ダービーまで1週間前特別企画 第1弾 中村俊輔のフリーキックを見てみよう
皆さんこんにちは。いよいよ1週間後には、ジュビロとの4年ぶり静岡ダービーです。こんなに長くなるとは思わなかった。来週、決闘第1ラウンドのキックオフが鳴るわけですが、そのダービーを盛り上げるべく、今回から数回にわたり特別企画といたします。第1弾は、今オフのジュビロ補強の目玉、中村俊輔が登場です。
■大宮戦のフリーキック
前節の大宮アルディージャvsジュビロの試合で先制ゴールとなった、俊輔伝家の宝刀フリーキックを見てみます。
【公式】ゴール動画:中村 俊輔(磐田)5分 大宮アルディージャvsジュビロ磐田 明治安田生命J1リーグ 第3節 2017/3/11
敵将が語る
以前、アフシン・ゴトビ氏が、俊輔のフリーキックに対し「ゲームが止まってから蹴りだすまで3分掛ける」と話していたことがありました。コーナーキックも同じです。俊輔は蹴りだすまで異様に時間を掛けます。余程のチャンスにならない限り、クイックリスタートはありません。時間を掛ける辺り、俊輔のキッカーとしてのルーティーンがあるのでしょう。
では見ていきます。
※注意 正直に言いますと、フリーキックの解説なんて文と静止画だけでは伝わりません。限界があります。アクエリアスを飲んでも無理なもんは無理です。上に動画を乗っけておいたので、それと照らし合わせながら読むことをお勧めします。
スポットには、左の俊輔と右の太田吉彰がいます。
太田はフェイク。俊輔がいる時点で誰もが「そうだろうな」と思った瞬間です。GKも構えます。
俊輔が動き出しました。実は、太田がボールの上をまたいでから俊輔がスタートするまで、およそ1.5秒かかっています。さぁここで最初の動画を見て下さい。太田がスルーした後、GKは1度「ハッ!」としてもう1度体制を立て直してます。俊輔が動き始めたのは、体勢を立て直したその瞬間です!
俊輔が蹴る瞬間です。この時、GKは少しだけ左に動いてます。静止画ではわからないですね。動画見て下さい。GKが動いたのは、まさにこの瞬間です。俊輔が右足に体重を乗せているときです。この後、皆さんご存知の通り
見事にGKの逆を突いて右隅に決めました。俊輔の凄いところは、本当に蹴る直前までGKを見ているところです。ちょっとした動きも見逃さずに隙と言える隙は必ず突いてきます。この時のGKの動きも、本当に少しだったのですが、絶妙に手が届かないところに蹴り込んでいるので凄いです。......凄いです。これしか言えないです。
ここまでが俊輔フリーキック講座初級編です。まだ初級編!? そうです。まだまだ初級編です。
壁の作り方
一昔前の壁と言えば、相手選手が一列に並んでキッカーにプレッシャーをかける、でした。そしたら、壁が動くことで味方を壁の中に配置して壁を封じるようになる。そしたら、GKが見えなくなり、壁にわざと穴を空け、GKがボールを把握できるようになった。更にそしたら、その穴を防ぐかのように見方を配置した(今ココ)。となっておりますが、一流キッカーが配置する味方の壁要員とは、どうなっているのでしょうか。
壁の配置はこうなっています。問題です。この壁の中にジュビロの選手は何人いるでしょうか?
正解はコチラ!!
2人でした。
最初の画像にはアダイウトンしか映っていませんでした。じゃあもう1人はどこよ?なんですが、
よ~く見てみてください。壁の前にいます。
アングルを変えてみると全然わかりません。
なんでそこに配置するの?
一旦、キーパー目線で見てみます。フリーキック時にキーパーが1番確認したいことって何?というと、「いつボールを蹴るのか」というところです。もしかしたら蹴るタイミングをずらされるかもしれないし、いつ蹴ったかによって体を反応させないといけない。だからキッカーとボールの両方は確認したいのです。
ではキッカー目線に戻ります。1番キーパーにバレてはいけないのは何かというと、蹴る瞬間ですね。プロのキーパーならば、蹴るモーションが分かれば、余程ボールの精度が高くない限り、しっかりセービングすることができます。まぁ、それがプロのキーパーです。
では少し戻ってみましょう。
これ、キーパーが見えるのは
こうですよね。俊輔しか見えないです。それで、ボールを見るとしたら
そうなんです! 足元を通じてボールを見ようとしても、ここにジュビロの選手を配置しているから見えない!!だから反応遅れる!!俊輔との駆け引き勝負だが、百戦錬磨相手に勝てるのは難しい中の難しい!!Oh My God!!
壁張りにも工夫しているということなんですね。奥が深い......。
俊輔って、どうやってフリーキック蹴っているの?
昔々、やべっちFCのコーナーの中に「フリーキック研究所」というのがありました。その中に若かりし頃の俊輔が出ていたんですが、なかなか興味深かったです。
今回、何回も使っているこの画像ですが、俊輔の立ち位置見て下さい。ボールと並んで、ほとんど真横から入っています。俊輔曰く、横から入ることで
見て下さい。物凄く腰を捻っているでしょ。横から入ることで、遠心力を利用して、あの鋭く曲がって落ちるキックを蹴ることができるみたいです。そういうことで、カーブを掛けるときって、インサイドからインフロントにかけてボールをこするように蹴るのが一般的ですが、俊輔は遠心力を使ってカーブを掛けているので、インサイドキックの時に、足の構造上引っかかるところってあるじゃないですか。親指からかかとに向かうところで途中ボコっとなるところ。名称わからないんでアレなんですが、そこにボールを引っ掛けて、あとは体を思いっきり回す。そうやって蹴ってるみたいです。
うわ~、邪魔や!!めっちゃいいアングルなのに!!すんげ~被っている!!
俊輔のフリーキックは「技術4:駆け引き6」ぐらいの割合です。あれだけの技術がありながら、ほとんどが駆け引き勝負です。このゴールもそうなんですけど、GKがチョンボしない限り、フリーキックを決められたら、それはもう素直に俊輔を称えましょう。見事としか言えないです。なにせ、世界に認められた“アーティスト”なんですから。
よく見たい方は、YouTubeかなんかで「中村俊輔 フリーキック」で検索してください。
はい、終了です。第1弾は中村俊輔でした。この選手が静岡ダービーに出てくるのです。横浜生まれ横浜育ちのバリバリ浜っ子の俊輔が出てくるのです。2016年までは想像すらしてこなかったことです。すげぇなぁと思いつつ、なんで来るんだよというのも本音。世界に認められたウルトラレフティは絶対に潰しましょう。
※今回、俊輔の蹴り方を少しやりましたが、小さい子にはやらせてはいけない蹴り方ですね。腰を痛めるリスクがあります。俊輔本人も「あんまり蹴り方の真似はしない方がいい」と言っていました。俊輔ならではの蹴り方だということをお忘れなく。