豚に真珠

サンバのリズムに乗せられて、いつの間にかそのオレンジ色に魅了される。それが清水エスパルスというチームなんだ

サッカーと体力と時間

問題です。デデン!!

 

サッカーにおいて、動いても動いても疲れないモノってなぁ~んだ?

 

 

 

1000m走と、100m×10とでは、どちらが疲れる?

どんなに運動神経が優れる人でも、どんなに身体能力が高い人でも、どんなにスタミナに自信がある人でも、人間である限り限界というのはあります。

この問い。1000m走と100mを10本やるインターバル走では、どちらもタイムを計るとして、疲労度はどちらが高いか。

 

僕とボルトがフルマラソンを走ったらどちらが勝つか。

歴史上でも人類最速といわれるウサイン・ボルトですが、数多くある陸上競技において本業は短距離です。そんなボルトと、ちょっとした市民マラソンを走ったことがある僕が本気でフルマラソンを勝負したらどうなるか。200mを9秒台で走るボルトが単純計算したら42.195㎞は32分で走れることになります。でもそんなのおかしいですよね。人間は賢い生き物で、予めどれだけ走るのかが分かっていれば、その距離に従ってペース配分することができます。普段は200mを走るボルトも、200mでどれだけのペース配分すればいいのかを理解しているうえで走っているのであれだけの記録を出せます。マラソン選手もそう。42.195㎞という距離を知ったうえでペース配分をしている。だからそれに適したスタミナと筋力を持つ。

 

僕とボルトが本気でフルマラソンしても、僕はボルトに負けます。なぜなら途中で僕がリタイアしてしまうから。大差がついたところで体力もなくなり10㎞ほどで倒れこむでしょう。本業ではないけど走れるボルトと陸上は全くのど素人である僕とでは、スタートからボルトとの差がついてしまいます。必死でボルトを追いかける僕は、それだけに執着してしまい、ペース配分がおろそかになってしまう。体が頭に支配されてしまう。ボルトが走り切れるかどうかは知りませんが、それ以前の問題として僕が白旗を挙げてしまうのは当然のことです。

 

 

インターバル走では、全力は出せない

100m×10本をタイムトライアルするとして、1本目からどんなペース配分をして走れるか。

インターバル走10本をすべて全力で走るなんて、人間である限り無理です。インターバル走って、いろいろなデータを測れるもんで、もちろん短距離ではあるので選手個人のスピードはどれくらいなのかは分かりますが、それ以外に最初のタイムと最後のタイムの差を見ることで、その差が小さければその選手はスタミナも持ち合わせているんだよということも分かります。

 

しかし、人間体力には限界があるもの。体と脳が疲労に支配されると、何もできなくなってしまうモノなのです。

インターバル走では、1本全力で走った後、リカバリー走というのがあります。全力で走った後に、急激に体をストップさせてしまうと、体と脳のバランスが崩れ、一気に疲労感が体を襲うことになります。

 

 

サッカーで1番疲れる瞬間

 「走る」ということは、脳からの指令を受けることで行動できるということです。

サッカーにおいて「走る」要因は2つあり、“攻撃するために走ること”と“守備をするために走ること”です。

 

攻撃をするために走るということはどういうことか。

攻撃するということはボールを保持しているということ。主導権は自分たちにあります。ということは、いつ仕掛け、いつ走るのかということは、自分たちで判断することができるのです。

 

守備をするために走るということはどういうことか。

守備をするということは、ボールは相手の懐にあります。受動的に行動せざるを得ないわけです。相手がどのように組み立て、相手がいつ仕掛けてくるかは覇気使いでないとわかりません。自分が走る距離やスピードなど、全て相手次第なのです。そういう走りって、ストレスが溜まりませんか? 走るという行動をするには脳が指令するので、守備をするために走るということに関しては抑制効果があるのです。なので、「俺、守備で走るの、大大大~好き~」という人でない限り、守備で走ることに全力を注げる人などいないのです。

 

 

ボールポゼッションは時間を示す

ボールポゼッションは決してチームの強さを表しているわけではありません。30%のポゼッション率で勝つことだってあり得るのです。では何を示している数字なのか。それは単純明快、時間です。90分のうち何分間ボールを支配していたのか。ただそれだけです。しかし、それを発展させたうえで、ボールポゼッションで表された数字のチーム戦術や、トラッキングデータと比較し、どちらが良い試合運びをしていたかも分かります。ポゼッション率で分かることはこれくらいです。ただ、ボールポゼッションが低い=守備時間が長いことは、相手に走らされるということであり、意図しない走りをされることになります。疲れは溜まるばかりで次第に動けなくなる。この間のエスパルスセレッソの試合でも、守備に走らされていたデュークと枝村は体力の消費が激しかったのは明白でした。

