豚に真珠

サンバのリズムに乗せられて、いつの間にかそのオレンジ色に魅了される。それが清水エスパルスというチームなんだ

新時代のFW。進化する北川航也の"ファルソ・9”

FW。時代と共に最も求められる役割が変わるポジション。

 

例えば50年代や60年代のサッカーは、アルゼンチンやレアルマドリードの英雄、アルフレッド・ディ・ステファノや最強の座をほしいままにしていたハンガリー代表のナンドール・ヒデグチが中心の5トップや6トップがベーシックなシステムの時代。ジーコミシェル・プラティニが登場した70年代からは2トップが基本形に。そして90年代にヨハン・クライフが率いたドリームチームのバルセロナは、2トップ全盛期に3トップを形成。ドリームチームのFWといえばロマーリオフリオ・サリナスを思い浮かべる人が多いと思うが、革命を起こしたのはむしろゼロトップ的にミカエル・ラウドルップやホセ・マリア・バケーロを起用したことだった。そして現代。フランチェスコ・トッティリオネル・メッシから始まったゼロトップのリーズナブル化はセルヒオ・アグエロロベルト・レバンドフスキといった中盤でもプレー可能な万能型FWを生み出した。

 

 

■ストライカーとしての9.5番

現日本代表のFWである大迫勇也。日本代表や鹿島アントラーズではFWとしてのプレーを求められていたが、現在所属するヴェルダー・ブレーメンやFCケルンではトップ下やサイドといったMFとしてのプレーを求められている。アジアカップで浮き彫りになった「大迫依存」は、MFとして最前線に配置し、類まれなキープ力を生かして2列目を活かし続けていたからであり、事実上の“ゼロトップ”であった。

日本代表の1トップに求められる能力は得点能力よりMFとしてプレーできるかどうか。本来ならば1トップを張れる実力者の武藤嘉紀鈴木武蔵がフィットできなかった理由は、彼らは“ストライカー”であったからだ。MFとしてのスキルはない。

 

アジアカップで散々な目に合った犠牲者の1人、北川航也。ストライカーとして裏を狙い続け、スペースメイクし、ゴール前ではおとりとなり、プロ初のトップ下として起用され、そしてボールはやってこない。仕舞いには「存在感ない」「点取れない」と言われ続ける。ボールこなけりゃ仕事はできないっつーの。

アジアカップを経験し、2019年のシーズンをスタートさせた北川航也は、プレーエリアを下げた。時には鄭大世を最前線に残し、金子翔太や中村慶太を押し上げるべく中盤低くまでビルドアップに関わる。しかし“ストライカー”としての根っこは変わらない。どんなポジショニングでプレーを始めようと、最後はストライカーとして終える。苦い経験を経て進化の道をたどる北川航也の新プレースタイルを掘り下げていく。

 

 


■MFをFW化させるスペースメイク

北川航也のスペースメイクは、“角度”をつけるだけで成立する。エスパルスの2列目は、昨年2桁得点の金子に、より直線的にゴールへ向かう中村慶太がいる。彼らをMFからFWに変化させることでゴール前に入り込む人数を増やし、また松原后にエウシーニョといった攻撃的なSBをサイドで生かす側面もある。

第2節ガンバ大阪戦では

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北川がレーンを外すことで敵を引きつけ、慶太とワンツー。前向きでボールを受けた慶太が、新たなスペースに走りこんだ金子にパスも惜しくも通らず。

 

北川が中央レーンから外すことで、相手を引きつけFWの位置にスペースを生み出す。北川のこの動きだけで、パサー(慶太)を前向きにプレーさせ、2列目となる“第3のFW”(金子)をゴール前に入れる。ポジショニングを少し変えるだけで周囲を活かすスペースメイクは9.5番と化する事でワンクッションを入れることができ、ゴール前まで略することができる。

 

 

 

■9.5番はストライカーとして死ぬ

結局、北川の本業はどこにポジショニングされていようと“FW”なのだ。最後はゴール前でフィニッシュする立場として自らを終える。

第7節での静岡ダービーでは、鄭大世が最前線に張ることで相手最終ラインを牽制。カウンターを発動する際に北川が中盤に降りることで中盤の数的優位を生み出す。

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中央で数的優位を保てることで、北川が縦パスをフリック。一般的に“レイオフ”とも言われるプレーで2列目に前向きなプレーを行わせる。

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2列目に入ることでサイドの選手が絞り、SBが空く。サイドを突くことで、MFとしてプレーをスタートした北川はFWとしてゴール前に入り込み、プレーを終える。

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「FWとして死ぬ」とはこのこと。最初の話では、9.5番はあくまでFW登録のMFであった。しかし北川の場合はMFとしてプレーを始めFWとして役目を終える。アジアカップを終え、新たなシーズンをスタートさせた中で偽FWとしてのプレーを身に付けた。しかし大迫とは違い、最終的にストライカーとして役目を終える9.5番となった。今の日本人FWにいない万能型ストライカーとして生まれ変わった北川航也は、新時代のFWとして切り開いていく。

