突き刺さっています。ここが一流のストライカーである証拠。

 

いくらキーパーの背が大きかったとしても、横っ飛びで手を伸ばしたところで、横幅7.32mのゴールをすべてカバーできるわけがないんですね。逆に、高さが約2mということで、長身GKなら手を伸ばせば高さ面ではカバーできます。松本山雅のシュミットダニエルなんかはそうですよね。ジャンプしなくてもバーに手が届くっていう。羨ましい。

だから一流ストライカーはゴールの横幅の広さを狙ってしっかり納めるわけです。1番キーパーが取りにくいところはポストとバーのぶつかる辺りですが、ここは狙って打てるところではない。それにリスクが大きすぎる。だからやってくるボールの方向とは逆のサイドネットに突き刺さるよう狙う。このゴールだけではなく、第15節群馬戦の先制ゴールとなった白崎の得点、第29節山口戦でのテセの2点目なんかはそうです。テセのゴールは自分のポジショニングと逆方向という点ではありますが、落ち着いていて上手いシュートだと感じます。

 

さてこの元紀のゴールに戻りますが、体の向きがかなり横を向いていると言いました。この辺りもそうで、右足の面で合わせ、ふかさず抑えめにシュートを打つための体勢だったと思います。かかとの近い位置に合わせたのもふかさないようにするためなのでしょうきっと。難しいボールがやって来ても、しっかりミートしグラウンダーで確実に枠内に入れる。それにプラス相手からのプレッシャーもあればシュートコースも限定的なっていたはずですし、それをしっかり決めるところは凄いと思います。

 

一流ストライカーとは

ピッチ上の11人の中で1番シュートを打つのはFWの選手です。なのでストライカーはシュート数が多いからゴールを決める確率も高くなります。よって一流のストライカーかどうかはシュート決定率に表れます。もちろん、ゴールするシチュエーションは常に異なるものなので、決めたゴールのシュート全てがスゲェーってわけではないのですが、上手いシュートが打てる選手ほどゴールは決められるもんです。

 

シュートを打つとき、大振りで大きく枠を外すのは三流。キーパー真正面は二流。一流はグラウンダー(または低い弾道)でサイドネットに突き刺せるシュートを打つのが一流です。それをキーパーにセーブされたら、その時は素直に拍手でキーパーを称えましょう。

 

圧倒的攻撃力で猛威を振るった今季のエスパルスですが、点を決められる選手が確実に決めることができたところと、そういった点を決められる選手がたくさんいたというところが大きな武器です。それは元紀やテセだけでなく、北川や金子もシュート練習なんかではふかさなくなってきました。その成果が数字に明確に表れれば、来シーズンも攻撃力は十分通用するのではないかと思います。

サッカーとスタジアムの問題

みなさんこんにちは。今回はスタジアムです。

 

最近、国内で「サッカースタジアムを作れ~」という声がたくさん出ています。発端は、Jリーグが定めたライセンスですね。収容人数や屋根、トイレの問題などなど。スタジアムを近代化して新規のファンを集めよう!だっけかな。とりあえず、世界基準のサッカーリーグへと発展するためにはスタジアム問題は避けては通れない壁です。なので今回は、日本国内のスタジアム問題と歴史、そして今後のサッカースタジアムの在り方を考えます。

 

 

国内サッカースタジアムの歴史

Jリーグが開幕した当初、まだ国内にはプロサッカーリーグが開催できるような施設を整えている専用スタジアムは少なかったです。開幕以前からあったのは、日本平三ッ沢カシマスタジアムJリーグへ参入する鹿島アントラーズのために、地域が作ったスタジアムとして知られています。それでも当初はこの3か所だけ。後々JSLのころから自前でスタジアムを持つ柏レイソルジュビロ磐田が出てくることで、陸上トラック付きのスタジアムは観にくくねみたいなことになります。そして、日本全国にスタジアム建設ブームがやって来ることになります。2002年のW杯ですね。しかし、このW杯へ向けたスタジアムでサッカー専用として建設されたのは埼玉スタジアム神戸ウイングスタジアム(現ノエビアスタジアム神戸・改修)くらいであり、例えばエコパや新潟のビッグスワン、また大分のビッグアイのように、陸上トレックを併設した多目的スタジアムが多く建設されたのも事実です。行政主体で建設したことや、国体での使用だとかそういうことで、サッカーだけに使うのは維持費なんかもあるし、赤字だ!ということだと思います。ただ、この考えがあるということは、まだ日本にはスタジアムビジネスというのがないことが考えられます。