 

サッカーは走るべきスポーツなのか

頭のいい選手ならば、走る量は控えめにします。だって走らなければ90分体力は持つのだから。サッカー選手は90分での平均走行距離は大体11㎞です。じゃあ12㎞走れば勝てるのでは?と思っているそこのあなた!! それは頭の悪い選手の発想です。11㎞は走っても12㎞に増やそうとはしない。11㎞で勝てるのだから12㎞に増やしたところで何も起こらない。今更質より量を求める武士道は相手にすぐ刺されます。

 

そこで今定義すべきなのは、走ること、よりも、実際に走った量はどんな質だったのか。11㎞走ったとしても、その大半が自分と、またチームと意図しない走りであるならば、ただ90分間体力を消耗していただけと同じです。じゃあ何を動かせばいい? 人はもちろんですが、それ以上に動いても動いても全く疲れもしないボールを動かせばいい!!(結論!!)

育成への投資は未来への投資

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次に育成の方なのですが、昨年成果が上がり始めています。私が就任したのが2015年なんですけど、一番大きな方針として挙げたのは、プロの選手として通用する選手を個で育ててくれというメッセージをずっと出し続けております。グループに勝る個はないということは確かなんですけども、その個の質を育成年代で上げていって、トップに上がった時に「これは教育の必要があるな」と小林監督に言わせるような必要がないフィジカル、それからプレーイングスキル、メンタルを持った選手を個で見てあげてくれと。先般、ジュニユースが3冠を獲りましたけども、彼らの年代というのがこの方針に基づいて岩下コーチが一所懸命育ててくれておりますので、その方針を明文化してトップと同じように上げればと。またこの育成の強化は、生え抜きのプロをトップに上げるということにつながります。地域貢献の自助でもあるというふうに思っておりますので、大事にしていきたいと思います。
これはトッププロの早期育成をはかっていく上では避けて通れないのですけども、トップとの交わりをユース年代ではもっと増やしていく。練習やサテライトゲーム、それからコーチングスタッフの交流。こういったところの運営についてはトップとユースをもっと近づけていくということを意識しました。ただ、従来通り、登録ですとか、プレミアリーグの運営等、それから選手の評価は育成がやるんですけど、トップとの距離感を近づけるということを今年は小林監督も含めて意識していきたいと思います。
次に育成にかかるスタッフが絶対的に足りませんでした。これまでは投資をしたくてもJ2に降格して、トップに回すお金で精一杯なところで我慢してもらっていたところを、今回は少し厚めに予算を充てています。それから3番目は選手そのものの自力の向上と言いますか、食育教育ですとか、海外遠征での経験を積ませる。静岡を離れた高いレベルでベンチマークを置いて、個の成長を促進するということを意識した予算像を考えております。
最後に指導者のバラツキが、組織が大きくなってくると必ず出ますので、そのバラツキが出ないようなリンケージを取る仕組みを育成の中で、これはトップも含めてなんですけども、考えていくということを指針として挙げております。

【2017シーズン新体制発表記者会見】記者会見レポート�@|清水エスパルス - 公式WEBサイト

 

力入れていますね。

2015年に左伴社長になってから常々言っておられます、下部組織への投資。クラブの経営基盤がしっかりし、収入の増収などあり、クラブの資金をトップチームだけではなく、下部組織にも回すことができるようになりました。

 

地方クラブにとって下部組織は宝以上

エスパルスというクラブは、ガンバやレッズみたいに大企業がバックに付く大都市クラブ(浦和は大都市なのか......?)ではありません。なので、移籍市場においてマネーゲームになってしまえば勝ち筋は見えにくい。それに、静岡は地方です。はっきり言えば田舎です。東京や名古屋には安く日帰りで行ける距離ではありますが、田舎です。となりますと、DAZNマネーが入る今後は、即戦力ルーキーを獲得することも難しくなります。大卒は分かりませんが、高卒で声が掛かる、いわゆる『大物』選手は、きらびやかな都会チームに行ってしまいます。若い人にとって都会は魅力的です。それに、ガンバやセレッソFC東京セカンドチームを持っています。若いながら公式戦に出場できる環境はあります。これでは難しいです。