 

 

エスパルスはジュビロに謝罪しなければならない

エスパルスジュビロに謝罪しなければならない。

 

 

昨シーズン、ジュビロがなぜ16位に終わり、J1参入プレーオフに行かなくてはならないのかというと、それはエスパルスが悪いのだ。なぜなら昨年の10月7日、日本平でのゲームで我らエスパルスジュビロ相手に5-1で勝ってしまったからだ。ジュビロが16位に終わった最大の理由は得失点差だ。エスパルスが5点取ってしまったことでジュビロは得失点差で不利に働いてしまったのだから、ジュビロプレーオフに回ってしまったのは100%エスパルスが悪いのだ。5点取るのではなく、せめて4-0で終わらせるべきだったのだ。それをわざわざ5点も取って「-4」の得失点差を与えてジュビロを奈落の底へ突き落したエスパルスの罪は重い。だから謝罪しなくてはならないのだ。

 

 

 

 

 

 

エスパルスジュビロに謝罪しなければならない。

 

 

絶賛最下位を独走中のエスパルスは、たまたまこの時期に組み込まれていたダービーを踏み台にしてジャンプアップするのだから、ジュビロに前以って謝罪しなければならない。いくら我が将が人望が熱く、戦術的にも優れていたとしても、最下位を独走していてはこの試合を最後に首が飛ぶのだ。それに引き換え、ジュビロの将は昨年16位に終わったとしても首が飛ぶどころかガッチリ固定されている。たとえ負けたとしても崖っぷちどころかフカフカマットレスに倒れ込むような状況下の将に負けるわけがないのだ。だから謝罪しなくてはならない。エコパで終了のホイッスルが鳴った時に、オレンジ色のサポーターが「勝利は続くよ」を歌ってしまうことを公式HPより前以って、当ブログで謝罪しておかなければならない。それはエスパルスにとっては重大な罪になるのだから。

エスパルスが上手くいかない理由を考えてみよう

質問コーナー!!

ここに集まった質問に、簡単に答えていきたいと思います!! それではスタート!!

 

 

Q.なんでエスパルスは勝てないんですか?

A.知りません。僕が知りたいぐらいです。

 

 

Q.なんでエスパルスは失点が止まらないのですか?

A.知りません。僕が知りたいぐらいです。

 

 

Q.いつになったらエスパルスは勝てますか?

A.知りません。僕が知りたいぐらいです。

 

 

Q.なぜ鄭大世は眉毛タトゥーを入れたのですか?

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A.知りません。本人に聞いてください。

 

 

ということで、結論は「わからない」です。以上質問コーナー終了です。さようなら~。

 

 

 

 

ではこの記事はここで終了なので、ちょっと掘り下げてみていこうと思います。

 

 

 

■歯車が噛み合わない理由は?

5試合14失点という、驚異的な失点数を誇っていますが、3バックやった2節までと3節の札幌戦はもはや去年の基本形がなかったので、ここに関しては省きます。

 

では「基本形」とは何かを振り返りましょう。去年やったことは、ゾーンディフェンスの整備から攻守におけるポジショニングの基礎を学びました。

 

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速攻が攻撃のメインストリートでしたが、今季はプラスとして遅攻による攻撃もパターンに入れたいということが新たな挑戦。

 

というわけで、昨年から進化するという意味で攻撃のバージョンアップが課題です。去年からの変更点ということで大きなポイントはこの2つ。

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新加入のエウソン&中村慶太の2点。

 

まずは右SBのエウソン。去年は立田でしたが、SBでは若葉マークだった立田にSBとしてあれやれこれやれは無理なので、オーソドックスにサイド張ってろ、目の前の相手はとにかく潰せとホントにシンプル。その代わりに2年目ではさすがに研究されて続行不可能なので、やはりスペシャリストが必要だったと。

 

4節の神戸戦は飯田がスタメンでした。飯田の場合はスピードによる個の打開力で多少の無理を利かしても突破できますが、組み立てと守備が「う~ん」なので、現時点の総合的観点ではエウソンなのかなと。

 

 

エウシーニョの問題点

5節湘南戦で浮き彫りとなったエウソンの問題。それが

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「エウソン、ガンガン中に入ってきちゃうの巻」

昨年は金子が内側のレーン、立田がシンプルに外に張り付いていましたがバランスは良かったです。対してエウソン。偽SBのようにガンガン中に入っては金子とポジションがもろに被って幅とパスコースを失う。前半は幅をもたらすためにサイドへ流れたのは北川。結果、ハーフスペースに人はいても大外とゴール前に人数が足りない状況が生まれラストパスが出せない。またはもたついている間にミスる。その繰り返し。

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湘南戦の後半は教育が入ったからか金子がサイドへ張り出しましたが、それでもバランスが悪いです。

右サイドは今のところはエウソン次第です。前所属のフロンターレとは、攻撃も守備も戦術の全てが異なるので中盤の組み合わせやポジションバランスの問題を解決することが先決です。

 

 

