豚に真珠

サンバのリズムに乗せられて、いつの間にかそのオレンジ色に魅了される。それが清水エスパルスというチームなんだ

サッカーと体力と時間

問題です。デデン!!

 

サッカーにおいて、動いても動いても疲れないモノってなぁ~んだ?

 

 

 

1000m走と、100m×10とでは、どちらが疲れる?

どんなに運動神経が優れる人でも、どんなに身体能力が高い人でも、どんなにスタミナに自信がある人でも、人間である限り限界というのはあります。

この問い。1000m走と100mを10本やるインターバル走では、どちらもタイムを計るとして、疲労度はどちらが高いか。

 

僕とボルトがフルマラソンを走ったらどちらが勝つか。

歴史上でも人類最速といわれるウサイン・ボルトですが、数多くある陸上競技において本業は短距離です。そんなボルトと、ちょっとした市民マラソンを走ったことがある僕が本気でフルマラソンを勝負したらどうなるか。200mを9秒台で走るボルトが単純計算したら42.195㎞は32分で走れることになります。でもそんなのおかしいですよね。人間は賢い生き物で、予めどれだけ走るのかが分かっていれば、その距離に従ってペース配分することができます。普段は200mを走るボルトも、200mでどれだけのペース配分すればいいのかを理解しているうえで走っているのであれだけの記録を出せます。マラソン選手もそう。42.195㎞という距離を知ったうえでペース配分をしている。だからそれに適したスタミナと筋力を持つ。

 

僕とボルトが本気でフルマラソンしても、僕はボルトに負けます。なぜなら途中で僕がリタイアしてしまうから。大差がついたところで体力もなくなり10㎞ほどで倒れこむでしょう。本業ではないけど走れるボルトと陸上は全くのど素人である僕とでは、スタートからボルトとの差がついてしまいます。必死でボルトを追いかける僕は、それだけに執着してしまい、ペース配分がおろそかになってしまう。体が頭に支配されてしまう。ボルトが走り切れるかどうかは知りませんが、それ以前の問題として僕が白旗を挙げてしまうのは当然のことです。

 

 

インターバル走では、全力は出せない

100m×10本をタイムトライアルするとして、1本目からどんなペース配分をして走れるか。

インターバル走10本をすべて全力で走るなんて、人間である限り無理です。インターバル走って、いろいろなデータを測れるもんで、もちろん短距離ではあるので選手個人のスピードはどれくらいなのかは分かりますが、それ以外に最初のタイムと最後のタイムの差を見ることで、その差が小さければその選手はスタミナも持ち合わせているんだよということも分かります。

 

しかし、人間体力には限界があるもの。体と脳が疲労に支配されると、何もできなくなってしまうモノなのです。

インターバル走では、1本全力で走った後、リカバリー走というのがあります。全力で走った後に、急激に体をストップさせてしまうと、体と脳のバランスが崩れ、一気に疲労感が体を襲うことになります。

 

 

サッカーで1番疲れる瞬間

 「走る」ということは、脳からの指令を受けることで行動できるということです。

サッカーにおいて「走る」要因は2つあり、“攻撃するために走ること”と“守備をするために走ること”です。

 

攻撃をするために走るということはどういうことか。

攻撃するということはボールを保持しているということ。主導権は自分たちにあります。ということは、いつ仕掛け、いつ走るのかということは、自分たちで判断することができるのです。

 

守備をするために走るということはどういうことか。

守備をするということは、ボールは相手の懐にあります。受動的に行動せざるを得ないわけです。相手がどのように組み立て、相手がいつ仕掛けてくるかは覇気使いでないとわかりません。自分が走る距離やスピードなど、全て相手次第なのです。そういう走りって、ストレスが溜まりませんか? 走るという行動をするには脳が指令するので、守備をするために走るということに関しては抑制効果があるのです。なので、「俺、守備で走るの、大大大~好き~」という人でない限り、守備で走ることに全力を注げる人などいないのです。

 

 

ボールポゼッションは時間を示す

ボールポゼッションは決してチームの強さを表しているわけではありません。30%のポゼッション率で勝つことだってあり得るのです。では何を示している数字なのか。それは単純明快、時間です。90分のうち何分間ボールを支配していたのか。ただそれだけです。しかし、それを発展させたうえで、ボールポゼッションで表された数字のチーム戦術や、トラッキングデータと比較し、どちらが良い試合運びをしていたかも分かります。ポゼッション率で分かることはこれくらいです。ただ、ボールポゼッションが低い=守備時間が長いことは、相手に走らされるということであり、意図しない走りをされることになります。疲れは溜まるばかりで次第に動けなくなる。この間のエスパルスセレッソの試合でも、守備に走らされていたデュークと枝村は体力の消費が激しかったのは明白でした。

 

サッカーは走るべきスポーツなのか

頭のいい選手ならば、走る量は控えめにします。だって走らなければ90分体力は持つのだから。サッカー選手は90分での平均走行距離は大体11㎞です。じゃあ12㎞走れば勝てるのでは?と思っているそこのあなた!! それは頭の悪い選手の発想です。11㎞は走っても12㎞に増やそうとはしない。11㎞で勝てるのだから12㎞に増やしたところで何も起こらない。今更質より量を求める武士道は相手にすぐ刺されます。

 

そこで今定義すべきなのは、走ること、よりも、実際に走った量はどんな質だったのか。11㎞走ったとしても、その大半が自分と、またチームと意図しない走りであるならば、ただ90分間体力を消耗していただけと同じです。じゃあ何を動かせばいい? 人はもちろんですが、それ以上に動いても動いても全く疲れもしないボールを動かせばいい!!(結論!!)