豚に真珠

サンバのリズムに乗せられて、いつの間にかそのオレンジ色に魅了される。それが清水エスパルスというチームなんだ

Jリーグ秋春制を考えてみよう

先週、スペインのリーガ・エスパニョーラが開幕しました。恒例の欧州リーグ最後の開幕です。ちなみに海外組日本代表の中で1番手で開幕した久保裕也のベルギー・ジュピラーリーグはDAZNでもやってますが、8月頭に開幕しました。いよいよこの季節が始まりましたね。

さて、そのヨーロッパのスケジュールは秋に開幕して(事実上の夏)春に終わるというシーズンです。イングランドプレミアリーグみたいに、ボクシングデーから年末年始の中1日とかいう鬼日程もあれば、ドイツのブンデスリーガのように1月にウィンターブレークを設けているリーグもあります。所属チーム数による試合数とかありますが、涼しい時期にサッカーをやるというのが秋春制です。その秋春制Jリーグが移行するのではという話が真面目にありました。最近その話は白紙になりましたが、このカレンダーにすることに反対意見が多い世論が勝ったということですね。

 

反対意見の理由として、主なのが東北地方がメインで雪の問題。日本のスタジアム施設にヨーロッパのように温水で雪を溶かす機器がそんなにない(そもそも予算がない)とサポーターのスタジアムへの交通手段など、雪があらゆる問題として挙げられます。雪とは無縁な静岡県民にはわからないですね。ヨーロッパは緯度的には北海道よりも北ですが、温かいな海流があることで北海道ほど雪は降らないです。そういう環境でもあるので、夏にやるという選手にとって地獄なシーズンを送る必要がないのですね。

あとは3月に卒業する高校や大学から加入するルーキーは秋春制になるとどうなるのかとか、ACLはどうなるのとか(ACL秋春制になるという話もちらほら)。

世論では、雪問題での反対意見が多いのですが、それだけだとあまりにも一方的なので、秋春制にするメリットを考えます。

 

秋春制のメリットとは?

まず、クソ暑い夏にシーズンをやらなくていいということですね。今の夏は本当にヤバさMAXなので、公式戦は夜にやりますが、選手は普段のトレーニングは特にクソ暑い午前中です。毎日やるだけで疲労の蓄積は相当なもんです。

夏場の、体力の消耗する時期に過密日程で試合を組まれると、どうしても選手のパフォーマンスは落ちる。当然、試合のクオリティも落ちてしまう。ファンの中には毎回来られるとは限らない人だっている。年一回の試合を楽しみにしている人も多い。そういうファンのために、俺たちはできるだけよいプレーを見せたい。そのためには、選手が動ける季節にスタートするのが一番だと思う。

選手にとってのメリットも大きい。

真夏に試合がない分、疲労が軽減され、怪我なども減るかもしれない。そうなるとよりよいプレーを見てもらえるだろうし、選手生命も長くなる。また、海外移籍もより実現しやすくなるだろう。少なくともこれまで、いつもついて回った時期的な問題は解消される。代表に関していえば、欧州と同じスケジュールなので、国際Aマッチデーに欧州の国と試合を組むことも以前ほど難しくないはずだ。

 

信頼する力 ジャパン躍進の真実と課題 著者 遠藤保仁 発行角川書店 155項より引用 

 鈴木啓太もなんかのインタビューで言っていましたが、やっている選手が「できたら秋春制がいい」と言っているので、やはり夏にシーズンをやるというのがどれほど辛いのかというのがわかります。それにキャンプ時期も、体が凍えている冬ではなく夏にやるということで、シーズン前の調整時期にケガをするリスクも防ぐことができます。シーズン入ったら止まらぬレールの上を突っ切るわけですからね。中6日の夏場は選手にとってリスクが大きい。

後は移籍市場。これもヨーロッパに行きたい選手にとってシーズンのずれは欠陥であり、現行のJリーグのシーズンが終わるのは12月。ヨーロッパの冬の移籍市場は1月のたった1ヵ月です。移籍の話をまとめるには時間が短いですし、それは夏も同じですね。またヨーロッパからJリーグに移籍する選手にとっても難しいです。8月にヨーロッパでシーズンインした選手が1,2月にJリーグへ移籍すると、その選手にとっては1年半のシーズンになる。逆パターンも同じ。この夏にエスパルスに加入した増田誓志は、秋春制UAEリーグからの移籍で、5月にシーズンを終え加入したのは8月。チームは始動して半年になるものの増田はこの時点で3ヵ月のブランクがある。コンディション的にチームにフィットするには時間がかかります。スケジュールを合わせるという意味では移籍する選手やチームにとってもメリットは大きいです。

 

Jリーグが、日本サッカーが本気で強くなるために秋春制にする意味は大きなことだと思います。ただ、リーグだけでなくカップ戦や元日に決勝をやる天皇杯の日程、そして環境の問題など課題は山積みです。今回は一旦白紙に戻した結果となりましたが、今後また同じように秋春制の議題は復活することになると思います。さてこの問題。最終的にどうなるのでしょうか。