■最大の問題は「いい攻撃」

よく「いい攻撃はいい守備から」とは言いますが、今のエスパルスに当てはまるのは「いい守備はいい攻撃から」です。エスパルスのゾーンディフェンスは、そのままスムーズなポジティブトランジションを生み出すためのポジショニング作りでもありました。

 

で・す・が

 

エウソンのポジショニング問題ほか、もう1つの変更点であった左SH。タメを作れる白崎の代わりにスピードをもたらす中村慶太が加わりました。

話は外れますが、全ての基本であったゾーンディフェンスに関しては、神戸戦湘南戦でも崩されるシーンはほとんどなく、守備に関しては戻れました。ヴァンデルソン除けば、新戦力はスムーズにゾーンディフェンスになじめているのではないでしょうか。

昨年は主にSBが大外に張る形で、オフェンス時には4-2-2-2のシステムになります。慶太に関しては大外からハーフスペースへの出入りはスムーズにいってますが、まぁSBのところなんですよね。これまた松原も今季はより中へカットインする回数が増え、本当に誰がサイドで幅を取るんだ問題が発生。

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右サイドの場合は、エウソンが勝手に入ってきちゃうので、ある意味修正しやすいというか、金子や北川をサイドへということもできるのですが、左の場合はちと状況が違いまして、

湘南戦で見られたのが、まずサイドで石毛が時間を作り

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松原が上がってきたら自分は内側へポジションを取る。

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で、松原は相手との1on1になったら

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縦は切られてるからじっくり中へドリブル、からの

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相手も一緒に内側に引っ込めてボランチに落とす。そして空いた大外へ、、、のはずが

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こうなる。そして左はどうなるかというと、

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竹内が持ち上がり、ソッコがサポートでサイドに出る。軸となる中央の選手がポジションを離れてしまうのでバランスが悪くなってしまうの一方です。

 

今のエスパルスのオフェンス時のポジショニングなんですが

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※下の「石毛」➡「立田」

みんな中央に寄ってプレーする。または中央の選手がサイドへ移動する。ゾーンディフェンスにはないポジショニングを取ることによってバランスを崩してしまい、本来は通るはずのパスが通らず、フィニッシュにたどり着くどころかカウンターを喰らう破目になるのが今のオチ。ポジションを大きく崩してしまっているのが今のエスパルスが上手くいかない要因です。

 

 

■北川航也を使った遅攻

遅攻に力を入れている今季ですが、そのなかで多く見られるのが北川が中盤に降りてフリックするシーン。去年もやってはいたのですが、今年は遅攻によって厚みを持たせるという狙いでのフリックです。

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このように、中盤に下がってプレーすることが増えました。昨年も終盤はよくやっていましたが、アジアカップで変な影響を受けたのかトップ下に降りてくる回数が増えました。

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湘南戦37分のシーンです。エウソンがボール回収後にドリブルで中央へ。北川が降りてきますと同時に相手も引き連れてくる。

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エウソンから竹内へ。北川は動きなおし、相手も動きに合わせてくる。

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竹内から北川へ楔。金子は北川が空けたスペースに入りフリックを受ける。

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金子からサイドに開いたエウソンへ。北川はもう1度動きなおし、

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河井が「外➡中➡外」の動きで相手を引きつけてスペースメイク。エウソンから北川への楔を、河井が空けたスペースにいる金子へフリック。惜しくも繋がらなかったものの、非常にいい崩しの片鱗を見せてくれました。

 

昨年までは、サイドへ展開するためのクッションとして中盤に降りて組立に参加していましたが、今季はサイド攻撃ではなく中央から崩す狙いのもと、半分、トップ下をやっています。今年の北川の使い方としては、いかに周りが適切なポジションや動きをすることで、パスコースとスペースを生み出し、または動く。要は「いいポジショニングを取れよ」ということです。今はそれができていないのでパスコースで被っている人が多く、パスコース事態が少ない。SBがなぜかガンガン内側に入ってくることでパスコースが減って来てます。だからここにおいてもポジション調整は必要。

 

 

 

というわけで、ここまでのエスパルスの問題点を上げてみましたが、マジでポジショニング整理くらいです。単純にそれだけ。失点は確かに多いですが、神戸戦も湘南戦もまともに崩されているわけではありません。強がっていないですよ。マジです。湘南戦の3失点もCK×2とスローインというリスタートからです。ちゃんと整理されたディフェンスで崩されてはいません。オフェンスでポジションバランスを崩していることが、余計なピンチを招いているだけです。攻撃と守備は表裏一体。この1点を修正できればパパっと勝てるはずです。そのポジション修正がかなり難しいんですが。あと、ポイチは余計な教育はしないでおくれよ。

吉原炎上:第1節ジュビロ磐田vs松本山雅FC/偽SBの憂鬱

ヒィィィィィィ~~~!!

 

皆さん、サタデーナイトをいかがお過ごしでしょうか!!

 

僕は花粉症で鼻がOUTです。鼻詰まりフィーバーです。えらいこっちゃ!!

