豚に真珠

サンバのリズムに乗せられて、いつの間にかそのオレンジ色に魅了される。それが清水エスパルスというチームなんだ

デュークの問題点

 

田坂体制になり、早4試合を経過しました。

 

結果こそ出てはいませんが、前体制と比べると、だいぶ秩序ある組織体になってきたなと思えます。戦術とかに関しては、近いうちにスポナビのほうで書きます。

 

 

さて、今回の主役はミッチェル・デュークです。

 

デュークなんですが、いろいろと問題ありです。もちろんサッカーの話です。

ただデュークという選手は、しっかりハードワークするし、走ってくれるし、好青年っぽいし…。まぁ憎めないヤツです。

 

 

ではここで、デュークの特徴から考えてみましょう。

デュークの特徴は、

  • 雰囲気的にハワイのビーチにいそう
  • 身長の割に小さい車に乗ってそう(同郷のボスナーがミニクーパーに乗っていたというイメージから)
  • 眼鏡かければ厚切りジェイソン

っておい! これ外見のイメージだろ!!

 

マジメにサッカーについてデュークの特徴は

  • 守備サボらない
  • 最後まで走り抜ける
  • フィジカルが強い

すぐに挙げれるのはこれくらいでしょう。ここから分かるのは、この挙げた3つの特徴はボールとは無関係なところでの特徴です。例えば、「パスが上手い」とか「ドリブル上手」とかそういうのは思い浮かばないですよね(失礼は承知です)。

そうです! デュークとは、オフ・ザ・ボールでのクオリティー次第です。その動きが良ければ抜群のプレーが見れます。

 

 

ではここでデュークの問題あるプレーを見ていきましょう。

先日のFC東京戦から

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ヨンアピンからデュークへ

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デュークは足元にボールを納める。中では枝村匠馬がフリー。本田拓也は逆サイドをチェックしている。

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デュークは前を向く。ヨンアピンはオーバーラップ。この時のデュークの視野にはヨンアピンしかいない。

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ヨンアピンへパスを出す。デュークはそのまま縦に走る。

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デュークのフリーランにより、中の枝村が空く。しかしヨンアピンはクロスを選択し、カットされる。

 

この場面では、デュークが走った後に枝村に入れて組み立て直さなかったヨンアピンにも非はあるけど、やっぱり1番の問題は「デューク→枝村」という組立がなかったところ。

デュークがトラップした2枚目の画像ではデュークは中を向いていることから、視野には枝村、そして本田も入っていた。しかし、ボールが納まると同時にデュークはプレースピードがまるでペースダウンしたかのように縦の一点張りみたいに、上がってくるヨンアピンにしか視野が入っていなかった。問題点はここにあります。2枚目の時点で仮に枝村に入れていれば、枝村には最低3つの選択肢がありました。

一つ目はデューク。このシーンもそうなんですが、デュークの特徴として、「パスアンドゴー」の「ゴー」の部分。だいたい縦に走ります。そこに当てる。二つ目がデュークがいたスペースに入るヨンアピン。デュークが縦に走ることで相手を引きつけるので、後方にはスペースが空きます。最後の画像もそうですね。デュークが走ったことで、後方の枝村が空いています。そして三つ目が本田を経由してのサイドチェンジ。本田は1枚目で逆サイドをチェックしていたので、そういう選択もあります。

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ここではサイドでの展開が遅かったことが問題。これはこの試合でデュークとは逆の担当だった白崎凌平にも同じことが言えます。白崎の場合は持ちすぎだったり、球離れが悪いところが問題なんですが、デュークの場合は自ら選択肢を消してしまうとこが問題。デュークの問題点は、オフザボールの時はいろいろと見えています。視野が広いです。しかし、ボールを持つと途端に視野が狭まる。1枚目の時点では枝村や本田はしっかり捉えていたはずです。しかし、ボールを納めると視野から外れる。一気に世界観が狭くなります。それで、時に無謀なことをしてしまうこともあるのです。

 

この場面でのデュークなんですが、ヨンアピンに預けて縦に走り出しました。4枚目の画像です。ここから一気にペースを速めたかのように、プレースピードが上がりました。ここから分かるのは、冒頭でも言いましたが、デュークはオフザボール次第の選手です。ボールを保持しているときではなく、保持していないときに変化をもたらすタイプです。こういった動きを「ダイナミズム」というんですが、それがデュークの特徴といえます。