地方クラブにとって若い選手を獲れる方法は、出場機会のない若手のレンタル移籍か、ユース選手の昇格しかなくなってきます。

 

クラブフィロソフィー=下部組織

ヨーロッパの歴史あるビッグクラブのレジェンドと言われる選手って、どんな選手でしょうか。

例えばバルセロナ。メッシやイニエスタを筆頭に、シャビやプジョルに古くはペップ。いつの時代もチームの軸はカンテラ出身者です。

では、近年大型補強を続けているレアルマドリードはどうでしょう。レアルのレジェンドはラウールにカシ―ジャス、イエロ、古くはブトラゲーニョもそうです。今だって、アレ..?いや、今もモラタとか、モラタとか、へセとか、マタとか...みんな出ている。まぁ、優秀な卒業生は多いです。他だってマンチェスターユナイテッドも、素晴らしいアカデミーを持っていますし、アヤックスの下部組織は世界中のモデルケースとなっています。というように、長い年月強豪チームとして成り立っているクラブの根幹は下部組織の充実があってこそです。

 

下部組織というのは、第1にプロ選手への育成が目的です。アカデミー出身者のアドバンテージは、高校サッカーや大学サッカー出身者より、チームの内情を理解できているということです。戦略的、戦術的にクラブの方針を理解できているということです。

 

Jリーグの育成組織の現実

現在、J1には18チームありますが、この中でユース出身者が10人以上いるクラブは何チームあるでしょうか。

 

開幕時点でトップに登録されている中では、柏レイソル横浜F・マリノスガンバ大阪セレッソ大阪ヴィッセル神戸の5チームだけです。ここ最近ユースからの昇格選手が多いコンサドーレ札幌は、他チームへの流出が続いており、現在は9名です。J2ですと、湘南ベルマーレ東京ヴェルディは有名ですが、あとは京都サンガくらいかな。昨年J2のチームと対戦しましたが、ほとんどのチームが戦力外になったベテラン選手や出場機会がない若手選手をレンタルしているのが現状です。J1ですら少数なのにJ2でユース勢は余程力を入れてない限り難しいです。

 

高校サッカーとのジレンマ

地方の、特にJ2のクラブですと、ジュニアユース年代ではいても、高校年代では選手の獲得も難しくなります。

高校サッカーに進む選手には「選手権」への憧れというのはあるでしょう。本気でプロサッカー選手になるのであるならば高校のサッカー部に行くよりユースに進んだ方がいいです。ですが、選手権やインハイの常連チームへ行けば、J1クラブのスカウトも来れば名門大学からの誘いもあるでしょう。ユースへ昇格すればそのままトップチームへの昇格1本道ですが、高校サッカーへ行けば選択肢が広がります。

そのジレンマによって苦境に立っているのがザスパクサツ群馬でしょう。現在プロ契約している選手の中でユース出身者は1人だけです。群馬は、一昨年の江坂、去年の瀬川と掘り出し物と言える即戦力大卒ルーキーを獲得しており、大学サッカー界から一目置かれています。今年日本体育大から加入した高井和馬は、昨年の関東大学リーグ1部の得点王で、J1でも即戦力クラスの“大物”です。大学サッカー界におけるザスパクサツ群馬は、信用におけるクラブになりつつあります。

そんな群馬ですが、ユース出身者が1人である現状、高卒選手の獲得は難しくなっています。なぜか。それは、群馬県の高校サッカーには、前橋育英という超名門高があるからです。J1のスカウトはもちろん、名門大学への太いパイプもある前橋育英に行った方が、言い方は悪いですが、可能性が広がり、より高いレベルに挑戦できる道もあります。ザスパクサツ群馬というブランドが、前橋育英のブランドに押されているのが現実です。

この話は群馬だけではありません。J1のチームだって例外ではない。一見有望株はJクラブのユースに進みがちと思いきや、実際は地方によっては全く逆の方向へ進んでいるところもあるのです。

 

クラブの下部組織に対する在り方

育成の重要性が広まっている今、これから常勝軍団になるためには、下部組織改革は必須です。むしろ今後はユース出身者がチームの中心でなければいけないのです。それは、最初でも述べた通り、ユースはクラブフィロソフィーそのものだから。大型補強でやって来た選手が戦術の柱になってしまえば、その哲学は揺らぐことになります。本来ならば、それはあってはならないことです。