 

 

■炎の偽SB

昨シーズンの3バックから4バックに変更したジュビロ。スタメンに1人も本職SBがいないメンバーで誰がやったかというと

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本来はMFの松本メンバーと、本来はやんちゃ担当の高橋メンバー。試合中のポジショニングはというと

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サイドはロドリゲス、アダイウトン両助っ人に任せておいて内側に絞る。去年マリノスがやっていた形ですね。それをまさかの再現させてきたジュビロ。しかし残念賞。この偽SB戦法はジュビロ自らの首を絞めることとなった。

 

そもそも“偽SB”は位置的優位を生み出すことを目的に設計されているわけで、SBの中盤化を目的として作られているわけではないのです。要は、ジュビロは何を目的にこのシステムに挑んだのかが全くの不明!! その証拠としてSBが内側に絞ることで中盤の交通渋滞が発生。

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高橋メンバーは早々に気づいて「外➡内➡外」の動きを始めたものの、代わりに内側に入るアダイウトンが今度は中盤に入ってくる「余計な1枚」となり左からは崩せない。前半30分過ぎからは

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なぜかロドリゲスを左に持ってきて「ロドリゲス&アダイウトン&高橋メンバー」という謎のトライアングルユニットを形成してくる始末。ポジションバランス悪すぎ!!

 

 

■出口のない迷路

後半早々に俊輔を下げて川又を投入。ポジションバランスの悪さを解消するために、山田大記がサイドへ逃げる動き。自らがビルドアップの出口となりボールを引き出していく。

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ジュビロ“似非偽SB”の最大の問題は、ビルドアップにおける明確な役割がないということ。入り口なのか出口なのか。はたまたあくまで中継点に過ぎないのか。それすら不明確。だから尚更たちが悪い。後半に山田が動くことで明確な出口ができ、「今日はこうやって崩すんだ」というのがようやく発見。見事、同点ゴールに結びつけたとさ。

 

 

■2019年版名波ジュビロ

まさか今後も偽SBをやるとは思わないですけど、今季もジュビロはマジで「山田大記次第」なチームになりそう。っていうか去年とそんな変わっている印象がなくて、相変わらずアダイウトンが何度もサイドをアップダウンしては負担半端ないって。そして攻撃で全ての起点になっていた山田大記は今季ジュビロの最重要選手。点取れるかどうか、というか勝てるかどうかは全ては山田次第じゃね?な印象を持った開幕戦でした。

ヨンソンエスパルス、進化への道/PL第21節ウォルバ―ハンプトンvsクリスタルパレス

明けましておめでとうございます。2019年1発目の記事です。

 

毎年、新年1発目は過去の試合を振り返ってきましたが、今回は視点を変えてプレミアリーグを見ていきます。どのチームかというと、マンチェスターユナイテッドでもなくシティでもなくリバポでもありません。もちろんアーゼガムでもなければテルフィーでもありません。クリスタルパレスです。

 

パレスの試合なんて本気で観る人なんてマジのパレスファンぐらいしかいないと思いますし、そもそもパレスファン自体日本にいるのかどうかも分かりません。じゃあなんでパレスの試合を観ていこうかというと、理由はこの方です。

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監督のロイ・ホジソンです。前イングランド代表監督といえば分かる方もいるのではないでしょうか。

 

 

 

ロイ・ホジソンとヤン・ヨンソン

語尾2文字が同じという共通点がある2人ですが、2人のつながりについていうと、まずヨンソンさんが現役時代の頃、スウェーデンのハルムスタッズというチームに監督としてやってきたのがホジソンです。

ヨンソンさんの「影響を受けた監督」の中に挙げられているのがホジソンと広島で一緒に仕事をしたスチュワート・バクスターですが、4-4-2のシステムを好んでいるところはホジソンから影響を受けているのでしょう。(ノルウェーでの監督時代も4-4-2がシステムの軸だったみたいです)

 

いわば、ヨンソンさんからしたら“師匠”であるホジソンの戦術はいかに、ということをテーマに見ていきます。

 

 

 

■パレスのゾーンディフェンス

では21節を見ていきます。ちなみにウォルバーハンプトンについては知りません。知っているのはポルトガル代表のGKルイ・パトリシオとMFモウチーニョくらいです。

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普段は4-5-1で2ラインを敷いているのですが、この日はウィルフリード・ザハを左に配置した4-3-3でした。この時期のプレミアは超過密日程なので多少メンバーを入れ替えています。

パレスで知名度ある選手といえば、ザハはかつてユナイテッドにいました。右のタウンゼントは「ベイル二世」とスパーズで騒がれてましたが、気づいた時はここで10番背負ってます。CBのサコはリバプールでレギュラーとしてやってましたが、ドーピング問題などがあり今ではここ。左SBのファン・アーンホルトは元チェルシーで、オランダのフィテッセ時代ではハーフナーマイクとチームメイトでした。

 

年末のパレスはシティやチェルシーとやりましたが、この時は4-5の2ラインで守っていました。そのせいか、攻撃は1トップのザハに頼る部分が多く不発に終わるシーンが多かったです。ところがこのゲームはそれまでとは打って変わり攻撃はめっちゃ流動的。守備も、