 

世界のスタジアムビジネス

世界のスタジアム事情ですが、これはサッカースタジアムだけにとらわれず、特定のスポーツ専用スタジアムがたくさんあります。例えば、サッカー専用はもちろんラグビークリケットといった世界3大スポーツは世界的にも専用スタジアムがあります。

日本のサッカー専用スタジアムは、日本平はサッカーオンリーのスタジアムです。週1もしくは週2くらいしか使用されないスタジアムです。スタジアムのコスパは悪いです。世界の場合は「サッカー+α」をスタジアムに求めています。

スポーツスタジアムのビジネス化はアメリカが発端でしょう。アメリカのMLBが「ボールパーク化」という、スタジアムを楽しむにはどういう工夫をするのかというのを考えます。野球は毎日やるスポーツですので、スタジアムの稼働率は高いです。ただ野球の問題点として、特にメジャーの場合は決着がつくまで永遠にやり続けるので、観に来るお客さんが飽きてしまうことがある。たまに見るちょ~長い日付が変わってもやるゲームなんて、お客さんが寝ている姿をカメラに抜かれることもあります。お客さんがいかに快適にスタジアムを利用できるかを考えたわけです。

先ほど言った「ボールパーク化」。これは、スタジアムが1つの公園だったり遊園地みたいな雰囲気にすることです。例えば、観覧車やジェットコースター、プールを設けたり、バーカウンターがあったり、お客さん専用の仮眠室まであるスタジアムもあります。それは試合がないときも営業しているわけであり、メジャーの球場は本当に地域と密着している感があります。

 

さて、アメリカから大西洋を渡った先のヨーロッパのスタジアム。ヨーロッパのスタジアムは完全にビジネスチックです。スタジアムと共に商業施設が併設されているのがほとんどです。

クラブ収入のうち、スタジアムでの収益が多いというのは、何もチケット収入だけではなく、併設している施設からの収入もあります。ただそれは、クラブがスタジアムそのものを所有しているからであって、行政が所有しているわけではないんですね。これは大きなポイントです。後々やります。

ヨーロッパは、スタジアムが日常の中に常にある存在です。皆さんにとって生活の一部になっている施設はなんでしょうか。家から近いコンビニとか、スーパーとか。あるいはイオンとかセノバみたいな複合型商業施設。ボールパーク化と違うのはこういったところですね。密着というより、生活そのものの存在であるみたいな。

ヨーロッパの中規模クラブの場合は、スタジアムに別の施設がくっついています。静岡駅にパルシェがくっついているという、あんな感じのイメージです。中規模なんで、予算的にすべてを管理できないから分けているということです。

逆にビッグクラブの場合は、スタジアムの運営会社をクラブの子会社化して、全てを管理できる仕組みにしています。イメージ的にはセノバです。セノバは静鉄が管理しています。だから中に新静岡駅があり、バスターミナルがあり、静鉄ストアあり、プラスαほかの施設もあるよっていう。ビッグクラブの場合はそれをすべて管理できるだけの予算があり、しかもそれで得る収入も全部クラブに入るという好循環。レアル・マドリードも、今は計画が頓挫してますが、本拠地のベルナベウを改修して、中に更にクラブ所有の商業施設を作るというのがあります。


Así será el 'nuevo Santiago Bernabéu' / The new Santiago Bernabéu stadium

これはメガクラブならではのやり方です。世界最高の経営者が会長だからできるビジネスモデルです。日本のクラブがやるには、いろいろと条件が整ってなさ過ぎているので難しいです。

 

 

日本の今後のスタジアムビジネスモデル

現状、今最も国内でスタジアムモデルを確立しているのは鹿島アントラーズでしょう。スタジアムの中にクラブミュージアムがあり、フィットネスジムまであるので、試合以外でも利用できます。