 

ではここでもう1シーンを

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ウタカからボールを受ける。カウンターが始まります。

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ヨンアピンに預ける。

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ここでヨンアピンの選択は右足でのクロス。結果は跳ね返される。

この時点でデュークはフリーなんですけど、ヨンアピンの選択肢に「デュークへのパス」はなかったと思います。というのも、ここでパスをするということは、デュークの足元に出すというわけです。でもですよ、もう一回思い出してみてください。デュークはオフザボールで変化を生む選手です。この場面では変化は訪れることはありません。彼がクリスティアーノ・ロナウドだったら、ワントラからの理不尽ミドルが炸裂することが目に見えているので、否が応でもパスを出すと思いますが、ロナウドではなくデュークです。彼の良さを考えたら、ここではありません。ヨンアピンはそれを分かっていたからあえて出さなかったのでしょう。むしろ、ゴール前に走りこんでほしかったと思っているのではないでしょうか。そうでしょキャラ?

 

 

 

ではデュークの良さがはっきり出るのはどんな場面か。それを見てみましょう。

その場面とは、2ndステージ6節湘南ベルマーレ戦でのアシストをしたところです。

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ウタカがボールキープ。デュークが縦に走り出している。

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ウタカがヒールで出す

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はい。これです。完璧なカウンターです。デュークの良さが素晴らしくでたシーンです。

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過去の2シーンと違うところは、デュークがどういった状況でパスを受けるかというところです。過去2シーンではいずれも足元でパスを受けています。しかし今回はどうでしょう。あらかじめ走っている状態で、スペースで受けています。初めからギアが全開でスタートしています。

 

ここまでで分かるデュークの特徴は、「デュークは走ってナンボ」の選手だということ。パスは足元ではないです。スペースです。このアシストしたシーンでは、縦のダイナミズムによって生み出されたわけであって、パスを出したウタカもデュークの良さを理解したうえでキープ:裏にデュークの走るスペースを作ることをしたんだと思います。

そういえば、ウタカからデュークへのパスというのは、そんなケースが多いような気がする。確か神戸戦のデューク初ゴールも走っている状態のデュークに出しているし。竹内涼なんかもそうですけど、スキルあるパサーは味方の良さというのを一発で理解することができます。パサーっていうのはそういう選手です。話ずれそうなんで近いうちにこのことに関してやりたいと思いますが、味方を理解できないパサーっていうのは2流ですらないんです。なんちゃってパサーです。

 

 

ではここでデュークの欠点を。

デュークは器用なことをするときもありますが、基本不器用です。ハードワークをしっかりやるというところからして岡崎慎司に似ているところがあります。それで、岡崎の場合は、ダイアゴナルの動きがあって、例えば左にいたことが多かった2010年は、右からのクロスに、中に走ってシュートしたり

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あるいはダイアゴナル・ランによってスルーパスを受けたりとか

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こういう動きがありました。ただデュークにはそれがない。湘南戦のシーンなんかもそうですが、縦のダイナミズムはあっても横のダイナミズムはありません。それに関しては、今まで左のウイングバックをやっていたからでしょう。WBがピッチ中動き回ったらそのサイドが死にます。サイドバックがいないので動きたくても動けない。サイドに縛りつけられます。だから中への動きがない。そこは今後の修正ポイントです。

 

他では中へのドリブルでのカットインがない。何回かはそれらしきことはやってましたが、そこは問題があって、カットインするファーストタッチはいい。一人は抜けます。でもセカンドタッチが悪い。カバーする2人目のDFに獲られることが多い。原口元気とか中島翔哉は細かいボールタッチで中に射抜くドリブルをするんですが、デュークはセカンドタッチが大きくなることが多くて。でもそれはデュークの本来の持ち味ではないので割愛します。

 

 

 

ここまでいろいろ書いてきましたが、デュークは走ってナンボです。現在はSBがいるので活動範囲が増してくると思います。デュークの下に六平がいることが多いのは、組立をしっかりしたいからかなと。これに関してはスポナビの方でやります。

1つ言えることはデュークは檻に入れてはならないということであり、開放感があるスペースが最も生きるということです。

 

という中途半端な結論ですが、だいたい言いたいことは言えたのでここまでにしたいと思います。