【Play back the GAME】 2011年J1開幕戦 柏レイソルvs清水エスパルス@超アグレッシブ!元祖ポジショナルプレー/やっぱりゴトビが悪い!
明けましておめでとうございます。2020年も宜しくお願い致します。。
年明け1発目は毎年恒例の過去の試合を振り返ります。今年は2011年の開幕戦、柏レイソル戦です。
ポジショナルプレー × エスパルス
ピーター・クラモフスキ―率いる新生エスパルスですが、ポゼッション主体のポジショナルプレーになるのではないかと思います。昨年途中までのヨンソン体制もポジショナルプレーではありましたが、ポゼッション主体ではありませんでした。ポゼッション主体というと、最近ではこのチームだろうな、ということでアフシン・ゴトビ初陣となったエスパルスの試合を振り返ります。
今でこそポジショナルプレーという言葉が流行し、マリノスやヴィッセル神戸といったあたりが実践していますが、古くはカルレス・レシャック率いた横浜フリューゲルスがJリーグにおけるポジショナルプレーの元祖ではあったと思います。その後は日本サッカーにポジション厳守の文化がなかったので広まりはしませんでしたが、ある意味、ゴトビエスパルスはJリーグに久しく表れたポジショナルプレーを実践したチームといえるでしょう。
ではスタメンです。まずはエスパルス。
メッチャ懐かしい!! 今は誰もいない! そりゃそうか、9年前だもんな。明らかな人材不足で岩下ボランチ(ときどき平岡も)とか普通にやってたもんな。
世紀の大脱走劇の後なので思いっきりメンツが変わりましたが、層が薄すぎるわ。因みにベンチメンバーはGK武田洋平、DF児玉新、岡根直哉、村松太輔、MF山本真希、FW永井雄一郎、高原直泰。
対して、このシーズン優勝することになる柏レイソルのメンバー。
■超アグレッシブ!炎のハイライン・ハイプレス
立ち上がりから仕掛けたのはエスパルス。エスナイデルもビックリするハイラインに設定し、前からガンガンプレスに行く。
もうガツガツ前から行く。レイソルの選手もビックリしたのかミス連発。序盤は意外と効いてました。
ゴトビさんからしたら、今までの長谷川健太体制はリトリートに守るスタイルで、そこからアグレッシブなスタイルでこれからは行くぞ!という意思表示的な意味合いでのハイラインハイプレスなんだと思います。初めて見たときは衝撃的だったのは今でも覚えてます。
ただ15分過ぎからは、レイソルもプレスに慣れてきたせいか、パスが繋がるようになり、ハイラインの裏にパスを入れるように。かわせるようになった理由としては、
- まだオーガナイズされていないプレス
- 小野のプレス時の貢献度
が挙げられます。基本ラインは高いとはいえハイプレスで精力的に動いているのは前の3人。トップ下の小野は運動量的にプレスの貢献度は低かった。枝村もそんなに運動量あるタイプではないし、岩下は本職ではない。一時的なドッキリハイプレスに終わってしまい、効果は開始15分で終了。21分にはジョルジワグネルにFKを決められ先制を許す展開に。その後もエスパルスは怯まずハイラインハイプレスを続ける。
■ゴトビエスパルスのポジショナルプレー
攻撃の形というと、はっきり言ってこの試合では攻撃の形は具体的に表現できず。分かったこととして、ウイングの元紀とアレックスがサイドで幅を取る。各々ポジションはフォーメーション通りで固定。今みたいに、幅を取ることで誰かがハーフスペース進入したり優位性を作る保つといった作業もほとんど見られず、本当にポジショナルプレーのチーム作りにおける初期段階って感じ。
徐々に浸透していった頃には、例えばウイングの元紀や高木俊幸が戦術を理解して臨機応変にハーフスペースを利用していくなんてことはありましたが、初陣なんでそんな連動性は皆無。空いているはずのスペースを有効活用できず、逆にレイソルのカウンターの起点に使われ残念賞。
■初陣の結末
前半は互角に持ち込んだ、といった内容でしたが、後半はハイラインを攻略され万事休す。セットプレー崩れからパクドンヒョクにボレーを喰らい2失点目。カウンターからレアンドロドミンゲスに決められ3失点目。仕舞いにはハイラインの裏を突かれ、ボスナーが田中順也を倒し一発退場。交代策もエスパルスはアレックスに替え高原を入れ、翔さんを左へ回すのみ。レイソルは1枚もカードを切らずにゲームは終了。完敗。
■ゴトビエスパルスから考える、今シーズンの展望
ゴトビエスパルス初陣は、あまりにもアンタッチャブルなチーム状況で、まず冒頭でも述べたように、主力9人が退団。急激な若返りに選手層が薄い。ゴトビさんは1月にイラン代表を率いてアジアカップを戦っていたことで、チームへの合流は2月。初陣で結果が出るわけないわな。。。
ゴトビエスパルスはポジショナルプレーのとしては非常に高い戦術レベルを求められました。ハイプレスや守備ブロックの形にボールの回すルート。すべてがきめ細かく設計されてます。ここにゴトビエスパルスが成功しなかった理由があって、とにかく規律が厳しかった。ヨンソンさんもポジショニングにはうるさかったみたいですが、選択肢を多数用意できていたことでバリエーションが豊富でした。ただゴトビさんはこだわりが強かったのか選択肢が少なかった。理論は素晴らしいのですが、厳しすぎたのが成功できなかった理由でしょう。あとは、1年目が不運だったこと。ゴトビエスパルスは3年半の冒険でしたが、実は1番アグレッシブに戦ったのはこの初陣だったのでは?とも思えたり。改めて観て、不格好ではあったもののハイラインハイプレスを90分間徹底してやったことはこの試合だけでしょう。この次の週に東日本大震災が発生したことで2ヵ月の中断があり、この間にシステムや選手が変更したり、ハイラインも極端にはしなくなりました。もし中断期間がなく通常通りのスケジュールだったならハイラインを続けて、エスナイデルよりも先に夢を叶えていたかもしれないですし、たらればなんですけどね。
さて、以上を踏まえたうえで今季です。クラモフスキ―自身初のクラブチーム監督であるので、理想を持ちつつ、長年付き添ってきたポステコグルーのサッカー哲学を継承して来るのではないかと。要はハイラインにハイプレスの守備戦術であると予想できます。ゴトビエスパルスの初陣と違い、メンバーも揃ってますし、ヨンソン体制でのポジショナルプレーの名残は多少なりとも残っているはずなのでスタイル構築に時間はかかるとは思いますが、ゴトビエスパルスほどではないと思うので、さてどうなるのでしょうか。補強次第なところもありますが、今年は長~い目で見守っていこうぜな感じで。