 

我がエスパルスも、昨年から組織を変え、トレーニングメソッドの変更など、変化があるみたいです。実際に昨年のユースチームはクラブユース選手権では準優勝。さらにジュニアユースでは3冠を達成しました。改革から1年ですが、着実に進歩しています。いや、1年で成果が出ているということは、想定以上のスピードで成長しているのでしょう。そこで今年、下部組織へより多くお金を回すことができるのはかなり大きいことです。

先日のルヴァンカップではユースの選手が3人メンバー入りしました。2種登録された選手はまだまだいます。さらに下の黄金世代も控えているので、順調に行くことができれば、『闘える選手』を育成しているのだから、良い時代に突入できるのではないかと思います。ただ、長い目で見守りましょう。

 

ダービーまで1週間前特別企画 第2弾 カミンスキーに付け入る隙はあるのか?

やってきました、ダービーまで1週間前特別企画第2弾!!拍手!!

ということで、今回登場する選手はこちら!

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ミンスキ~。

名手が数多く生まれたGK大国・ポーランド出身の選手です。現在のJ1の中でも、5本の指には入るであろう超人系GKです。前節のヴィッセル神戸戦でみせた、DAZNベストセーブにもノミネートされた2連続セーブは称賛ものでした。

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ハイ1~つ。

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ハイ2~つ。

 

素晴らしいセービングですね。ジュビロの守備戦術なんて結構怪しいところがありまして、前からプレスをしたくても簡単に剝がされていくし、かといって引いて守ったところで、耐えきれるだけの耐久力はない。今季ここまでの被攻撃回数もワースト3位。被シュート数10.8本とワースト6位です。それでここまでわずか3失点。これをそこそこ堅守と言っていいものなのか、あるいは横綱相撲なのかどうかは知りません。ただ、この失点数の少なさを支えているのはカミンスキーだということは間違いないです。そんなカミンスキーからゴールを奪わなければエスパルスは勝てません。カミンスキーに隙はあるのか。それをこれから見てみます。

 

 

カミンスキーの特徴

キーパーって、なんで前傾姿勢で重心を下に下げているか知っています?

直立姿勢の時に、意外と取りにくいボールっていうのは足元付近の低いボールなんですね。

「サッカーはミスするスポーツ」たる所以は、サッカーは当たり前ですが足を使うスポーツです。足というのは、神経系の信号を送る脳から1番遠い場所。なので手を動かすより反応が遅く、かつ体の中で最も扱いにくい箇所となります。

 

最後の砦 ゴールキーパー

キーパーはサッカー選手で唯一手を使うことができます。手を使えばセービングも正確です。直立している状態で手を使える範囲は、長い腕でも太ももまで。膝下はカバーできません。それに、足を出したからと言ってセーブできるとは限らない。手を使えば正確。どうやって手を使おうかとなり、重心を下げればすべて解決と至ったわけです。

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コチラの画像は、2節ベガルタ仙台戦の失点直前の場面です。かなり重心は低いです。ゴール自体はゴラッソでした。アレを止められるキーパーなんてそうそういません。ただ、キーパーとして姿勢は凄いです。これぐらいのゴラッソでなければゴールは決められないだろうというくらいでないと無理でしょう。そのくらい隙がないです。

 

3節大宮戦の失点

ぶっちゃけ、この失点はミスによって起こった失点で、カミンスキー側からしても想定外。味方のミスを計算してプレーするような薄情な選手はいません。

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スローインをカットされて、そのままゴールまで行ってしまったと。

正直、この失点からカミンスキーの弱点はわかりません。では前節の神戸戦の失点シーンを見てみます。

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まず1人。

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2人倒して~。

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ハイ失点。

完全に個人技!

2人も交わされたらどうしようもないです。ただ1つだけ言えることがあるとするならば、このシーンで2度、シュートフェイントがありました。

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まず1回。

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そして2回。連続して2回も体勢を立て直してます。これでは体の体型のバランスを失いかねない。実際に3度目となった失点場面では、体制の立て直しに手間取っており、反応が遅れていました。

※動画はコチラ


【公式】ゴール動画:大森 晃太郎(神戸)46分 ヴィッセル神戸vsジュビロ磐田 明治安田生命J1リーグ 第4節 2017/3/18

 

 

カミンスキーに隙はあるのか?