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逆サイドのウイングが下がって4-4のブロックを作る。中盤は選手間の距離を狭め、最終ラインは相手ウイングに合わせて距離感を保つ。ブロックの仕組みに関してはエスパルスと似ているところがあります。ですが、僕が注目したのはパレスのゾーンプレスです。

 

昨年のエスパルスの得点傾向で、ショートカウンターによる得点率が高かったですが、その割に最終ラインはリトリートでした。これって矛盾してね?と思う方もいるでしょう。秘密は「どこでゾーンプレスを仕掛けるか」にあります。

 

 

 

 

ゾーンプレス

パレスのファーストディフェンスは2トップのボール誘導から始まります。どこへ誘導するかというと

全員でワイドミッドフィルダーのエリアにボールを誘い込むイメージです。というのも、相手の中央のセンターバックがボールを持っているときは、左右どちらのサイドにも逃げる場所があるので、真ん中にボールがあるときはプレスがかからないんです。だから、まず第一線の選手が“相手に突破されないことだけを目的にした守備”を敢行しながら、サイドへと追い込むことが重要になる

サッカー 守備戦術の教科書 超ゾーンディフェンス論 著者松田浩 鈴木康浩 発行KANZEN 104項より引用

 

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2トップのうち、1人は確実にサイドへ誘導するためにリターン防止のためパスコースを切る。もう片方はボール保持者にプレスをかけてパスの精度を落とす。まず、これが初期段階。

 

次が、中盤のレーンでプレス。 

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パレスからしたら、中盤ブロックの目の前のエリアにプレス集中砲火をかけたい。パレスからしてやられたくない事として、最終ラインにバックパスされてもう1度組み立て直されること。せっかく人数揃えて、個々のゾーンも張っているのに組み立て直されたら、ゾーンディフェンスももう1度組み直しです。ゾーンディフェンスの弱さはここにありますね。なので追い込んだら奪いきりたい。そのために2トップにプレスバックを頑張ってもらう。

相手は、身近な逃げ場を失うことになるのでボールホルダーの孤立を防ぐためにボールに寄って来るわけですが、

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ボールに寄れば寄るほどパレスからしたら「ヒッヒッヒ、見事蟻地獄に嵌ってくれたな」となり、ゾーンの中に閉じ込めてプレスする。これ、シティにはめっちゃ効いてました。これがゾーンプレスです。「ここで奪いたい!」というエリアに餌を撒いて追い込み、ボールが来たら“家”に閉じ込め襲い掛かる。逆サイが空くという形にはなりますが、ロングボールで1発の展開では跳ね返すことが可能なので怖くはない。ショートパスでのサイドチェンジも、閉じ込めてしまえば簡単には打開されない。されたら一巻の終わりなんですが、その時は相手を褒めましょうということで。

同一サイドに人数掛けてますが、しっかりプランに沿った守備なので、例えばジュビロのように「そこにボールがあるから」という安易な理由でプレスの意図もなく同一サイドにポジションを放棄してまで人数を掛けて守るのとはわけが違うのです。

 

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 「守備」と「攻撃」で形が変わりトランジションが遅れるので機能しなくなってしまう。攻守分業とはこのことです。

 

 

 

エスパルスの攻撃力はフロックではない

パレスの攻撃って、シティやチェルシーとやった時はまるで迫力のない単発なカウンターしかなく、シティ戦はその単発なカウンターが決まったのが1つ、誰にも止められないノーチャンスなゴラッソが1つ、PKが1つという内容なので、運が良かったところが多かったです。

パレスの攻撃の起点はアンカーでキャプテンの背番号4ルカ・ミリボイェビッチ。クロアチア代表です。パレスのカウンターは必ずこの選手から始まります。パレスのカウンターはミリボイェビッチからタウンゼント、ザハのウイングにボールが出て始まります。

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パレスは、左SBのファン・アーンホルトは積極的にオーバーラップしますが、右はそうでもなく、セントラルハーフのマッカーシーが走りこむ展開が多い。ザハは本業ストライカーなのでゴール前に入りますが、タウンゼントはウイングなので内側に走るマッカーシーを上手く使いながら中にカットインしてくなり縦なりetc......。

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この日のパレスはカウンターの攻め手は多かったですが、遅攻の精度は悪い。パスの出し手がミリボイェビッチしかいないというのが大きいです。

 

そんなこんなでパレスを見てきましたが、パレスを見ていてエスパルスが点を取れるのは当然なのかなと思えてきました。

エスパルスが点を取れた理由として

が挙げられます。

パレスも単発ではありながらタウンゼントにザハが仕掛けるわけです。ですが舞台はプレミア。単発では数的質的に後手を踏んでしまう。

ところ変わってJリーグ。誤解してほしくないのが、なにもJリーグのレベルが低いとかいうことを言いたいわけではなく、単純に整備されたショートカウンターを実行するのが北川&ドウグラスという鬼畜×鬼畜なので簡単には止められないどころか、トランジションの段階で決着してしまうという悪魔的破壊力。