今後、新スタジアムを検討しているクラブは、使用するクラブのカラーや規模、建設する土地なんかも考慮して、どんなスタジアムにしていくかを考えていくべきだと思います。町中に建設するなら商業施設込みもあるでしょう。サンフレッチェ広島が「さっさとスタジアム作れやコンニャロ~!」と行政に働きかけていますが、市も県もいつまでも浮かない顔をしているという......。クラブが旧市民球場跡地に建設要望してますが、行政は街はずれに造るといって、本気で造る気があるのかわかりませんが、市や県はあんまビジネスモデルまでは考えてなさそう。

その一方、行政も巻き込んで大型スタジアムを造ったガンバですが、吹田スタジアムのビジネスモデルは、レンタルオフィスだったり、近くのエキスポランドを含めた、間接的なビジネスモデルを考えていたのでしょう。

ただ、ガンバは寄付金を集めてまで造ったスタジアムなので、「ガンバスタジアム」なんかにでもして、本格的に最先端のスタジアムにするのかと思ったけれど、スタジアムの維持費を考えると、クラブの財政にまで響いてくることが発覚して吹田市が所有することになったので、ガンバのスタジアム収入はチケットは良くなるかもしれないけど、他はどうなんだろうと。

 

エスパルスも新スタジアム建設を市に要請しています。田辺市長が首を縦に振らないことで、川勝知事が「東静岡にさっさと造らんか!」といって、新スタを舞台にバトル勃発したんですけど、Jリーグのライセンスがライセンスなので、今のアイスタ日本平で公式戦を行うことができなくなる日はいずれ必ず来ます。日本平の問題は、屋根とトイレ。トイレは改修できるのかどうかは分かりませんが、屋根は無理ですね。今のスタジアムにただ単に屋根取り付けたら屋根を支えるだけの土地がないから大事故に発展します。だから新スタは必要なんですね。

今のところ候補地は東静岡と、あと川勝知事が清水駅東口に造っちゃえばと言ってるので、この2つだけでしょう。いかんせん静岡に土地はないですから。ですが、静岡という土地柄、いずれ来るであろう東海地震が起きたときに、スタジアムが防災拠点として機能するのかだったり、ここまで述べたビジネスのこと。また地域との関係性。清水、静岡の新たなシンボルになれるか。エスパルスというクラブがスタジアムを自前で建てられるほどのお金はないので、行政が協力してもらわなければ新スタは無理です。建設するのなら(これが1番大事ね!!)、清水と静岡、そしてエスパルスにとってどんなスタジアムが理想として相応しいのかを検討していく必要があります。

サッカーとケガの話

今回は、前回の予告通り「サッカーとケガ」についてやります。エッ!?ちゃんとやるって?やりますよ!いろいろと「やるやる詐欺」連発してきましたが、今回はそんな皆さんの期待を裏切ってちゃんとやります!!
 
1ヶ月ほど前、現在ヴァンラーレ八戸に所属する市川大祐が、現役引退することを表明しました。引退理由としては、やはりケガでした。市川の場合、若いときから慢性的にケガに悩まされていました。今回は、そんな長年付き添ってきた膝のケガということです。
膝のケガっていうのは一生モンで、死ぬまで付いてきます。人間の治癒能力はすごいですけど、膝など関節部分は例外です。というのも、膝のケガというのはほとんだが靱帯です。骨と筋肉をつなぎ合わせる部分ですね。ここをやってしまうというのは、選手生命に大きく影響します。今年のエスパルスも、膝の靱帯をやった選手が2人いましたね。鎌田とデュークです。2人の場合は断裂ではなく、損傷なので少しは軽くなってますが、それでも全治は半年です。
 