今のカミンスキーは神がかっています。ジュビロの守備戦術的には普通に崩せます。ただ最後の砦を崩すのは至難の業です。カミンスキーを崩すならば、2,3回体勢を崩しましょう。それでダメなら足をピッチに縫い付けておきましょう。でないと、崩せません。

 

結論!!

カミンスキーに隙はあるのかどうかというと、

 

多分あると思うけど、あるっしょ......あるんじゃね?......探せば絶対ある!!......たぶん......。

ダービーまで1週間前特別企画 第1弾 中村俊輔のフリーキックを見てみよう

皆さんこんにちは。いよいよ1週間後には、ジュビロとの4年ぶり静岡ダービーです。こんなに長くなるとは思わなかった。来週、決闘第1ラウンドのキックオフが鳴るわけですが、そのダービーを盛り上げるべく、今回から数回にわたり特別企画といたします。第1弾は、今オフのジュビロ補強の目玉、中村俊輔が登場です。

 

 

■大宮戦のフリーキック

前節の大宮アルディージャvsジュビロの試合で先制ゴールとなった、俊輔伝家の宝刀フリーキックを見てみます。


【公式】ゴール動画:中村 俊輔(磐田)5分 大宮アルディージャvsジュビロ磐田 明治安田生命J1リーグ 第3節 2017/3/11

 

敵将が語る

以前、アフシン・ゴトビ氏が、俊輔のフリーキックに対し「ゲームが止まってから蹴りだすまで3分掛ける」と話していたことがありました。コーナーキックも同じです。俊輔は蹴りだすまで異様に時間を掛けます。余程のチャンスにならない限り、クイックリスタートはありません。時間を掛ける辺り、俊輔のキッカーとしてのルーティーンがあるのでしょう。

 

では見ていきます。

※注意 正直に言いますと、フリーキックの解説なんて文と静止画だけでは伝わりません。限界があります。アクエリアスを飲んでも無理なもんは無理です。上に動画を乗っけておいたので、それと照らし合わせながら読むことをお勧めします。

 

 

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スポットには、左の俊輔と右の太田吉彰がいます。

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太田はフェイク。俊輔がいる時点で誰もが「そうだろうな」と思った瞬間です。GKも構えます。

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俊輔が動き出しました。実は、太田がボールの上をまたいでから俊輔がスタートするまで、およそ1.5秒かかっています。さぁここで最初の動画を見て下さい。太田がスルーした後、GKは1度「ハッ!」としてもう1度体制を立て直してます。俊輔が動き始めたのは、体勢を立て直したその瞬間です!

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俊輔が蹴る瞬間です。この時、GKは少しだけ左に動いてます。静止画ではわからないですね。動画見て下さい。GKが動いたのは、まさにこの瞬間です。俊輔が右足に体重を乗せているときです。この後、皆さんご存知の通り

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見事にGKの逆を突いて右隅に決めました。俊輔の凄いところは、本当に蹴る直前までGKを見ているところです。ちょっとした動きも見逃さずに隙と言える隙は必ず突いてきます。この時のGKの動きも、本当に少しだったのですが、絶妙に手が届かないところに蹴り込んでいるので凄いです。......凄いです。これしか言えないです。

ここまでが俊輔フリーキック講座初級編です。まだ初級編!? そうです。まだまだ初級編です。

 

壁の作り方

一昔前の壁と言えば、相手選手が一列に並んでキッカーにプレッシャーをかける、でした。そしたら、壁が動くことで味方を壁の中に配置して壁を封じるようになる。そしたら、GKが見えなくなり、壁にわざと穴を空け、GKがボールを把握できるようになった。更にそしたら、その穴を防ぐかのように見方を配置した(今ココ)。となっておりますが、一流キッカーが配置する味方の壁要員とは、どうなっているのでしょうか。

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壁の配置はこうなっています。問題です。この壁の中にジュビロの選手は何人いるでしょうか?

 

正解はコチラ!!

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2人でした。

最初の画像にはアダイウトンしか映っていませんでした。じゃあもう1人はどこよ?なんですが、

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よ~く見てみてください。壁の前にいます。

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アングルを変えてみると全然わかりません。

 

なんでそこに配置するの?

