豚に真珠

サンバのリズムに乗せられて、いつの間にかそのオレンジ色に魅了される。それが清水エスパルスというチームなんだ

エウシーニョの右サイド問題と2019版新攻撃パターン/偽SBの憂鬱

 

 

ヒィィィィィィ~~~!!

 

 

皆さん、ウェンズデーナイトをいかがお過ごしでしょうか!!

 

 

僕はこの夏初期の日差しで早くも焼けています。日焼けフィーバーです。えらいこっちゃ!!

 

 

■大きく変わったビルドアップ

では、まず最初に昨年の振り返りです。昨年のエスパルスは、リーグ2位の得点力はあったものの、実際はオーソドックスなビルドアップ。

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SBが幅を取り、サイドハーフがハーフスペースへ。SBは、特に右の立田はSB自体が人生ほぼ初挑戦ということで、オーソドックスなことしかできないので、特殊なことができない分、ベーシックに幅を取ることで前の金子をハーフスペースにて暴れさせることができました。地元テレビ番組でも、金子自身がハーフスペースでプレーすることを狙いにしてると話していた通り、実はこの組み合わせは馬が合っていたわけです。

 

 

では簡単に昨年をおさらいしたところで、今シーズンのビルドアップ。大きな違いは、右SBにエウソンが加わったこと。

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勝手なエウソンのイメージで、フロンターレにいたときのエウソンて、ゴール前ハーフスペースに走りこんでダイレクトでクロスを上げるイメージがあって

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こんな動きのイメージです。エスパルスとしても、もう少し大外で走りこんでクロスを、がエスパルス的に求めていたエウソン像ですが、ところがどっこいエスパルスでのエウソンは早い段階で中盤にドリブルで持ち込んで“偽SB化”する。

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ウチとしては、エウソンには大外走ってクロスを上げてくれい!だったのですが、予期せぬ偽SBと化したエウソンは、ボランチや金子にとってスペースを奪う邪魔な存在でありました。いや、なんで入ってくんの?って感じで。

 

ここでできた問題として、ハーフスペースにはSHもしくはSBのどちらか1人で十分です。昨年は金子が入っていたので偽SBをやる理由がなかった。しかしエウソンが中央に入ることでハーフスペースはどちらに任せるか問題が出てきたわけです。

 

 

 

 

え~!どっちもハーフスペースにいればいいじゃん!

 

 

 

それは違います。ハーフスペースにいればいいという問題ではないです。100人乗っても大丈夫ではないです。

ハーフスペースは前後関係で成り立てるエリアではないです。そもそも偽SBの成り立ちは、CBからウイングへのパスコース確保と、スムーズなネガティブトランジションのためです。開幕初期の名波ジュビロのような、ロジックなしにデザイン性だけで採用できる代物ではないのです。

 

結果、選ばれたのはエウソン。大外に金子が入り幅を取るようになりました。

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■より顕著になるドウグラス依存

昨年は言うほどドウグラス依存ではなかった、って言える印象です。実際、ドウグラスいなくても点取れたし勝てたし。それに

 

  1. 北川航也  13点
  2. ドウグラス 11点
  3. 金子翔太  10点

と、得点源3人いて「ドウグラス依存」を言うのは流石に無理がありますからね。

 

 

 

 

今年はドウグラス依存と言われてもしょうがないです。考えられる理由は、

 

 

 

その1 そもそも余裕がない

今季は開幕から残留争いです。TOP5を狙うと宣言しておいて現実はボトム5です。この状況になったことでドウグラス以外の攻撃パターンを作るチームの余裕がない。戦術ドウグラスが一番手っ取り早いのです。

 

 

 

その2 攻撃が変わった

さっきの続きです。エウソンの偽SB化で、昨年の得点源の1人であった金子がゴールから遠ざかる大外に配置されるようになった。金子がハーフスペースに入ることで、金子ゴールパターンであった左サイドからのクロスに合わせる、といった3人目のFWとしての動きがチームになくなったのです。

 

 

金子は、ドリブルは上手いです。ですが、ウインガーではないです。だったら去年の立田だって本業CBなのに大外で張ってたぞ!ですが、彼はSBとして大外にいたから影響がなかったのです。ハーフスペースでは輝いても、大外で輝けるタイプではないのにウイングとして張っている金子が窮屈にプレーしているのとはわけが違うのです。結果的に、ハーフスペースに金子を失った今、ドウグラスにカウンターでなんとかしてもらうしかないのです。

 

ここまで書くと、意図しなかった偽SBの影響は負の遺産しかない、って印象です。が!!