 

そしてパサーが2枚いること。パレスの攻撃はミリボイェビッチからの精度の高いパスがなければ始まりません。当然どのチームもミリボイェビッチからのパスには警戒心MAXで、ミリボイェビッチはそれをかわせるだけでのスキルの持ち主なので凄いのですが、でも精度の高いパスは限られています。1枚だけはきつい。エスパルスは2枚いるので組織として相手のプレスをかわしやすい状況にあります。

 

ということで、現状のエスパルス攻撃陣は前線に関して国内屈指の破壊力ある2トップがいること。実際数字に出ているわけなので、簡単に止められることはないです。エスパルスゾーンプレスもパレスと同様、中盤の前に広がるエリアです。理想はここで奪いきって高速カウンターを繰り出す。昨年からずっとやって来たことですが、今年はどう進化していくのか。ヒントはパレスの弱点です。

 

 

 

ゾーンプレスの泣き所

 パレスのゾーンディフェンスにおける弱点は2つあります。

1つ目は逆サイド。

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中盤は距離感詰めているのでどうしても空いてしまいます。ただし、ロングボールで1発展開なら全然OKです。SBが跳ね返せるからです。

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最もやられたくないのがショートパスをつないでのサイドチェンジ。パレスはシティ戦やチェルシー戦では中盤が5枚で、逆サイドに1枚余らせていました。メガクラブ相手では質的優位に立たれてしまうので、数は残しておきたいということです。しかし、FWを1枚削ることになるのでカウンターは弱くなります。
そしてもう1つが、距離感を空けている最終ラインの穴。

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中盤が圧縮している分、最終ラインは逆サイケアのために距離感が広がってしまう。チェルシー戦では、決勝点となったカンテのゴールは見事に突かれる形でした。
 

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これが弱点です。

エスパルスにおいても同じで、例えばフロンターレなんかは無理にでも繋いでくるので嵌めにくいですよね。崩され方もパレスと似てるところがあります。
 
エスパルスが2019版にアップグレードするには、ネガティブトランジションの強化になります。ウチとしたら、ゾーンプレスをかわされたくない。でも相手はゾーンプレスを研究してきます。なぜならゾーンプレスの先に恐怖のカウンターが待っているから。なのでブロックを組まれる前に攻めてくる。早い段階でサイドチェンジして来る。
選手の配置上、弱点は確かにありますが、ぶっちゃけコレが最も最善なポジショニングです。そしてプレスエリアまで追い込んでしまえば弱点を突かれる前に嵌めることができます。なので守備では先手を打ちたい。そのためのネガティブトランジション強化です。
 
そして攻撃力のバージョンアップも。昨年、勝ち点を取れた理由も打ち勝ってきたところが大きいです。ボールポゼッションやショートカウンターの強化は必須。白崎は抜けましたが、中村慶太の加入は攻撃をよりスピーディーにしてくれると思います。
 
 
 
と、まぁまだ始動してないですが、開幕まで1ヶ月半なので違った角度から考察しました。ということで今年1年スタートです!疲れたからおしまい!

清水エスパルス × ジュビロ磐田 × 2018 ~Battle of Derby~

MEIJIYASUDASEIMEI J1.LEAGUE

 

April.7 Saturday Shizuoka Stadium ECOPA

6week

Shimizu 0-0 Iwata

 

 

 

October.7 Sunday IAI Stadium NIHONDAIRA

29week

Shimizu 5-1 Iwata

K.Kitagawa (1,SHI)

Douglas (38,SHI)

T.Taguchi (51,IWA)

Douglas (61,SHI)

K.Kitagawa (72,SHI)

K.Murata (90+4,SHI)

 

 

 

YBC Levain CUP

 

March.7 Wednesday IAI Stadium NIHONDAIRA

Group B 1week

Shimizu 1-0 Iwata

T.Chong (48,SHI)

 

 

May.9 Wednesday YAMAHA Stadium

Group B 5week

Shimizu 1-2 Iwata

S.Nakano (58,IWA)

Y.Hasegawa (65,SHI)

S.Nakano (68,IWA)

 

 

 

 

 

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攻撃サッカーを創ったエスパルスの「ポジショナルプレー」という答え

今回はシーズンの総括です。

 

 

 

驚愕の事実

たぶん、ほとんどの人が知らない事実があるんですけど、なんと今シーズンのエスパルスは、リーグ2番目となる56得点を記録したんですッ!! 1位が優勝した川崎フロンターレの57得点なので、1得点差なわけです。昨シーズンが36得点なので20点も多く取れました。なのに、あんまり取り扱ってくれないというか、今シーズンの国内屈指の破壊力を誇っていたという事実をご存知ではない!!ようなので、今回は僕が、エスパルスの攻撃が飛躍的進歩を遂げたのかを検証していきたいと思います。

 

 