一旦、キーパー目線で見てみます。フリーキック時にキーパーが1番確認したいことって何?というと、「いつボールを蹴るのか」というところです。もしかしたら蹴るタイミングをずらされるかもしれないし、いつ蹴ったかによって体を反応させないといけない。だからキッカーとボールの両方は確認したいのです。

 

ではキッカー目線に戻ります。1番キーパーにバレてはいけないのは何かというと、蹴る瞬間ですね。プロのキーパーならば、蹴るモーションが分かれば、余程ボールの精度が高くない限り、しっかりセービングすることができます。まぁ、それがプロのキーパーです。

 

では少し戻ってみましょう。

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これ、キーパーが見えるのは

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こうですよね。俊輔しか見えないです。それで、ボールを見るとしたら

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そうなんです! 足元を通じてボールを見ようとしても、ここにジュビロの選手を配置しているから見えない!!だから反応遅れる!!俊輔との駆け引き勝負だが、百戦錬磨相手に勝てるのは難しい中の難しい!!Oh My God!!

 

壁張りにも工夫しているということなんですね。奥が深い......。

 

 

俊輔って、どうやってフリーキック蹴っているの?

昔々、やべっちFCのコーナーの中に「フリーキック研究所」というのがありました。その中に若かりし頃の俊輔が出ていたんですが、なかなか興味深かったです。

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今回、何回も使っているこの画像ですが、俊輔の立ち位置見て下さい。ボールと並んで、ほとんど真横から入っています。俊輔曰く、横から入ることで

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見て下さい。物凄く腰を捻っているでしょ。横から入ることで、遠心力を利用して、あの鋭く曲がって落ちるキックを蹴ることができるみたいです。そういうことで、カーブを掛けるときって、インサイドからインフロントにかけてボールをこするように蹴るのが一般的ですが、俊輔は遠心力を使ってカーブを掛けているので、インサイドキックの時に、足の構造上引っかかるところってあるじゃないですか。親指からかかとに向かうところで途中ボコっとなるところ。名称わからないんでアレなんですが、そこにボールを引っ掛けて、あとは体を思いっきり回す。そうやって蹴ってるみたいです。

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うわ~、邪魔や!!めっちゃいいアングルなのに!!すんげ~被っている!!

 

俊輔のフリーキックは「技術4:駆け引き6」ぐらいの割合です。あれだけの技術がありながら、ほとんどが駆け引き勝負です。このゴールもそうなんですけど、GKがチョンボしない限り、フリーキックを決められたら、それはもう素直に俊輔を称えましょう。見事としか言えないです。なにせ、世界に認められた“アーティスト”なんですから。

よく見たい方は、YouTubeかなんかで「中村俊輔 フリーキック」で検索してください。

 

 

はい、終了です。第1弾は中村俊輔でした。この選手が静岡ダービーに出てくるのです。横浜生まれ横浜育ちのバリバリ浜っ子の俊輔が出てくるのです。2016年までは想像すらしてこなかったことです。すげぇなぁと思いつつ、なんで来るんだよというのも本音。世界に認められたウルトラレフティは絶対に潰しましょう。

 

※今回、俊輔の蹴り方を少しやりましたが、小さい子にはやらせてはいけない蹴り方ですね。腰を痛めるリスクがあります。俊輔本人も「あんまり蹴り方の真似はしない方がいい」と言っていました。俊輔ならではの蹴り方だということをお忘れなく。

いよいよ開幕!

ついにこの日が来ました。

2年ぶりのJ1開幕戦です!!

 

2015年。見るに堪えず、ボロボロになって降格しました。そこから紆余曲折合ってのJ1復帰を飾りました。あの時から本当に変わることができたのか。またあのシーズンのデジャブとなってしまうのではないか。そんな不安ありますよね。そんなこと全員思ってます。僕も思ってます。でも、昨年勝ち点85も取って自動昇格をつかみ取ったのです。圧倒的な得点力を誇っての昇格です。そこは大きな自信として思っていてもいいんじゃないかと思います。開幕戦のキックオフは14:03です。その前に、1試合でいいから、降格した2015年と昨年の試合を観れたら観てみてください。J2相手とはいえ、質は大きく異なります。昨年の方がJ1のチームっぽいです。組織が破綻していた2015年ですら、強豪相手に接戦した試合があったわけです。そのチームが本物の組織体を手にしたらどうなるか。J1でも十分に戦っていけると思います。

 