金子の大外張りの問題は解決していませんが、エウソンMF化問題は新しい攻撃を生み出しているのもまた事実。そこを見ていきましょう。

 

 

 

■偽SBの生み出す新攻撃パターン

昨年築き上げたポジショナルプレーですが、エウソン加入により変化したことで何が新しくなったのか。2019版エスパルスを見ていきます。

 

エウソンの偽SBによりもたらされた新効果は、中盤の数的優位化です。

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この効果は2つあって、まず1つ目が、エウソンの対面となる相手左サイドの選手を中に引っ張ることができる、ということです。

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中央に引っ張ることで、ソッコが右サイドに出てビルドアップ。今シーズン何回か見る形です。

 

もう1つが、相手ボランチを引っこ抜けること。第16節名古屋グランパス戦の先制点はそうでしたね。

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エウソンに引っ張られたジョアン・シミッチの裏に走りこんだヘナトに上手く出したという崩し。これもエウソンならではの組み立ての引き出しの多さだと思います。

 

 

 

■エウソンと右サイドの活かし方

左に関しては、特にいうことはないです。白崎が抜けましたが、代わりの慶太、西澤とカラーは違えどしっかり埋められています。対して右サイドは、ポジションバランスもそうですが、数字的にも、例えば金子は大きくゴール数を落としています。他にもエリア内進入回数など、落としてる数字は多いですが、そりゃそうです。ゴールから遠い位置に配置されているんですから、ゴール数が上がるわけがないんです。じゃあ金子よ、昨年と同じくもう1度ハーフスペースで暴れてみろ! これでは序盤と同じです。渋滞して右サイドが死ぬだけです。金子を内側に入れたいならエウソンに張ってるよう説得しなくてはなりません。現在のエウソンのプレーを求めるなら、ここはゴール数を犠牲にして金子には大外に張ってもらうしかないのです。現在のエスパルスは後者を選んでいるので、相手からする右サイドの警戒度は金子<エウソンなわけです。でもこのバランスは悪いです。攻撃でSBが目立ってしまうことは、チームバランスが悪い証拠です。

 

例えば、クッソ攻撃力が高いウイングとクッソ攻撃力が高いSBのどちらが怖いか。メッシとダニ・アウベスの右サイドで怖いのはどちらか。ブラジル代表におけるネイマールとマルセロ、どちらが怖いか。え?比べる対象が極端だって? いや、そういう話なんです。ウイングが怖いからSBの攻撃力が活きるのです。

 

今のエスパルスの右サイドです。エウソンの攻撃が怖いというのが分かっているので、いずれかどこかのタイミングでエウソンにはパスが出てくるのです。

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これが序盤戦に見られた世にも奇妙な「エウソンの裏、メッチャ狙われてる現象」です。最近はヘナトが全力カバーで頑張ってくれますが、この問題は早急に解決しなくてはなりません。ウイングが最強でないと、エウソン自身にとってもハッピーではないのです。それは金子にとってもハッピーな話ではないです。今のウチからしたら、1点を守り切るという戦いは不向きすぎるので、押し込んで相手を牽制する、または相手より多く点を取るしか勝つ方法はないです。ハッキリ言います。守り切れるイメージが湧きません!!

 

なので1番の修正ポイントは守備より右ウイングです。守備に関しては諦めました。なので、ここをトップターゲットとして強化を進めてほしい。手っ取り早いのは補強です。CBだけ補強しても余程スーパーな奴が来ない限り修正は無理だと思うので、みんながwin-winになれるように右サイドの強化、オナシャス。