■ポジショナルプレー≠ポゼッションサッカー

今シーズンからヤン・ヨンソン監督になり、大きな変化が表れたのはポジションの規制です。いろんな選手から「ポジショニングについての細かい指示が多い」との発言が多いことから、昨年もサンフレッチェ広島で就任後オフェンシブな戦いにシフトしつつ劇的残留に導き、華麗にチームを去る破目になるわけですが、そこでもポジションが整理されており、ゾーンディフェンスからのスムーズなカウンター移行という、無駄のない効率的な戦術を仕込み、それをそのままエスパルスに落とし込んだわけです。

 

ヨンソン監督というのは、ポジショニングによって優位性を作るサッカーをしています。特にエスパルスの場合は、個の質に関してはJ1では見劣りするところがあるのは昨シーズンを振り返れば明確な事実でした。なので勝利を得るためには別のところで優位性を作りたい。そこで位置的優位性を生み出すことが必要となりました。

 

今シーズンによく耳にする機会が多くありました「ポジショナルプレー」。夏にもそれにまつわる記事を1本書きましたので、詳しくはそちらを参考に

 

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 Jリーグのポジショナルプレーといえば、ポステコグルー率いるマリノスブンデス大好きイケメン率いるベガルタ仙台。話題になりすぎたスペイン人監督率いた東京ヴェルディ徳島ヴォルティスです。こういったポジショナルプレーを志向しているチームはポゼッション率が高くなっているのが特徴として表れており、世間ではポゼッションサッカーとイコールだという見方が蔓延してしまいました。これ全然違います。あくまでポジショナルプレーとは攻守両面で相手より優位に立とうという考え方であって、ポゼッションとは無関係です。

ポジショナルプレーとは1つの思想であり、スタイルであり、フットボールというゲームのボールとスペースを通した全体論理的な理解方法である。各カテゴリーを指導する多くのコーチが、ポジショナルプレーの目的をボール保持だと考えている。彼らはポゼッション率の高さという表層的な現象に着目しているが、ボール保持は実際のところ単なる手段でしかない。本来の目的はスペースの占有であり、選手たちがチームの「組織的な位置取り」と「集団的な相乗効果」の中で創造性を発揮し、個々が持っている質的な強みを活かせる状況を与えることだ。

 

月刊フットボリスタ 発行ソルメディア 29項より引用

 

 

エスパルスとポジショナルプレーの歴史

優位性を作って相手を崩すというのは、人がスペースを作り、人がそのスペースに入り、そのスペースに人がボールを入れていくという作業が必要です。今シーズンはこの崩し方が多く見られました。後ほどやりますが、実はこういった崩しはヨンソン以前、つまり小林前体制の時もできていました。覚えているでしょうか、スポナビでも記事にしました2016年の第40節カマタマーレ讃岐戦のテセの2点目のシーンです。選手の質的な優位性に位置的優位もあったことからこれ以上ない最高の崩しだったと思います。また昨年も第19節マリノス戦のテセのゴールもきれいに崩せたゴールです。と、2年前からポジショナルプレーといわれるサッカーはできていたんですね。ではそれが今年、どうグレードアップしたのかを見ていきましょう。

 

 

 

位置的優位による崩し

位置的優位によって見事な崩しを見せたのが第13節サガン鳥栖戦の42分のシーン

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ソッコがボールを持ち運んでこの位置。目線の先には金子とテセ。

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ソッコがテセへパス。この際に金子が外に向けて走りパスコース作りと相手の目線を引きつけ、テセはバックステップを踏むことで目の前のDFと距離を作る

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正面から見ると分かりやすいですね。金子がパスコースを作り、バックステップを踏んで距離を取るテセ。テセの体の向きも注目ポイント。ゴールに向いていますね。

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ボールを受けてトラップしてからのスムーズなシュート。決まっていれば最高の崩しでしたが惜しくも決まらず。

ダイアゴナルにボールを動かすというのも、ポジショナルプレーにおける重要なコンセプトの1つです。敵プレッシャーラインを超えるパスでも、それが同じレーン上の縦パスだと 受け手はゴールを背負って受けることになるため、ターンして前を向けるスペースと時間がない限り、キープするか後ろに戻すかという選択肢しか残らない。しかし斜め方向のパスならば、体を開き前方への視野を確保した状態で受けて、最初のトラップで前を向くことが可能です。また斜め方向にボールを動かせば、敵もそれに合わせて横に移動しなければならなくなるため、陣形にギャップが生まれやすい。次のパスコースを作り出すという観点からも有効なのです。

 

モダンサッカーの教科書 イタリア新世代コーチが教える未来のサッカー 著者レナート・バルディ 片野道郎 発行ソルメディア 75項より引用

 アンダーラインを引いたところは正にテセの動き方そのものです。ヨンソンさんになり体の向きについての指導などもあることから、ポジショナルプレーというのはスムーズに物事が進むよう、パスからトラップ、ボールを離すまでの1連のプレーを整備するのです。

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サイド攻略の方法

続いてはサイド攻撃です。第18節マリノス戦の金子のゴールシーンです。

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松原のスローインからです。今、スローインってめっちゃ重要視されていて、なんでかというとセットプレーの中で1番やる回数が多いから。リバプールスローイン専門コーチを付けたぐらいです。