さぁ、あちこちで順位予想がでていますが、ウチは昇格チームなんでそんなにいい順位にはなっていないですね。しょうがないです。でも、ディするわけじゃないけど、なんでジュビロセレッソがあんなに評価高いのかわからないんですけどー(棒読み)。俊輔や清武が入ればそんなに劇的にチームって変わるもんなんですかー(棒読み)。サッカーってそんなに簡単なスポーツナンデスカー(棒読み)。

そんなこと言っててもしょうがないんですけど、シーズン前の順位予想なんてネームバリューと補強の量ですから、そんなにマリッジブルーな気分にならなくてもいいと思います。限りなく透明に近いブルーでいいと思います。だって大半の方は去年のエスパの試合なんてロクに観てないんですから。今どんなチームかなんてわかるわけないんですから。印象は2015年のままですから。

 

さぁさぁさぁ、開幕です!! まずはヴィッセル神戸を葬る!! レアンドロは角田が潰す!! エスパ舐めてるヤツはテセがぶっ飛ばす!! いけいけエスパルス!!

長谷川悠を使おう

大前元紀が移籍しました。

これによって、現在FWのポジションは熾烈な争いが待っていることでしょう。鄭大世を筆頭に、金子翔太、北川航也といった若手。デュークもいます。そこで今回は、そんなFWレギュラー候補でもある長谷川悠のプレーを見てみます。

 

 

FWのタイプ

まず、FWにはどんなタイプの選手がいるのか振り返ってみましょう。

ゲームなんかでは、CF(センターフォワード)ST(セカンドトップ)WG(ウイング)と大まかに3つに分かれます。さらに、(今の)テセのようなストライカーとしては万能型がいれば、かつてのチョ・ジェジンフローデ・ヨンセンみたいなポストプレーヤー、バレーのようにゴリゴリ行くタイプや北川のようにスピード勝負するタイプなんかもいます。もっと細かく分けるならまだありますけど、ここまでにしておきます。では長谷川はどのジャンルに当てはまるでしょうか。

 

長谷川悠のプレーを見てみよう

第29節レノファ山口戦から

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ここからカウンター発動です。

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ロングボールを長谷川が納めます。

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あ~、周りの動きが少々遅いですね。なんで、一旦溜を作ります。

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松原后に落とします。

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松原とスイッチしたのち、テセへ楔を打ち込む。また新たに速攻が繰り出される。

 

ご覧の通り、長谷川悠というFWは、限りなくパサーに近いポストマンであり、セカンドトップの選手でもあるということ。キープ力があり、周りを活かせることができるタイプです。

ロングボールだったり、楔なんかをしっかり納めることができ、またサイドでも中盤に下がった時でも攻撃の基準点になれます。それだけでもなく、最後の画像を見てもらえばわかりますが、自らがパサーとなってチャンスを演出することもできます。

 

鄭大世 × 長谷川悠この組み合わせになると、利点としてはテセが高い位置を取れるというところ。中盤まで降りて組み立てるのは長谷川の専門分野なんで、ゴール前での仕事に専念できます。位置関係が逆になったとしても、長谷川がキープできるので、前を向いている状態のテセにいいボールが入れば、それもそれでチャンスになります。また2人とも背が高いので、空中戦でも強味が出ます。

 

金子翔太 × 長谷川悠天皇杯で見られた組み合わせです。長谷川は気の利いたプレーができるので、よく動き回る金子に合わせたポジショニングができるでしょう。でも基本的には最前線に張っているかな。

 

北川航也 × 長谷川悠

1番カウンターが決まりそうな組み合わせ。長谷川のところで溜ができれば、あとは北川の動き方次第ってことで。

 

ミッチェル・デューク × 長谷川悠未知のコンビだな~。でもなんか見てみたいようなそんな感じ。

 

 

長谷川悠を使おう

現在のエスパルスの2トップ候補は、テセ、金子、北川、デューク、そして長谷川です。この中で1番ストライカーっぽいのが北川で、1番周囲を使えるのが長谷川でしょう。攻撃時にもう1つ変化を加えたいときとか、そんなときは長谷川悠。是非、注目してみましょう。

 

大前元紀の凄さ/一流ストライカーとは

ゴールを決めるという特殊能力

FIFAの定めたサッカーゴールのサイズは、横幅7.32m✖高さ2.44mです。この枠の中に、さらにGKが1人います。それでもスペースはありますよね。枠内に撃てば決まっちゃうんじゃね?とか思いますよね。でもPKとか蹴るとき、なぜか外すのではないかと不安になってしまうこと、ありませんか? PKなんて、理論上キッカーの方が断然有利です。だってキーパーは、自分の体の何倍もあるゴールマウスから、さらに相手との駆け引きをしなくては勝てない。だからこそなのかもしれませんけど、キーパーは返って吹っ切れることがあります。PKなんて取れなくたって仕方ないことだからと。