靱帯の修復方法とは?
自然治療でもなんとかなるケースはありますが、基本的に手術です。どんな手術をやるのか。
例えば野球選手でいうと、肘の靱帯を損傷する投手が多いです。特にメジャーに渡ったピッチャーは多いですよね。それでどんな手術をするのかというと、皆さんも聞いたことがあるでしょう。「トミー・ジョン手術」です。その名の通り、トミー・ジョンという人が初めてやった手術だからこのような名が付いたわけですが、サッカーでも基本的にはこのような手術です。どんな手術かというと、損傷している部分を切除し、他から健康な腱を移植するという手術です。ピッチャーでは、利き腕とは逆の腕の腱だったり、お尻の硬い筋肉を移植してきます。その手術はネズミ(遊離軟骨除去手術)とは違うので、修復とリハビリに時間がかかります。松坂大輔藤川球児、そして昨年のダルビッシュ有もこの手術をして1年ほど離脱していました。アメリカの考えは、靱帯をやったら1日でも早く手術をして1日でも早く復帰するというのが普通です。トミー・ジョン手術の復帰確率が90%とかなり高いので信用におけます。
ちょっと野球を例に出しましたが、サッカーの場合もこんな感じです。鎌田とデュークもケガしたのが4月の上旬です。そして復帰したのが今月。ですがまだ膝にサポーターをしての復帰でしたのでまだ完全にプレーできるわけではありません。肉離れや骨折とは違い、完全に治るわけではないので正直怖いです。練習試合では45分できても、公式戦で45分はまだ難しいのが現状でしょう。練習試合と公式戦では、プレッシャーも疲労度も全く異なる環境ですので、ケガを抱えたまま試合に出るほどリスクあることはないのですから。

 

サッカー選手において、膝の靱帯を痛めるということは致命的なことです。選手生命を左右するケガです。サッカーにおいては、骨折やら肉離れやら、あとイライラするような違和感などありますが、引退まで追い込まれるのは靱帯系です。市川も何回も膝をやっているし、メスを入れてるので体にかかる負担は大きかったのだと思います。

 

市川大祐エスパルスを去って6年になります。そんなに立つんですね。時の流れは早いものです。エスパルス退団後の市川ですが、ヴァンフォーレ甲府水戸ホーリーホックにそれぞれ1年ずつ。藤枝MYFCに2年。そしてFC今治と八戸に1年ずつでした。しかし、まともにシーズンをフル稼働したのが水戸にいた1年ぐらいです。市川の体は、限界を超えていたのかもしれません。

確かスポパラだったと思うんですが、藤枝にいたとき、市川の現在を追うみたいな密着取材があったんですが、その時1人だけチームを離れて東京の病院に通院し、手術の話し合いをしているシーンがあったのです。薄々、このときから引退が近いのかもなと思ってしまう自分がいました。思えばエスパルスでの最後の方もケガでチョコチョコ離脱していました。膝のケガが完全に治ることはありません。この時点で限界を超えていたかもしれない......。

でも、それを信じたくない自分もいたのも事実です。だって、大ケガはもちろん、オーバートレーニング症候群とか、そういうのを乗り越えてきた“イチ”を知っているから。でもやはり体をごまかすことは出来なかったのです。

 

2010年に市川大祐戦力外通告を受けました。今考えてみると、市川がプレーヤーとしてエスパルスに残るということを考えたとき、果たしてこの先本当に戦力になるかといったら微妙だったのかもしれません。もちろん功労者であるのは間違いありません。しかし、健太体制が終わり、これからケガということに関してはナーバスになる外国人監督を迎えるにあたって、市川がこの先のエスパルスで幸せになれるかを考えたら、たぶんそうはならなかったと思います。そして、市川がJ1のプレーヤーとして相応しいコンディションを保てるかといったら、当時は「NO」という答えを出したはずです。高年棒ということもあり、戦力外通告という提示を出したのもやむを得ないことだったのかも(当時29という年齢だったし)。

 

市川のプレーヤーとしての人生は終わりました。お疲れさまでした。これからは第2の人生が待っています。クラブもフロント入りの要請をしたということもあり、再び清水を舞台にサッカーをやってほしいと思います。

 

 

逆に、伊東輝悦という鉄人を超えた化け物は凄いなぁと思う限りです。ケガせずに40超えて現役なわけですから。次のキャリアとしてどこでプレーするかは分かりませんが、ピッチの上でいつまでもボールを蹴ってほしいと思います。仮に引退したらサッカー業界から離れるかも。指導者をやるタイプとは思えないし。二川孝弘にならぶ、Jリーガー最高峰の無口ですので、どうするのかなぁ。登山が趣味だったから、プロの登山家にでもなるのかな。

 

次回は、各地で話題になったり行政を巻き込んだ問題にもなる「サッカーとスタジアム」についてやります。次回も詐欺りません。