話を戻して、この場面でエスパルスは松原、北川、石毛の3人が絡んでいますが、マリノスは2人しか対応にきていないです。完全にマリノスのミスです。

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北川のマークが松原に行ったことで北川がフリーになりました。そして石毛に付いていたマークは北川に行くかどうか迷っている。

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石毛ががら空きのハーフスペースに入りこむ。体の向きは常にボールを視野に入れられるよう外に。

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こんな感じです。北川&石毛がドフリーなので

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フリーな北川からパスを受けたフリーな石毛はあらゆる選択肢があります。石毛の前に広がるスペースに走りこむ松原にパス、また緑丸に入る北川にリターン。

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はい、楽に崩せました。これはマリノスの守備陣形のミスが7割近くを占めているんですが、エスパルスの3人の総移動距離というのはそうでもない。的確なポジショニング、的確な体の向き、的確なスタートと一切の無駄なくシステマチックに崩すことができました。こういった崩しは今シーズン毎試合何回か見られたんですが、最初にも言った通り、2年前からできていたんですよ。ここからはなぜ今シーズンはこういった崩しが多く見られたのかの大本を探っていこうと思います。

 

 

 

エスパルス、ポジショナルプレーの基本構造

エスパルスの基本システムは4-4-2からなるゾーンディフェンスでスタートします。「まずは守備から」が今シーズンのテーマですので、最終ラインから前線まではコンパクトに、4枚と4枚の2ラインでブロックを組みます。

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さぁ、ここでボールを奪ってからのポジティブトランジションは、スピードのある2トップをがスペースを突いて先陣を切ってガンガン攻めてもらい、中盤がサポートします。

 

攻撃の基本フェーズとして、ビルドアップの起点となるCBとボランチからのパス配給先として、金子と白崎が中央に入り4-2-2-2の形へ。

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ポジティブトランジションではこの形です。完全に攻撃に舵が切り替わると、空いているスペースとしてサイド高い位置を攻略したい。サイドのオープンスペースには

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左は松原が高い位置を取り、左右不均等な形に。相手いる右のオープンスペースには立田が遅れてオーバーラップ、または金子やFWが流れてくるというのが基本形です。中央に人数が揃っているので、ここでコンビネーションプレーで崩していく。サイドは逃げ道として活用と、ポゼッションを高めて攻めていくときは割と中央からの崩しが多かったというのが今年のエスパルス。ただその精度が低く相手のブロック網に引っかかるというシーンが多かったのがその印象を薄らぐ要因ではありました。また、スピードある強力2トップによってポジティブトランジションで勝負を決めてしまうという離れ業が多かったのも印象的。象徴的なシーンがドウグラス加入後初ゴールとなったシーン。


【公式】ゴール動画:ドウグラス(清水)65分 ガンバ大阪vs清水エスパルス 明治安田生命J1リーグ 第17節 2018/7/22

ポジティブトランジションの段階で勝負を決してしまうのは、ショートカウンターの精度の高さというのを表しています。ですが、今回はポジショナルプレーの分析ということで、このままいったら「ドウグラスすげぇ」で終わってしまいそうなので、中央崩しについてみていきます。

 

 

 

ボックス型中盤と中央崩し

第23節浦和レッズ戦です。

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絵に描いたような4-2-2-2です。舵を攻撃にきっている状態ですね。

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河井が斜めのパスを送ります。綺麗に崩せたシーンていうのは斜めのパスが多いですね。このパスが落ちてきた北川に入りました。

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横からのアングルです。北川が落ちてきたところはキレイにスペースが広がっています。中盤がボックス型になったことでレッズの中盤とは数的同数になり、そこに北川が落ちてきたのでエスパルスからしたら数的優位になります。

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北川に入るところで槙野が「シメシメ」とやって来るわけですが、この隙を狙い、ポジションチェンジするかのように金子が裏に抜ける。

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この形はたぶん練習していたと思います。ものすごくスムーズでした。そして綺麗に中央から崩せた。理想的なポジショナルプレーでした。

 

 

結局「ドウグラス、半端ないって」

エスパルスの攻撃は、ゾーンディフェンスから始まります。そしてポジティブトランジションでどれだけ相手より先手を打って攻められるかが、その後の攻撃が上手くいくかを表します。要するにショートカウンターが命です。ここで恐怖心を与えられなければその後の攻撃も上手くいきません。なのでこんなオチにしたらつまらないですし、支度はなかったんですけどやっぱり「ドウグラス半端ないって」ということで。

 

来年のことを言うと、攻撃時は左右非対称でしたが、右SBが立田と正反対なタイプの飯田が起用されていた時はリスクお構いなくガンガン上げていたので、理想はオープンスペースにはSBが入る形なんでしょうと。エウシーニョが獲得候補として挙がっていますが、ヨンソンさんの理想SB像は高さと攻撃性能だと思うので理に適っていると思います。来年は来年でグレードアップすると思うのでそこは来シーズンのお楽しみということで。今回はここまで。さようなら!!