ではキッカー。条件では断然有利だから決めて当然と思われます。プレッシャーヤバい。半端ない。決めることができなければ非難集中砲火は間違いなし。

 

何が言いたいかって、シュートをゴールに納めるということは難しいということです。ゴールが大きくても、いや大きいからこそ枠内シュートを打てばゴールに入るのではないかと思い、プレッシャーが余計かかってしまう。これを心理学用語で「ツァイガルニク効果」といいます。

 

 

一流ストライカー

今季シュート決定率24.3%、2208分の出場で74本打って18得点。3ヵ月の離脱がありながら立派な成績を残したエスパルスのNo.10大前元紀ですが、改めてすごいストライカーだと思いました。そんな凄さを表しているゴールが、今季チーム初ゴールとなった第2節長崎戦のゴールです。

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このゴールですね。

何でこのゴールかというと、別のアングルで見てみましょう。

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体の向きが少しおかしいと思いませんか? 横向きで、シュートを打つ体勢としては窮屈です。そして

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ちょっと分かり難いかな。右足のかかと付近に合わせていたんですね。

 

やってきたクロスが弱冠マイナス過ぎた感はありますが、並みのストライカーなら気持ちよくシュートを打ちたいが故、強引にインステップで合わせてふかしていたことでしょう。ですが元紀のシュートはグランダーで、かつ逆サイドのネットに突き刺さっています。ここが一流のストライカーである証拠。

 

いくらキーパーの背が大きかったとしても、横っ飛びで手を伸ばしたところで、横幅7.32mのゴールをすべてカバーできるわけがないんですね。逆に、高さが約2mということで、長身GKなら手を伸ばせば高さ面ではカバーできます。松本山雅のシュミットダニエルなんかはそうですよね。ジャンプしなくてもバーに手が届くっていう。羨ましい。

だから一流ストライカーはゴールの横幅の広さを狙ってしっかり納めるわけです。1番キーパーが取りにくいところはポストとバーのぶつかる辺りですが、ここは狙って打てるところではない。それにリスクが大きすぎる。だからやってくるボールの方向とは逆のサイドネットに突き刺さるよう狙う。このゴールだけではなく、第15節群馬戦の先制ゴールとなった白崎の得点、第29節山口戦でのテセの2点目なんかはそうです。テセのゴールは自分のポジショニングと逆方向という点ではありますが、落ち着いていて上手いシュートだと感じます。

 

さてこの元紀のゴールに戻りますが、体の向きがかなり横を向いていると言いました。この辺りもそうで、右足の面で合わせ、ふかさず抑えめにシュートを打つための体勢だったと思います。かかとの近い位置に合わせたのもふかさないようにするためなのでしょうきっと。難しいボールがやって来ても、しっかりミートしグラウンダーで確実に枠内に入れる。それにプラス相手からのプレッシャーもあればシュートコースも限定的なっていたはずですし、それをしっかり決めるところは凄いと思います。

 

一流ストライカーとは

ピッチ上の11人の中で1番シュートを打つのはFWの選手です。なのでストライカーはシュート数が多いからゴールを決める確率も高くなります。よって一流のストライカーかどうかはシュート決定率に表れます。もちろん、ゴールするシチュエーションは常に異なるものなので、決めたゴールのシュート全てがスゲェーってわけではないのですが、上手いシュートが打てる選手ほどゴールは決められるもんです。

 

シュートを打つとき、大振りで大きく枠を外すのは三流。キーパー真正面は二流。一流はグラウンダー(または低い弾道)でサイドネットに突き刺せるシュートを打つのが一流です。それをキーパーにセーブされたら、その時は素直に拍手でキーパーを称えましょう。

 

圧倒的攻撃力で猛威を振るった今季のエスパルスですが、点を決められる選手が確実に決めることができたところと、そういった点を決められる選手がたくさんいたというところが大きな武器です。それは元紀やテセだけでなく、北川や金子もシュート練習なんかではふかさなくなってきました。その成果が数字に明確に表れれば、来シーズンも攻撃力は十分通用するのではないかと思います。