フォルラン@シュート ~ゴールこそ正義~
先週、ディエゴ・フォルランがセレッソ大阪を退団しました。
ウルグアイ代表でありながら極東まで来てくれたこと。Jリーグでプレーしてくれたこと。いろいろありました。
今回はそんなフォルランに敬意を表し、彼のゴールとなったシュート振り返ります。
サンプルに挙げるのは、J2第5節ジェフ千葉戦の1点目と、J2第14節V・ファーレン長崎戦のフリーキックです。
まず千葉戦の1点目
これです。思い出しましたか?
長谷川アーリアジャスールのフィードをダイレクトで叩き込むというワールドクラスのボレー。
では1つずつ見ていきましょう
この時点では前のスペースを確認している
スペースを確認したところで視線をボールに移す。
右足で軽く飛ぶ。これによって、両足にかかる重心をフラットにし、体全体にかかる重力を軽くする。この時点でシュートすることを決めていたといえる。
フラットにした足の重心を左足に掛ける
では別の画像から
横からフォルランを見てみよう
右足で飛ぶところですね。両足で飛ぶと書いてありますが、右足で飛ぶ直前を表してます。
ボールがバウンドする。ボールを見ながらシュート体制に持ち込む
シュート体制に入る
左足首を固定。下半身の軸をぶらさない。
その代わりに動かすのは上半身。腰をひねり、左手でバランスをとり上半身を開く
左足は完全に固定。最後まで軸はぶらさない。
開いた上半身は左手でバランスをとりながら、絶妙な開き具合を調整する。シュートコースはフォア。上半身は前傾姿勢。腰をひねり、体を開きすぎず左手で調整。シュートする右足を体全体でサポートしている。
シュートシーン。体重を一気に右足に掛ける。左から右へ。左で重心を溜め、打つときに右足へ。この体重移動のバランスがシュート精度に繋がっている。体全体で打っている。
このシュートの何がすごいって、実はこれ、ゴールを1回も確認していないこと。これまでの画像でゴールに視線を移したシーンは0。打つときも視線はボール。ルックアップしていない。感覚でやれている。世界最高峰のストライカーはゴールの位置を体に浸み込ませている。
では次。長崎戦のフリーキック
思い出しましたか?これです。
では見てみましょう。
先ほどのシュートと同じ。軽く飛ぶことで重心を軽くする
山口蛍の頭に隠れてよくわからないが、軸足となる左足はボールから距離を置いたところに置く。中村俊輔も以前なんかの番組で言っていたけど、軸足とボールの距離を空けると、体を回すだけの懐具合が良くなるとかなんとか。おそらくフォルランも一緒。腰を使って蹴りたいから軸足とボールの距離を空ける。
このシーン。
上半身はまっすぐにする。この上半身と左足の2つからなる軸を固定する。
この際に左手を使いバランスをとる
腰から左足全体にかけて体重を乗せる。
角度がついていることから、上半身とボールの距離感を保つ。この理由としては先ほどにも述べたように、腰を使って体全体を回して蹴りたいから。上半身とボールの距離が近いと、体を回せなくなる。また体重移動もままならない。この蹴り方では重心を掛けることで、腰にゆとりをもたらす。
右足は腰をひねりながら回す。ボールを擦るというより、腰を中心に足を回すという感覚でボールを蹴っている。だからスピードと落差のあるフリーキックが蹴れる。尚、軸足となった左足は、踏み込むときに寝かせた左足首浮かせ、右足に体重移動させている。
ゴールこそ正義
昨年までセレッソにいた南野拓実はフォルランからシュートの意識を持つようにと教わったらしい。ゴールするという意識は前線の選手である以上、必ず持っていなければならないということだ。
ディエゴ・フォルランというストライカーは、僕たちにサッカーの基本を改めて教えてくれた。FWの仕事はゴールだけではない。柳沢敦がそんなこと言ってたけど、確かにそうだ。でも、点を取らないFWに存在価値はない。FWはゴールこそが正義なんだ。
彼は日本から去った。
次に再会するのはいつだろう。
でも僕たちは、この偉大なストライカーがJリーグのピッチでプレーしたという記憶が消えることはないはずだ。
改めてお礼をしたい。
ありがとう。ディエゴ・フォルラン
Gracias. Diego Forlán